結構大きな梗塞でした。
もしかしたら、腫瘍塞栓(がんが脳の血管につまって梗塞をおこす。)かも知れません。
脳梗塞の治療をしながらMさんの回復を待ちました。
病状は安定していましたが、再度梗塞をおこすと命にかかわるかも知れない話しを息子さんにしました。
1週間くらい経った頃でしょうか。
Mさんの容態がおかしい。
自らしゃべることはなかったのですが目を開けてうなずいたりしていたのですが、目を開けることがなくなっています。
CTを撮りましたが、前回のCTと比べてさほど変化はありません。
息子さんに、よくなる可能性は極めて低いこと。を説明しました。
その翌日、息子さんは尊厳死協会のMさんがサインをした書類を持ってきました。
尊厳死の宣言書
私は、私の傷病が不治であり、且つ死が迫っている場合に備えて、私の家族、縁者ならびに私の医療に携わっている方々に次の要望を宣言致します。
この宣言書は、私の精神が健全な状態にある時に書いたものであります。
従って、私の精神が健全な状態にある時に私自身が破棄するか、又は撤回する旨の文書を作成しない限り有効であります。
① 私の傷病が、現代の医学では不治の状態であり、既に死期が迫っていると診断された場合には徒に死期を引き延ばすための延命措置は一切おことわりいたします。
②但しこの場合、私の苦痛を和らげる処置は最大限に実施して下さい。
そのため、たとえば麻薬などの副作用で死ぬ時期が早まったとしても、一向にかまいません。
③私が数ケ月以上に渉って、いわゆる植物状態に陥った時は、一切の生命維持装置を取りやめて下さい。
以上、私の宣言による要望を忠実に果たしてくださった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従って下さった行為一切の責任は私自身にあることを附記いたします。
この書類にMさんは、署名捺印をされていました。
息子や他の家族に、延命治療をしないと言うことは人工呼吸器を使ったりとか心臓マッサージなどは少なくとも行わないということを説明しました。
『少しでも、長く生きていて欲しい。』
と言ったあと、少し考えたいと。
家族の気持ちとしては、少しでも長生きして欲しいというのは当然の願いです。
ただ、Mさんの場合はご自身で尊厳死を選択されています。
もし、息子さんが出来る限りの治療をして欲しい。と望まれた場合、私はどうしたらいいか悩みました。
息子さんは、返事をもう少し待って欲しい。としか言いません。
Mさんが亡くなられたあとのことを考えれば息子さんの希望通りの治療をした方がもめなくてすみます。
ただ、現在のMさんの意志は確認しようもありませんが、尊厳死を望んでいた方です。
私の正直な気持ちとしては、息子さんがなんと言っても人工呼吸器などは使わないでおこうと思っていました。
そうした場合、息子さんからなんと言われるかわかりません。
再梗塞から1週間ほどたった日、息子さんからMさんの希望道理にお願いします。との返事をいただきました。
正直、ほっとしました。
その日の夜、その光景を見ていたかのように、Mさんは息を引き取りました。
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