肺がんが増悪して、胸水がたまり、息苦しくなってきました。食欲もかなり落ちてきています。

胸腔に管を入れたのですが、その間にさらに倦怠感が強くなってきており、水をたまりにくくする処置をするのがEさんにとって負担となりそうです。

実は、Eさん、今まで主治医のおすすめの治療をずっと選択されてきました。
ですので今回もそうされるものだと思っていました。

しかし、Eさんの口からは、
『先生、明日薬を入れてください。確かに体力が落ちている事は自分でもわかります。
でも、薬を入れる方法が一番いいように思うのです。
メリットもデメリットも十分理解しています。お願いします。』

Eさんが決めた事です。おそらく十分に考えた末に出した結論です。

『わかりました。じゃあ、明日しましょう。しんどいけど頑張りましょうね。』としか言えません。

薬を入れた後に薬を胸腔内(肺全体に)に十分行き渡らせるために、体の向きを30分おきにかえないといけません。

上向き、右向き、うつ伏せ、左向きって具合に。
意外とこれがしんどいのです。

Eさんは、自分の決めた事なので頑張っています。

各々の向きの時間が決められています。

マジメで頑張りやさんのEさんは、トイレに行った時間、しんどくて休憩してた時間は、タイマーを止めています。

普通ならゆうに終わっている時間なのに頑張っています。

『Eさん、もうそんなに頑張らんでいいじゃないですか?』

『いえいえ、きっちりしないと自分の中でのする意味がないもので。』

Eさんの頑張りもあってか翌日より胸水はほとんど出なくなりました。

Eさんは、非常に満足そうでした。

『では、レントゲンでよかったら、明日管を抜きましょうか?』

『はい、そうしてください。』

管を抜く日がやってきました。レントゲンもOKでした。
そして、管を抜きました。

Eさんは、嬉しそうでした。
でも、本当にしんどそうでした。

その日の夜、Eさんは永遠の眠りにつきました。

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Eさんは、最期の力を振り絞って頑張ったようです。

Eさんの希望を叶える事も大事です。しかし、なんだかやりきれない思いも残ったのでした。


なかのひと


Eさんのご冥福をお祈り申し上げます。

                 よっしぃ

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