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2007.08.28 08:48 |  診療  |  研究  |  医療事故  |  癌関連  |  よっしぃ  | 推薦数 : 3

抗がん剤について

治療関連死についてイレッサについてで抗癌剤のことについて少し述べました。もう少し、抗癌剤全般のことについて述べたいと思います。

抗癌剤は今大きく2つに分かれます。まず、昔からあるタイプの抗癌剤でcytotoxic agent(殺細胞性薬剤)と呼ばれる薬剤と2000年代になり急速な進歩をとげている分子標的薬と呼ばれる薬剤とにわかれます。

殺細胞性薬剤とは、簡単に言うと細胞分裂に関するところに作用して細胞を分裂できなくして死に至らしめる薬です。

これ以後は、殺細胞性薬剤のことについて述べます。

がん細胞は、無秩序にどんどん分裂していくのでこの種の薬にやっつけられるのです。ですので、正常な細胞(特に分裂能力の高い細胞は)もダメージを受けます。正常な細胞は抗癌剤投与から3、4週間でダメージから抜け出します。正常細胞がダメージから抜けきったところで、2回目の治療に入ると言うイメージでしょうか。

正常な細胞の方が、がん細胞より分裂能力が低い分ダメージから回復するのが早い、その差を利用して、がん細胞にどんどんダメージを与えるのが抗癌剤治療です。

と言うことは、分裂能力の高いがん(悪性度の高いがん)は、抗癌剤が効きやすいのでしょうか?

正解です。(例外はもちろんあります。)

抗癌剤の投与量の設定はどうなっているのでしょうか?
一般的な薬剤と比べて、至適投与量と致死的投与量が非常に近いです。(がん細胞の分裂を止めようとする薬剤です。正常細胞の分裂も止まります。)
より多くの人により多くの効果をもたらす、かつ致命的な副作用が出にくい量を臨床試験で見いだして至適用量となります。

では、副作用とはどのようなものがあるのでしょうか?
嘔気、嘔吐、全身倦怠感、しびれ、口内炎、脱毛(治療後3ヵ月程度で戻ります。)、肝障害、腎障害、心毒性、肺毒性、アレルギー、皮疹、筋肉痛などなどいろいろありますし、抗癌剤投与からどの位の期間で出てくるかがだいたいわかってます。

また、骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板減少)がもっとも注意しなければならない副作用です。赤血球が減れば貧血となりフラフラするし、血小板が減れば血が止まりにくくなるし、白血球が減れば感染症にかかりやすい状態となります。

貧血と血小板減少はある程度以下になれば輸血をして対応することになります。ですので、エホバの証人の信仰者の方の抗癌剤治療は、慎重に行わなければなりません。
白血球が下がれば、G−CSFという白血球を増やす注射をしたり、発熱があればすぐに抗生剤を使用したりしないといけません。

一番治療関連死で多いのが白血球減少時に感染症を併発して命を落とすことが最も多いのです。

抗癌剤でないどの薬もそうですが、個人個人を見れば効果があるかどうかや致死的な副作用がでるかどうかはわかりません。
副作用が強いからよく効くとか、副作用がないから効きにくいとかいうようなことはありあません。
結局、やってみないとわからないのか。と言われるかも知れませんがその通りです。

やってみないとわからないので、やってみる価値はあると思うのですが。いかがでしょうか?

今度は、標準治療ってどうやって決まったのかについて話したいと思います。

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ですので、効果がないのにあんまり頑張りすぎると命、縮めることになりますよ。


なかのひと

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コメント一覧

抗がん剤は作用と副作用が表裏一体の代表ですね。
薬の効き目が治療に有利に働けば作用、体に悪い方に働けば副作用。
医療がリスクとベネフィットの天秤の上に成り立ってることを説明するのに、いい例だと思います。
一般の方にわかりやすく説明する先生の姿勢には、いつも感心します。
written by rinzaru / 2007.08.28 09:14
抗がん剤投与時のプラセボ効果についてお尋ねします。
抗がん剤を点滴中、薬ががん細胞をやっつけるイメージを持ったり、「この薬は絶対に効く」と思うことにより、薬の効果が高まる、というような話を民間~癌にかかった医師の本などで目に留めることがあります。確か、論文にもあったような…。
よっしぃ先生はいかがお考えでしょうか。ご体験ありますでしょうか。
written by christmas / 2007.08.28 13:36
rinzaru先生
殺細胞性の抗癌剤はそうです。最近は分子標的薬が注目を集めており副作用のプロフィールが異なりますよね。また、その話題も考え中です。
いつも、コメントありがとうございます。

christmasさん
論文ありましたか!?
あるだろうなぁとは、思いますがその程度です。どんなに頑張っていても効果のない人もいますし、個人個人の効き方が異なるのでプラスアルファの効果を見いだすのは難しいと思います。具体的な体験はわかりません。m(_ _)m
written by よっしぃ / 2007.08.28 21:45
こんばんは。抗がん剤のお話ありがとうございました。
興味深かったです。怖くもありですが(笑)

ところで、抗がん剤の投与はいきなり至適投与量から入るのですか?

