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受診したのに検査や治療を拒否する患者さんがときどきいらっしゃいます。

もう、ずいぶん前の事です。

Hさんは、70代の男性でしたが、会社の経営にかかわっており精力的に仕事をこなしていました。

健康診断で胸部レントゲン上異常陰影を指摘され紹介されてきました。写真を見ただけで肺がんを強く疑うものでした。

Hさんに、肺がんが疑われる事を説明し、『検査入院をしましょう。』と説明をしました。
すると、Hさんは、『入院は出来ません。仕事がありますから。』

『Hさん、もし肺がんだったら早いほうがいいんじゃないですか?』

Hさん『肺がんだとしても、後3ヵ月は忙しいから無理です。3ヵ月経ったら考えます。』

ここで、Hさんの主張をまとめると肺がんであったとしても仕事の方が大切なので少なくとも3ヵ月は、仕事を休む気はない。と言う事です。

しかし、Hさんが肺がんの事をどれだけ理解しているか。おそらく、あまり理解していないのでしょう。

『できれば、来週の外来に家族と一緒に来てください。もう一度、説明をさせて頂きます。』

Hさん『無理です。忙しいので。』

『じゃあ、今から詳細な説明をします。厳しい話しをしなければならないかも知れませんがよろしいですか?また、紹介されたI先生とは長いつきあいですか?』

Hさん『はい、話してください。I先生とは、10年以上診てもらっています。』

『おそらく、画像を見る限りリンパ節も腫れていますので3期以降の肺がんの可能性が高いです。治療は、おそらく手術は難しいと考えられますがもっと詳しい検査をしないと手術できるかどうかは不明です。手術不能肺がんの場合無治療ならば6ヵ月から10ヵ月でおなくなりになる方が多いです。ですので、3ヵ月後に検査を行う事はおすすめできません。』

Hさん『わかりました。I先生と相談します。』
その日は、上記の内容を記載した紹介状の返事とともに帰られました。

翌日、I先生から電話がかかってきました。
Hさんの意志は固いらしく、3ヵ月は入院できないとの事でした。

それから、半年以上経ってI先生から一通の封筒が届きました。
正直、Hさんの事を忘れかけていました。

Hさんは、あれほど入院をすすめられたのに拒否したためうちの病院を再受診する事をためらわれたそうです。そこで3ヵ月後に少し離れた病院を受診したそうです。

その病院では、多発肝転移の肺がんと診断され、抗癌剤治療をすすめられたそうですが、結局抗がん剤治療を拒否されたそうです。
そして、対症療法、緩和医療を中心とした治療を受けられ先日永眠されたと書かれていました。

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Hさんも最初からがんでも抗がん剤や手術は断るつもりだったんだなあと思いました。
本当に人生いろいろです。


なかのひと

クリスマスですが、関係のない話でした。

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コメント一覧

検査、治療拒否の患者が来たらカルテ記載に時間を割かれて無駄な労力を医者に強いることになりますよね、とほほ。

勧めたんだけど患者が拒否、家族が拒否。しかし、こういう時に緊急でどう対応するか病院の安全管理部と連絡をとって【訴えられても負けない準備】を周到にして検査、治療は再度、勧めています。
written by Tai-chan / 2007.12.24 17:58
お医者様には嫌われそうですが、財務省には喜ばれそうな生き様。
かかりつけ医がない場合は、医療難民となりそうで心配ですが、この場合は、患者の望み通りの最良の終末であったと思います。

よっしい先生、思わずポチッしちゃいました。
written by aqua(一般) / 2007.12.24 21:02
「アリ」です。
あっぱれ!です。
私も70位になったら、そんな風でいたいです。
でも、実際そうなったらオタオタしちゃいそうです。
written by マーボー / 2007.12.24 23:23
コメント頂いた方それぞれ異なる意見でした。

Taichan先生
医者から見ると、すすめた方針を拒否する方の対応は非常に難しいです。
なぜ、その検査や治療が必要か?それをしないとどうなる事が予想されるのか?
などなど詳細に説明しないと万が一裁判になったときに困りますからね。

なら、最初から受診しなければいいのにと思う事もあります。

aqua(一般)さん
財務省から見たら嬉しい!?でしょうね。
まあ、最後まで意志を貫けてこの方にとっては良かったですよね。
ただ、外来での説明は時間がかかり苦労しましたけど。

マーボーさん
あっぱれ!って意見ですけど、現実はご自身でも予想されてるようにオタオタしますよ。きっと。
最初から治療もしないって考えならいいですけど。
実際問題として、診断だけはきっちりしてから考えたらいいのではないでしょうか?

私は、抗がん剤治療の場合は、無治療の選択肢もあるよ。って軽くですけどお話しするようにしています。

written by よっしぃ / 2007.12.25 12:31
>私は、抗がん剤治療の場合は、無治療の選択肢もあるよ。って軽くですけどお話しするようにしています

 最初は患者本人がこの選択をし、QOLをバッチリ保つことができました。徐々に病気が進むうちに、本人も今後のことを考える時間的余裕が持てましたし。。。結果的に有効な治療法となりましたよ。家族は最初、すごぉぉく落胆したけど。。。
 自分の終焉時がHさんのように多忙な状況になっているとは思いませんが、HさんやかつてのUさんのように、命の尽きるまでの時に追及する何かを持っていることは、本人にとって大きな心の救いだと思います。
めりぃ くりすます♪♪
written by christmas / 2007.12.25 13:22
christmasさん
今後のことを考える時間的余裕。
これがあるのとないのでは、大違いですよ。

christmasさんに めりぃくりすます!
と言われるとなんだか嬉しい。
ありがとうございます。
written by よっしぃ / 2007.12.25 22:08

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