この間、病理解剖に対するバックグラウンドと一般の方との感覚のずれについてのお話をしました。
当たり前のことですが、一般の方が医療のことを知らないからHさんのような感覚を持ったのでしょう。
それで、D医師の説明を受けたから納得されたのだと思います。
今回は、病理解剖の裏を説明します。
表の理由は、患者さんが亡くなられた原因を調べることです。
そうすることによって、新たな事実がわかり医学の進歩に役立つんです。
これは、患者さんやご家族のためであり医学のためですね。
ただ、それ以外の理由もあります。
それは、医学教育のために病理解剖を行うことがあるのです。
それは、施設の認定のためです。
例えば、教育施設としてその病院が認定されなかったとしますね。
そしたら、その病院で行った研修が専門医取得のための単位として認められなくなったりします。
教育施設として認定されるには、ある程度以上の病理解剖の実績が必要です。
また、病理解剖の割合が低いと医学的にちゃんと出来ない病院なのかと思われたりします。
具体的には、内科学会の認定施設と指導医についてをみていただくとわかるのですがこうあります。
# 教育病院は下記の(1)〜(5)の基準全てを満たさなければならない.
1. 単独型もしくは管理型臨床研修病院の資格を満たす病院,および管理型臨床研修病院に準ずる病院
2. 内科病床数が50床以上あること
3. 内科剖検体数が10体以上あること
4. CPC※が年5症例以上定期的に開催されていること
5. 内科指導医が5名以上で,全員が総合内科専門医であることが望ましい
6. 本会年次講演会、または地方会での発表が年3演題以上あること
ちなみにCPC*とは、
CPCの定義
CPC (Clinico-pathological conference)とは,その症例の診療に関与した臨床医と病理解剖に関与した病理医を中心として,剖検例の肉眼的,顕微鏡的病理所見と臨床所見との関連について双方の立場から意見交換をし,詳細な病態および死因の解明に向けて検討を行うものである.この目的を達成できるものであれば,その規模や主催者の如何を問わない.病院全体や内科全体のCPCだけでなく,従来,担当病理医と主治医等が少人数で行っていた,いわゆる剖検整理会(剖検報告会)といったものもこの目的に沿ったものであり,CPCとみなされる.また,大学附属病院等で学生CPCが実施されている場合はこれも含める.
http://www.naika.or.jp/info/rireki/info080507.html
とあります。
簡単にまとめると、貴重な病理解剖によって得られた情報を病理医と担当医のみならず他科のドクターなどと意見を出しあい、死因その他について議論するものです。
あと大きな声では言いにくいのは、あえて深夜や週末に病理解剖を行う医学的理由はないと言うことです。
当然ながら、1分、1秒を争う必要はないのです。
ただ、早く亡きがらを連れて帰りたいとのご家族の方の気持ちも理解できます。
そこで、主治医としては早くして欲しくて夜中に電話することもありますし、実際に来てくれる病理の先生もいました。
ただ、それは、病理医・主治医にとっては負担も大きいことなのです。
人手不足な病理医を夜中に呼び出してまですることは総合的にみるとしてはいけないのです。
もちろんそれが可能なマンパワーがあれば許されるのでしょうけど、多くの病院で病理医は1人しかいません。
遺族感情も理解できます、しかし、生きている患者さんのために使う力をそいでは逆効果なのです。
解剖を、もちろんひとりで行うことはできません。
病理医と担当医の最低2名は必要です。
ほとんど、病理医が解剖を行い担当医が書記をすることが多いです。
だいたい、1から2時間程度で解剖が終了します。
そして、ご遺体をご家族にお返しして、肉眼的に解ったことをお伝えてして、お見送りをします。
あとは、病理医からの最終報告を待つだけです。
実は、最終報告が帰ってくるの早くて3ヵ月後、遅ければ1年後くらいなのです。
どうしても、生きている方の仕事を優先するので仕方がないのですけどね。
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解剖するの大変なのご理解頂けましたか?
これが、全部病院の持ち出しで行われています。
費用も、労働も。
何とかなりませんかね。
『患者と医者をつなぐもの』も読んでね。
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コメント
コメント一覧
へぇ~、解剖の実績も必要なんですね。
教育できる病院がないと、医師も育たないでしょうし、
そうかといって、少ない病理医と、病院持ちの費用のやりくりでは、なかなか大変なんですね。
どこもかしこも、ないないづくし゚゚(´O`)°
少しでも実情を知っていただけたらと思います。
少ない医療資源なので有効利用を考えることが大切だと思います。
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