久しぶりにがんの話題です。
多くのがん種にTMN分類が用いられています。
がん診療で大切なことは、診断です。
診断にもいろいろありまして、まずがんかそうでないかを判断しないといけません。
がんと判断できたら確定診断がついたといいます。
肺がんをはじめ多くのがん種では、組織や細胞をとってきて染色をして顕微鏡でみて悪性細胞であればがんと診断されます。
確定診断がついてもすぐに治療にはいるわけではありません。
どこにあるのかや、どこまで広がっているのか、遠隔転移はあるのかなどを考慮しなければ最適な治療方針はたちません。
ある程度経験を積んだ医者なら、同じ状態の患者さんなら同じような治療方針をたてたれる必要があります。
その為にTMN分類があります。
その分類に従うことによって、日本のどこでも同じような治療が可能になるのです。
Tは、腫瘍(原発巣)のひろがり
Nは、リンパ節へのひろがり
Mは、遠隔転移
を表してそれらを組み合わせることによって病期分類がなされます。
1期の肺がんとか3期とか4期とかに分類されるわけです。
肺がんなら2期までが手術、3期は抗がん剤と放射線を組み合わせた治療、4期は抗がん剤治療が標準的な治療です。
もちろん、分類が微妙なケースや施設によって若干の方針が異なる場合もありますが、多くの場合は同じです。
その分類が来年からかわります。
詳しくは『肺癌取り扱い規約』なるものがありそれに詳細が書いてあります。
ちなみに第6版は200頁を超える厚さです。
来年からは第7版ということになります。
どう変わるかというと大きさでの分類が細かくなります。
今までは、T因子(腫瘍本体)の大きさが3cm未満と3cm以上で分類していたのが2cm未満、2cmから3cm未満、3cmから5cm未満、5cmから7cm未満、7cm以上と従来、2ランクに分類されていたのが5ランクに分けられるようになるのです。
この変更によって今まで1期だったものが2期になったり、2期だったものが3期になったりします。
もちろん、多くは今までと同じ分類なのですが。。。
また、今までは悪性細胞を伴う胸水を認めても遠隔転移がなければ3期だったのですが、4期に分類されるようになりました。
それと大きな違いがリンパ節の番号が変わることです。
今までよく3番とか7番リンパ節がといっていたのですが、3番リンパ節がなくなりました。(正確には3pとかで残っているのですが頻度が非常に低くなります。)
今まで3番だったところは4番になって4Rとか4Lとか(RLは右、左という意味です)になってしまいます。
ややこしいんですけど、世界で統一されたのでいいことなのでしょうね。
今までよりもかなり細かく分類されるようになるように感じます。
どうしてこのような変更が行われるのかおわかりですか?
これは、今の病期分類でのデータを解析して同じような予後の見通しがもてるグループに分類しなおしたのです。
もちろん、今までも同じような予後のグループとして病期分類が行われていたのですがそれがさらに的確にするために細かく分類されたと理解するのが正しいでしょうか。
ちなみに、日本を含む19カ国、10万人の患者さんのデータをもとに作られたそうです。
どうです。
良さそうに感じるでしょう。
でも、実際に新しい分類で診断して、治療をしてみてそれで新しい分類が優れているかどうかの評価をしなければなりません。
そうしているうちに新しい事実が判明してもっと優れた分類法がみつかったりすることもあります。
そうすれば、第8版が作られるでしょう。
ただ、あまりに細かくまた、先進的すぎる分類だと困ることがあります。
基本的には、世界共通ですので医療資源が豊富にある地域は分類が簡単に行えるけれども、そうでない地域では正確な病期分類が難しくなる可能性があります。
そうすれば、各国同士の比較が困難になるのです。
もちろん、好ましいことではありません。
それと、もう一点。
このブログでも分子標的薬について何度か説明しています。
分子標的薬は、効果のない患者さんと効果のある患者さんが特定の検査でわかることがあります。
非小細胞肺がんのEGFR遺伝子変異や乳癌のハーセプテストなどのバイオマーカーといいます。
それがわかることにより治療方針が変わることがあるので今後は、そのような情報が病期分類に取り入れられていくでしょう。
さらに進んでいけば、病気のひろがりよりもバイオマーカーが病期分類の中心となってくる可能性さえあります。
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いやー、こんな話題も久しぶりでしたね。
『患者と医者をつなぐもの』も読んでね。
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コメント
コメント一覧
もし、そうであれば、医療の更なる進歩でまた改良、という事態も起きるのでしょうか。
世界共通の分類は必要です。各国の研究者にとっては共通語みたいな要素もありますし。
でも、病気によっては人種差とか地域差、年齢、性別…とあり、世界共通と経験による知識・技術と、両輪が必要ではないかと思います。
臨床経験という後輪も非常に大切だから、「医師選び」なんて単語が出てきたんじゃないかしらん。。。
その時にわかっている情報が新たに組み込まれますからね。
世界共通も大切ですね。
先進国しか使えないのも問題だし。
どうして、分類にはいくつも種類があるのでしょうか?
それも、ガンによっても違いますよね?(ですよね?)
ちなみに我が同居人は、悪性胸水が最初からあったので、あの時は遠隔転移は確認出来なかったので、とりあえず3bと言う診断だったけど、これからだと、いきなり4期になっちゃうんですね・・・ちと切ないな〜。
主治医の先生は「3bの後期です」と言ってましたけどね。
いろんながん腫に対して取り扱い規約があります。
ただ、患者さんの少ないがんでは取り扱い規約がないものさえあります。
(少なすぎて作れないのです。)
悪性胸水あれば来年から4a期ということになりますね。
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