< 患者力 1 | メイン | 治験薬の副作用 >
2009.01.13 12:12 |  診療  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  よっしぃ  | 推薦数 : 1

腹水穿刺という手技

お腹にたまった水を抜くことを腹水穿刺といいます。

先日、尼崎の病院で腹水穿刺後にトラブルが発生しました。

この件に関しては、いろいろなブログで意見が述べられています。

NATROM先生の『NATROMの日記』
『腹水穿刺後の死亡の記事比較』
『謝罪とミスを認めることは違う』
『大阪市会議員が尼崎医療生協病院を批判』

紹介された市議会委員のブログです。
『尼崎医療生協問題、医療ミスを証明することは患者側にとってははなはだ困難なことなのです』

今回の件でも医療者側と患者さんとの間に理解不足な点があるかと思われます。

NATROM先生もあげられているように謝罪とミスは異なります。

今回のケースでは、遺憾の意を表すことは当然ながら必要であったでしょう。

それが、手技や処置、診療行為に対する謝罪ではないと思います。

それを謝罪ととったために行き違いが出たのでしょう。

腹水が抜けなかったことに対して失敗したのは事実のようですが。

例えば、採血や点滴を行うときの静脈の確保。

これも基本的な手技のひとつですが、『10人連続で成功するか?』と聞かれると多分大丈夫だろうけど100%の自信は、ありません。(自分自身で採血はうまい方だと思ってますけど。)

では、100人連続ならどうでしょう。

正直、少なくとも1回は失敗すると思います。

私も失敗したときに『すみません、痛い思いをさせて、もう一度させてください。』と言うことが多いです。

人間関係ができれいればもう少し砕けた表現をしますけど。

どんなに上手な人がやっても失敗することはあるのです。

これに対していちいち目くじらをたててミスだ。次からは何とかしてもらわないと。と言われてもやはり、一定の確率で失敗は発生してしまうのです。

場合によっては、1回でちゃんとやってなどとプレッシャーをかけられた方が緊張して失敗する率は高いと思います。

腹水穿刺は、手技の中でもどちらかと言えば容易に安全に出来る手技であると思います。

指導医の元、研修医に行わせるのはごくごく当然の事であると思います。

ただ、数回やってダメならば指導医に代わるべきだとは思いますけど。

今回の腹水穿刺は2回目でちゃんと抜けてますので手技自体の問題は全くないと考えられます。

そのあとの止血に関する問題はどうなのかわかりませんけど。

『医療報道を斬る』のbamboo先生のエントリーで『医師はミスを認めたか』もありました。

普通は、止血処置(圧迫など)など行わなくても出血することはないんですけどね。

肝臓が悪くて血を固める力が非常に悪かったと推測してしまいます。

また、bamboo先生のエントリーでこんなのがありました。

『警察はどう動くのだろう』

これは、胸腔内に管を入れようとして胸腔のすぐしたにある肝臓を刺してしまい出血したようです。

重症の合併症であったのですが、『医療の世界では、今回のような出血は、一般的に行われる医療行為、手術を行った時に起こる合併症とされており、ミスではない。止血の措置もちゃんとやっていた。』との事で異常死と考えないとしたようです。

人気blogランキングへクリック宜しくお願い致します。

どんな上手な人が行ってもある一定の確率で起こることを合併症といいます。

合併症をおそれては医療行為はできません。

腹水を抜かない選択もあるのでしょうが、お腹が張って苦しかったのではないでしょうか。

腹水によるお腹の張りをとるために一番確実な方法は、腹水穿刺にて腹水を抜くことです。

一般の方々に医療の不確実性が広まることを望みます。

あかがま先生も『日本の医療よ。さよぉなら』なるエントリーをあげられました。

私も、研修医が腹水を1回抜けなかった事が問題になるなら医者をやめたい。と考えてしまいました。


なかのひと

『患者と医者をつなぐもの』も読んでね。



レンタル

固定リンク | コメント (7) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバック URL

http://blog.m3.com/yosshi/20090113/1/trackback

コメント

コメント一覧

人間ですから、失敗することもあるでしょうけれど...。
その後の処置は、どうだったのかなーっていうのは、
ちょっと気になりましたけど。

医療では素人のマスコミさんが書いていることなので、
どこまでほんとかよくわからないです。
素人の見方の”フリ”をしてるかもしれないし(笑)




