今日は、分子標的薬のお話です。分子標的薬とはもご参照ください。
分子標的薬は、効果のある方と効果のない方が検査にてある程度予測できるものがあります。
たとえば、イマチニブ(グリベック)は、フィラデルフィア染色体が陽性であれば効果が認められています。(例外もあるので詳細は主治医に確認してください。)
トラスツズマブ(ハーセプチン)は、HER2と言うタンパク質が過剰にある方に適応が認められています。
以下、イレッサとタルセバに関しての話とします。
ゲフィチニブ(イレッサ)やエルロチニブ(タルセバ)は、上の薬剤ほど明確ではないですが、腫瘍細胞のEGFR遺伝子の変異がある場合によく効きます。(EGFR変異があれば、70%から90%効果があるとの報告があります。)
しかし、イレッサやタルセバは、EGFR変異があっても100%効果があるわけではなく、また、なくても効果のある場合もあります。(せいぜい10%ほどですけど。)
今のところ、分子標的薬はずっと効果があるわけではなさそうだ。と考えられています。
ちなみに、イレッサの場合効果があっても1年程度で効果のなくなる方が多いことを実感しています。
よく効いていても2から3年です。
それ以上効果が持続している方はほとんどいないと思われます。
その理由もだいぶとわかってきました。
まず、EGFR変異(主にエクソン19や21)があるとなぜイレッサやタルセバが効きやすいか?
まず、薬剤が変異の無い場合と比べるとEGFRと結合しやすいから効果があるという話があります。
もうひとつは、変異があるとEGFRは、変異のない場合と比べてシグナル伝達が活性化していると言われています。
つまり、がんの増殖や転移などの作用がEGFRに多く依存している。ですので、そこを押さえるイレッサやタルセバが効果的と言うわけです。
では、なぜ効果がなくなるのか?
エクソン19や21の変異がなくなったのか?
そうではないようです。
エクソン20と言う場所に新たな変異ができるとイレッサやタルセバの効果がなくなるようです。
どうも20に新たな変異ができるとEGFRの作用がより活性化してイレッサやタルセバでは押さえきれなくなるようです。
イレッサやタルセバは、可逆的(EGFRにくっついたり離れたりする。離れると効果なくなる。)な阻害なので、非可逆的な阻害薬であればこのような事はおこらないだろうと現在EGFRの非可逆的な阻害剤が開発中です。
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エクソン19とか21とかは、どこが変異してるかの場所の話なので一般の方はあまり気にしないでください。
グリベックも効かなくなったときに新たな変異ができてるようですよ。
『患者と医者をつなぐもの』も読んでね。
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コメント
コメント一覧
完治させることを考えるよりも、がんと共に生きることを考える、という言葉を聞いたことがありますが、それは決して諦めではないと思います。
薬の名前で`○○○ブ’と、ブで終わるものがありますが、何か意味があるのでしょうか。
それと、この種類の抗癌剤の副作用で有名な間質性肺炎は、何故起こるのでしょうか?
azukiさん
おそらく、そうなのでしょう。
細菌が抗生剤から生き延びれるようにがんばって薬剤耐性菌となるように。
christmasさん
さすがですね。
抗体薬は、語尾がキメラ抗体(マウスと人の成分で作った)ならximab(キシマブ)ヒト抗体 (ほとんど人の成分)ならzumab(ズマブ)完全ヒト型ならumab (ウマブ)を語尾につけるというような命名法があります。
だからですね。
ruriさん
エクソン20に変異があるとタルセバも効きにくいと思います。
ただし、もともと変異がなくても効果のある方もいます。
あくまで、可能性を予測できるだけです。
マーボーさん
イレッサが効かなくなったら、抗がん剤をしてからイレッサを再投与するとまた効いたと言う報告はたまにあります。(もちろん常にそうではありません。)
理由としては、エクソン20の変異ができて効果が薄れてきた。
そこで、抗がん剤を行うとエクソン20の変異を持った細胞がやられたりエクソン20の変異がなくなったりする。
イレッサ再投与が効く。
と考えられています。ただし、確率は高くないです。
間質性肺炎、肺傷害とも言います。
EGFRは、日本語で上皮成長因子受容体と言います。
ですので、がん細胞でなくても上皮成分のあるところに存在します。
皮膚にもあるし→皮疹がでやすい。
腸にもあるし→下痢をしやすい。
もちろん、肺の細胞にも存在します。おそらく、それが関与して肺傷害が起こると思われます。
ただし、正確な機序はまだわかっていません。
長らくナゾに思っておりましたので(でも調べるのは忘れていた)、大変満足です!
また、他の方々の質問も同様に、ナゾだけど調べるのが面倒くさいと思っていたことで、まだよくわかっていないことがわかってよかったです。どもっ!
母を肺腺癌で亡くした内科医です。
EGFRの検査も受けイレッサを開始したところ
CEAが80000から100分の1の800まで低下しました。
でも結局10ヶ月ほどで腫瘍マーカーが増殖しはじめたので
イレッサを中止しました。
下痢や皮膚症状も強かったのですが、他のchemoよりは
格段に効いた気がしたので残念でした。。。
腫瘍自体は1センチくらいでオペで取りきれていたし肺内転移もなかったので腫瘍縮小率は測れませんでしたがそれでも著効と言えるだろうと主治医は言っていました。
はじめまして、イレッサはスーパーレスポンダーがいますよね。
あきらかに1年以上イレッサのおかげ長生きできた人何人も見ましたよ。
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