私の疾患では(医師によって違うのかもしれませんが、私の主治医の場合)少な目からの投与でした。重篤な副作用は早いうちから出るので、まず、薬との相性を見て、その後、寛解導入適用量(認可量ではなく、私個人適用量)になったのですが。
written by ako / 2007.08.28 22:47
こんばんは。

私の同居人の場合は、初回の抗ガン剤では本人は全くケロリとして、あっけに取られたものです。
それで、無知な私たちは「副作用がないから効かないのか?」と不安になった位でした。
もちろん担当の先生からは「作用と副作用が比例するわけでは無い」と説明はして貰いましたが…
結構そんな風に思う人が多いかもしれません。

彼の場合は結果的にはそれは効果が無く、次には別のお薬になってしまいましたが、もし、あんなに副作用も無く、ガンに効いてくれたのだったら、抗ガン剤も世間で言われている様な「悪者」(←ちょっと言い過ぎかな?)では無いと思いました。

手術適応でないガンには、やってみる価値はあると思います。

それと、無治療でいられる程、人って強くない様な気もします。
(ちょっとテーマとは違っちゃいましたね、ごめんなさい)
written by マーボー / 2007.08.28 23:45
よっしぃ先生、コメントバックありがとうございました。
>個人個人の効き方が異なるのでプラスアルファの効果を見いだすのは難しい

余韻のあるいい響き、ほっとします! だって一生懸命効くように祈って効かなかったら、祈り足りんかったのかって、どっかの宗教のノリになってしまい、苦しいですもん(笑)。

マーボーさん、初めまして。私は初発のがん治療から無治療となり、清々しております。家人は再発がんで、無治療は不安だと申しております。よっしぃ先生のブログの、無治療を選択した方のエピソードを読んでも、人はそれぞれだなあっと思うばかり、考えがまとまりません。あ、私は性格がとても弱いです(笑)。
written by christmas / 2007.08.29 11:57
akoさん
抗癌剤は、全身状態が悪くなければ(合併症がなければ)標準投与量(至適投与量?)から投与します。殺細胞性抗癌剤の基本は始めにどかんと敵(がん)をたたきに行かなくてはならないと思います。がんの種類にもよるのでしょうが、肺癌は最初が肝心と思っています。

マーボーさん
そうですね。副作用が少ないから効いてないんじゃないかと心配する患者さん多いです。副作用ほとんどないのに、よく効く人もいますよ。特にプラチナでない抗癌剤の副作用軽い事多いです。

無治療でいられる人は、少ないです。だからといって、効果のない治療をえんえんとするのは、いけないと思います。だから、ギアチェンジ、難しいんですけどね。サイコオンコロジー(腫瘍精神学)の一番の課題ではないかと思っています。

christmasさん
やはり、終末期では、宗教も大事だなと思います。だって、人間は弱いですから。今の日本、宗教の力が弱いのがちと問題かなって思います。
ホスピスねぇ。個人的には、キリストベースでなければ受け入れれるんですけど、ちょっとねぇって思っちゃいます。

もちろん、人それぞれ、その人の生き方があります。少しでも、考える事が明日につながる事だと思ってます。だから、今はまとまらなくて全然いいんじゃないでしょうか。
written by よっしぃ / 2007.08.29 18:22
Christmasさん
はじめまして。

Christmasさんは、詳しい事はわかりませんが、きっとガンと共存される道を選んだのですね。
そして家人の方は別の方法を選んだのでしょうか?

なるほど、ホントに人それぞれなんですねぇ。
いや、もしかして「ガンそれぞれ」なんでしょうね。



よっしい先生
akoさん宛に書かれていた「肺ガンは最初が肝心」と言うのは、ホントですか?
同居人は初回に叩けなかったですが、二つ目の薬で一時は身体の脇に出てしまったガン(胸水を抜いた管を外す時にくっついて来てしまった様です)が、目に見えて小さくなりました。
副作用もなく、「抗ガン剤って効くんだ〜」と感動した一瞬でした。
効く時は効くんですよね!
written by マーボー / 2007.08.29 22:45
 マーボーさん、再びこんにちは。
 現状を考慮すると私は根治を、家人は共存を考えるべきなのですが、両人揃って気持ちは逆になっています(苦笑)。私の場合、抗がん剤の副作用で苦しむよりは無治療の方がいいなとの感想が抜けない状態です、、、しかし、再発末期になるとやっぱりもっと生きたくなるのだなと、ヒシヒシと伝わるもんがあります。自分こそ末期になったら、死にたくないとジタバタするかもしれないと、想像する時もあります。やっぱり考えはまとまりません。
 私は一神教がちょっとねえなので、迷うのかも(苦笑)。
written by christmas / 2007.08.30 11:41
マーボーさん
肺がん治療での抗癌剤治療には、2つの意味があります。ひとつは根治を目指す治療。すなわち、再発しないようにする治療です。そのためには、最初にガツンといかなければ治癒は望めません。(再発したがんは、治癒しないです。)
根治治療でない治療は必ずしもそうでなくていいと思います。
もちろん、効くときは効きます。うれしくて、早く患者さんに伝えないとって思います。

christmasさん
いろんな神様にいますから、お好みで。。。。
根治が望める状態なら、目指した方がよいかと思いますよ。ホントに。
written by よっしぃ / 2007.08.30 18:59
よっしぃ先生
わかりやすい説明、ありがとうございました。
「効いた時は嬉しくて…」と言うコメントに思わずこちらも嬉しくなりました。

そうゆうのって患者からすると「一緒に戦ってくれてる」って感じがすると思います。
同居人の先生もそんなでしたから、少なくとも、私にはそう感じました。

Christmasさん
二度目まして(!)
四ヶ月半で彼を見送ってしまった私から見ると「もったいない!」と言うのが正直な所です。

でも、決心がつかないのもわかる様な気もします。
だって「やってみなけりゃわからない」なんて、博打ですもんね。
しかも本人にしたらまさに「命掛け」ですから……。
written by マーボー / 2007.08.31 01:43

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