written by kei☆ / 2009.01.13 20:48
>その後の処置は、どうだったのかなーっていうのは、
ちょっと気になりましたけど。

そうですね。問題があるとすればそこでしょうかね。
ただ、腹水を抜かなければならないほどの肝硬変ってそうとうシビアな病状であることは間違いないですよ。
written by よっしぃ / 2009.01.14 12:18
>腹水を抜かなければならないほどの肝硬変ってそうとうシビアな病状であることは間違いないですよ

報道記事を読んで、一般読者が知りたいのはこういうことです。書き手がこれを書かずに、他の部分を強調してもねえ…という気がします。

また、遺族となった方々が病状をどのぐらい理解していたかも、ちょっと気になりました。
written by christmas / 2009.01.14 13:14
christmasさん

>また、遺族となった方々が病状をどのぐらい理解していたかも、ちょっと気になりました。

おそらくあまり理解していないからこそ、、、、なんでしょうね。


例の市議会議員さんのブログに取り上げられました。
http://tsujiyoshitaka.spaces.live.com/blog/cns!ED30C85C44D4F589!1906.entry

うろうろドクターさんと私は、正反対のことを言っていると述べられていますが、同じ事を述べているようなんですけどね。

普通の方もこんな勘違いをされるのでしょうか?勘違いされないように書いたつもりなのですけどね。

この件で、腹水穿刺の一回目に出来たか出来なかったかは、この方の転帰にはあまり関係がないと考えます。血が止まりにくかったのも2回目の穿刺が原因の可能性も十分に有り得ます。(一回目の穿刺が出来なかったことは謝るべき事ですので謝ったのだろうと思います。)

ただ、そのあと出血がなかなか止まらなかったことと関連があるかと言われると穿刺を失敗したことはあまり関係なく、成功しても同様のことが起こったのではと考えられます。

ですので、病院側はミスを認めないと言うことなのだと思います。

お亡くなりになられたことは残念なことなのですが。

市議のブログにコメントを入れたかったのですが、ログインしないと出来ないので自分のところでコメントしました。
written by よっしぃ / 2009.01.14 22:51
え?正反対ですか?
う~ん。。。

例えば、自分が逆の立場(治療する側)だったら...って考えたら...。

少なくとも私は、よっしぃ先生とうろうろドクターさんとは、同じ意見に思えました。
written by kei☆ / 2009.01.14 23:53
拙ブログでも取り上げて記事にしたのですが『医療の不確実性』ということが、一般の人には伝わりにくいということが一番大きな原因であるとは思いますが。

この件については、消化器内科医である、akagama先生の『日本の医療よ。さよぉなら』で、見解が述べられています。

恐らく、この病期なら、ベテランがやっても、研修医がやっても、大差なかったんでは・・・と。

それは多分に間違ってないと私は思いますが、ただ肝心な情報が無さ過ぎて、憶測でしか言えないんですよね、我々もそうですけど。

確かに2回刺したことが原因でないとは言い切れません。ですが、尼崎医療生協病院HPのよると、『検査の必要性から、穿刺を行った』とあります。

仮に1回の穿刺であっても、この女性の病態からすれば、出血して止まらなくなる可能性はあります。となると、リスクを回避するためには、検査でも治療でも、穿刺を行わないという選択肢になります。

果たしてそれで助かったかどうかも謎です。

これが、医療の不確実性で、一般には理解しがたい、受け入れがたいことだとは思いますが。



written by azuki / 2009.01.15 13:07
Kei☆さん
同じ事言ってるのわかりますよねぇ。

azukiさん
理解は、完璧です。
みんな、azukiさんみたいに理解がよければいいんですけどねぇ。
written by よっしぃ / 2009.01.15 22:18

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。
よっしぃ
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック