既存の抗がん剤と分子標的薬の違いは以前分子標的薬とは?で説明しました。
おさらいをすると既存の抗がん剤は正常な細胞にもかなりのダメージを与え白血球が減少したりして重篤な感染症に気をつけなければならないし、全身倦怠感などが強くでる薬です。
分子標的薬は、ねらった部位による副作用があるのですが基本は正常な細胞にほとんどダメージを与えない薬です。
ですので一般論としては、分子標的薬のみでの治療ができるようになると患者さんは非常に楽にがん治療が受けられるようになる事が考えられます。(まあ、予期せぬ副作用もあるので一概には言えないですが。)
一部のがんにおいてはすでにファーストチョイスで分子標的薬が使用されるようになってきているのですが、肺がんにおいてはまだまだって感じでした。
そうした中で、最近分子標的薬だけの治療でもよさそうって論文が出てきました。
非小細胞肺癌の再発時の標準治療は、抗がん剤単剤での治療です。
この試験は、①『既存の抗がん剤単剤』と②『既存の抗がん剤単剤+分子標的薬(血管新生阻害剤)』と③『分子標的薬2種類(血管新生阻害剤+EGFR阻害剤)』を比較したものです。
効果の面では、大きな差はないが①より②③がややよかった。
副作用の面ではあたりまえですが、貧血や白血球減少は③が一番少なかった。
また、副作用による治療の中止も③が一番少なかった。
以上の結果を考えると③の治療が一番いいように思いませんか?
③が一番いいなら既存の抗がん剤より分子標的薬2種類での治療が再発非小細胞肺癌の標準治療となりそうですね。
はたして、そうでしょうか?
実は、この試験は、第2相試験です。ですので標準治療と認めるわけにはいきません。
第3相試験を行わなくてはなりません。
第3相試験で同様の結果がでれば標準治療の一つに入るだろうし、
今までの標準治療に勝てば、新たな標準治療となるでしょう。
印象としては標準治療の一つになるような気がします。
では、近い将来に分子標的薬2種類(血管新生阻害剤+EGFR阻害剤)の治療が非小細胞肺癌が再発したときの標準治療の一つではなくて、絶対的な標準治療になりえるのでしょうか?
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コメント
コメント一覧
>最近分子標的薬だけの治療でもよさそうって論文が出てきました。
この論文の場所を教えていただけませんか。具体的な条件・薬品名を知りたいですぅ。。。
Pubmedのabstractのアドレスです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=17909199&ordinalpos=6&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum
血管新生阻害剤は今をときめく『アバスチン』EGFR阻害剤は『タルセバ』です。
第2相試験の患者数は120人。
副作用による治療の中止の割合は、①が24% ②28% ③13%
1年生存率は、①が33.1% ②53.8% ③57.4%
‘一般に、抗がん剤は肺がんには効きにくい’と書かれた本を何冊か読みましたが、これらの分子標的治療薬は、その記述を書き換える組み合わせとなり得ますかしらん。。。
その通りです。
>抗がん剤は肺がんに効きにくい
これは、何か他のがんとの比較ですよね。大腸癌などど比べると効きにくいです。
しかし、膵癌、食道癌などと比べると効きにくいとは言えないですよね。
分子標的薬で奏効率が飛躍的にあがる可能性があります。もちろん、他のがんでもそうです。比較対象の奏効率も上がればあまりかわらないかも!?
しかし、10年後のがん治療は今と全く違う治療が主流になっていると思います。
>分子標的薬で奏効率が飛躍的にあがる可能性があります。もちろん、他のがんでもそうです
ASCO2005で、乳がんの既存の抗がん剤単剤(奏効率約3割)と、ある分子標的治療薬(奏功率約3割)とを併用したら、奏功率が6割弱になったと報告されました。
他のがんと比べ、乳がんは一般に抗がん剤の効きやすいがんと言われるようですが、それでも単剤で3割の奏功率って低いなあと思ったのですが、6割というのはさすがに高っ!って思いました。
分子標的治療薬は確かに副作用がマイルドで、治療生活を進めるのに有用だと実感です。あとはお値段ですね。。。
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