もうずいぶん前の事です。

Eさんは、肺に影があるかたと当院に紹介されてきました。

その後、肺癌である事がわかり、抗がん剤治療を行いましたがしばらく経って再発がわかりました。

Eさんは、化学系の研究者でした。過去形なのはもう引退していたからです。
ですので、物事を非常に理論的に考えられます。

しかも、頑張りやさんです。

再発後の治療も頑張ってうけられました。

治療の合間には、スペイン語の本を読んでいます。

話しをしてみると、自分の頭を鍛えるためにとの事。
今までスペインに留学したとかの経験はなく、勉強が好きだからその一環でスペイン語も習いたいとの事でした。

また、理論的な化学者であるEさんは、人間の体は理論的でない事も十分に理解されました。
人間の体は個人個人同じでないと言う事も十分理解されていました。

肺癌についても非常に勉強されいろいろ質問されました。

それに対し、出来るだけの返事はしたつもりです。

おそらく、研修医の先生よりもは肺癌について詳しくなっていたと思います。

当然、今後自分がどうなるのかも理解されていました。
もしかしたら、その不安を消すために一生懸命自分が知らない事を勉強したりしたのではないでしょうか。

残念ながら、肝臓への多発転移を認めました。
さらに、Eさんの胸には水がたまってきました。

それまでは、自覚症状もなく見た目は元気でしたが、徐々に食事が取れなくなってきてさらに、息苦しさも出てきました。

Eさんと相談しました。

一般的に今の息苦しさを取るには外から胸水を抜くために管をいれて胸水をたまりにくくする薬を管を通していれてたまりにくくするのが標準的なんですけど。(胸膜癒着です。)

今のEさんの体力を考えると、管を入れないで比較的細い針でペットボトル1本程度抜いてみる方法がいいんじゃないですか。

ただし、すぐにたまって息苦しくなるかも知れませんが。

また、息苦しさを取るだけならモルヒネを使う事によって息苦しさは感じにくくなりますけど、根本的な解決ではないですね。

1時間くらいEさんと話しをしました。

Eさんは、今後の方針をどうするか考えていました。

つづく。

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なかのひと

果たして、Eさんの選択は?


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