それから、2ヶ月後肺の腫瘍は大きくなり始めました。

『Fさん、また一回入院でもして調べない?』

『入院は、イヤなの知っているでしょう。』

正直、治療後2ヶ月で大きくなった場合同じ薬剤では効果がないことが多いのです。

別の薬なら効果があるかも知れませんが。。。

『でも、またトポテカンという薬も使えるし』

『先生がよいと思っていろいろすすめてくれるのはわかる。

でも、私、入院するの嫌いやし、残された時間が短いのも知ってる。

抗がん剤したら少し楽になったけど治るわけではないのも知っている。

いくらしんどくないと言っても少しはしんどいし。

私の希望は入院しないで出来るだけ長く家で過ごしたいんです。』

その後、治療した方が長い時間生きれる可能性が高いと何度も何度も説明しました。

でも、Fさんの気持ちは変わりませんでした。

その後、外来に来るたび

『治療する気になったらいつでも言ってね。』というのですが。。。

『遠慮します。』

この繰り返しとなりました。

何度も抗がん剤を勧めましたが、意志は固かったようで「うん」とは言いませんでした。

もちろん、家族の方もこのやりとりを知っていてFさんの気持ちを尊重するとのことでした。

だんだんと通院がしんどくなってきました。

しんどくなってきても入院はしたくないようです。

Fさんの気持ちを尊重するために往診の先生にも来てもらうこととなりました。

それから程なくFさんは、衰えだんだんと食事ものどを通らなくなってきたそうです。

そんなある日、往診の先生からFさんがお亡くなりになったと連絡がありました。

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Fさんにとって、これで良かったという気持ちがある一方、もう少し治療をすすめていた方がよかったのかなぁと思う気持ちもあります。

確信できることは、Fさんが強い意志を持って3回目以降の治療を拒否したこと、また家族もその決断を受け入れていたことです。

それで、Fさんの意志を私を含め尊重することができたのです。

最期まで家で過ごすことができて満足だったと思っています。


なかのひと

『患者と医者をつなぐもの』も読んでね。



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