2009.10.05 13:01 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  生活 / くらし  |  よっしぃ  | 推薦数 : 1

10年の歳月・前編

10年以上仕事をしていると、やはり、10年前は昔だなぁと思うことがあります。

医療を取り巻く環境は、ずいぶん変わりました。

診療においても変わってきています。

例えば、がんの告知。

10年前は、肺がんの患者さんに肺がんと言わずに抗がん剤治療をしたり放射線治療をしたりする病院もありました。

もちろん、家族の方には言ってましたよ。

患者さん本人には、『肺化膿症』とか『肺真菌症』などという病名を伝えて、

『ガン化するかも知れないから抗がん剤治療をしましょう。』

とか

『この病気には、電気治療がいいんですよ。』

なんて、言いながら放射線治療をしたりしてました。

もちろん、治る見込みのない患者さんにも

『大丈夫ですよ。きっと、よくなりますよ。』なんて言いながら。

でも、ほんとにこういうしかなかったんです。

医者だって、こんな言葉言いたくて言ってるわけではなかったんです。

当時、私は研修医だったので上の先生の言うことに反対することもできず、嘘をついてまで治療をするのが心からイヤでした。

治らないのに治ると説明して頑張らせる治療が

なぜ、本人に本当のことを伝えないのか?

患者さんの中には、わかっているのにわざと知らないふりをするような患者さんもいましたし。

『何で、こんなしんどい治療をしてもよくならないんだ!』

なんて、言われることもありました。

そんな方は、別の病院に行ったりします。

よその病院に行って、家族の方が担当の先生にこっそり『実はあの人がんなんですけど、病名を伝えてないんです。』なんて耳打ちしたりします。

もちろん、逆の経験をしたからわかったんですけどね。

そのときから、残された時間を有意義に使えないままの患者さんをみて何とかならないかとずっと考えていました。

別の病院へ転勤になると、転勤した病院はがん治療は本人に病名を伝えないとしないというスタンスでした。

ホッとしました。
続く

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なかのひと

『患者と医者をつなぐもの』も読んでね。



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