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2006.10.05 19:05 |  診療  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  ようさん  | 推薦数 : 1

偽善者。

....................................

 

ようさん.....、また、なんかあったの?

 

先日、ある患者さんが亡くなったんだ。

70歳前半の女性でね。C型肝炎から肝硬変へそして

....最後は肝不全

彼女と出会ったのは約10年前。身体がだるいと来院して採

血を施行したら肝機能障害の数値。ウイルス性肝炎疑

さらに調べるとC型肝炎でね。近医の専門医を紹介して入

院その後ぼくがfollow upしてたんだけど恐れていた肝癌

が出現したんだ。その後、何度もTAE(癌に流れ込む栄養

の道、すなわちその道である動脈をつめて栄養を運べなくし

て大きくしないようにする治療。)を施行するため1年に数回

入退院を繰り返す日々が続くようになったんだ。今年あたり

から TAEも限界となり徐々に黄疸がひどく、腹水で苦しむ

ようになってね。彼女はギリギリまで自宅に居ることを望み、

ぼくのところに点滴に来ていたんだけど、いろいろな症状

が出現してね来院も困難になって途中から往診をしていたん

だ。時には夕方、夜中らに時間外の電話があり何度か緊急

の往診や点滴をしたりして。正直、体調がすぐれなかったり、

診察時間が終わった瞬間、風呂から上がった瞬間、少し眠り

についた瞬間、時間外の患者さんをみて自宅に戻った瞬間

に電話が掛かったりすると、

『えっ~』

とか

『やだなあ~』

と思うこともしばしばあったんだ。

しかも、今回、亡くなる1週間前に夫から連絡があり

「熱が出たんで........」

でも、あいにく連休で不在(携帯に繋がるようにしてるので)

「すみません、じゃあ、冷やして様子見てみます」

これが、最後の連絡だった。この間、どうしたのか気にはなっ

てたけど忙しさにかまけて......。1週間後、新聞でおくやみ

の欄に名前が。あれが、きっかけか?

ぼくは、診ていた患者さんのお通夜には必ず出かけるように

しているんだけど、今回は気が重くて。

 

 お通夜に行くとがまず駆け寄ってきて、その後の状況を

詳しく教えてくれた。熱は一日で下がったけどその後の定期

の受診でホスピス施設利用を勧められ本人も納得して入院

したとのこと。そして、亡くなる2日前に家族全員で集まって

喜んだことを聞いた。そして、目に涙をためて

「先生、本当にありがとう。OOも先生がそばにいてよかった

って最後まで言ってました。本当に....................。」

ぼくは、言葉に詰まった。その後、長男が目を真っ赤にして

ありがとうありがとう。遠くに居てあんまり帰れんかった

けど、先生がようしてくれるんやっていつも母が言ってた。電

話でいつも先生のこと言ってたんや。先生、父もよろしくお願

いな。任せるで。ほんと、ありがとうありがとう。」

ぼくは、妙に怒りが湧いてきた。

 

『お前なあ 先生、先生言う

な!』

『ありがとう、ありがとう言う

な!』

 

頼むから言わんといてっ思ったんだ。

ぼくは、ありがとう言われるほど善人じゃあない!なにも、し

ていない!面倒くさかったし、嫌だとも思ったこともあるんだ。

お前の感謝の言葉を聞くほどに自分が地獄に落ちていくよう

な気分に苛まれるんだ。頭も下げないでくれ..............。

 

 

 

 長男は小学校からの友人。そして、この亡くなった患者さ

んは彼のお母さん

 

 彼が生まれたときに出血して輸血C型肝炎に感染した

可能性が高いんだ。長男の彼が生まれた喜びの裏側で

も生まれていたんだ。

 

 わけ隔てなく患者さんを診なきゃいけないのはプロだから

当たり前なんだけど、やっぱり友人のお母さんには思い入れ

が異なる。ぼくの保育園の年中さんの頃の記憶の中に彼女

はすでに存在していたんだからね。

でも、そんな患者さんに対しても

『往診?やだなあ~』

『往診?行きたくないなあ~』

と、思うときがあったんだ。完璧にはできない。でも、

「ありがとう。」

と、言われてしまう。ぼくの中で気持ちの整理がつかない。

やっぱり、偽善者としか思えない。

 

ようさん、じゃあ、やっぱり医者やめる?

辞めちゃえば。楽だよ。

 

いや、辞めない。やれるとこまでやってみる。行き着く先が

どんなんだかわからないけど簡単には辞めない。でないと、

亡くなった患者さんに申し訳が立たないような気がする。だ

ら、辞めない。

 

 OOさんへ

 あなたが生んでくれたおかげでOO君とは今友人で入れま

す。あなたとの付き合いから得たものを次につなげてみま

す。ほんとうにお疲れさまでした。ゆっくり休んでください。

                            合掌

 

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