悪性疾患の患者さんで治癒しない場合、ギアチェンジが必要となるときが来ます。
ギアチェンジとは何かご存じですか?
今まで行ってきたがんに対する積極的な治療(手術や抗癌剤や放射線治療などの根本からがんを治す治療)をやめて、緩和医療のみへと移行する事です。
患者さん本人、家族そして、主治医にとっても非常につらい事です。
昔は、本人に病名を伝える事が出来なくてニセの病名(肺癌であれば肺化膿症や肺真菌症、放っておいたらがんになるとか)で抗癌剤治療をしている時代がありました。(私の研修医時代が最期ぐらいでないでしょうか。)
そして、今では悪性腫瘍も病名を告知する事が日本でも一般的となりました。
今は、ギアチェンジをどううまく伝えるかが問題になるのではないでしょうか?つらいけど、必要な事なんです。
ギアチェンジを伝えないとどうなるか?
患者さんはもちろん、積極的な抗癌剤治療などを希望される事が多いです。
希望されても治療効果による延命のメリットよりも副作用によるデメリットの方が大きいと考えられるのでギアチェンジが必要なのです。
きっちりと伝えないと医師としては、少量の効くはずもない量の抗癌剤治療(もちろん、副作用もほどんど起こらない。)を使う場合もあります。
そんな治療にどんな意味があるのでしょうか?
無駄な事だと思いませんか?
そんな治療するくらいならもっと有意義に時間を過ごした方がいいんじゃないでしょうか?
本当は、実際に患者さんに伝える時の話しを書こうと思い書き始めました。しかし、難しすぎて全然すすみませんでした。
また、書けるように成長しましたら綴りたいと思います。
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コメント一覧
私の父の最期は先日書かせていただきましたが、父が肺がんを告知されたのは亡くなる3年くらい前だったと思います。本人に告知する事がだんだん増えてきたころでしたが、告知はしませんでした。父は79歳位で脳梗塞から何とか復帰し心臓肥大やら高血圧やらを抱えながらも日常生活もそれなりに支障なく送り始めていた時期でした。その時の主治医は、父の身体状況から手術や化学治療が耐えられない可能性も高いことから、肺がんについてはまったく治療しないという選択もあることを伝えてくれました。私たちは治療のリスクと最期の迎え方にも示すとおり父は覚悟をしてしまうと準備を始めてしまう性格である事から、知らないまま人生の最期を迎えさせることを選択しました。それから亡くなる半年前まで原付バイクで出かけそれまでどおりに過ごせました。そして最期2か月入院し前述の最期を迎え旅立ちました。私は私の決断にとても満足しています。告知しても積極的治療をしてもこんな幸せな最期は迎えさせてあげれなかったと思います。15年も前に何もしない選択を提案してくれた主治医に心から感謝しています。
告知に関しては父にはしませんでしたが我々には必要だと思っていますし、もし私ががんになったら躊躇なく告知してくれるように頼んであります。
先日夫と話しました。お互い将来どちらがそうなったら、治療は辛くとも戦うけど、もう治る見込みがない時は無駄な辛い治療はやめよう、お互いできるだけ穏やかに意思疎通できる時間をできるだけ長く持てるようにしようと・・
施設に入っている要介護5の母、入居前入院していた婦長さんからこれはみんなに確認していることなんだけど、将来呼吸器やら延命機械が必要になったときどうしたいか?と面談されました。「そういうものは希望しません。そうなったときは自然に逝かせてください。ただ苦しさだけはできるだけ取り除いてください」と即答しました。
やっぱり父の最期の経験と夫の辛い闘病生活がそういう覚悟をさせてくれたんだと思います。
医師という職業上、そういう事は日常茶飯事で無感情では?と思っていましたが、そんな風に思ってくれる先生がいるというのは嬉しい事です。
今後巡り合うDr.に対しても見る目が変わりそうです。
ふとこのお話で思い出した患者さんがいます。
悪性腫瘍の患者さんで完治の見込みはなく、Drに余命を告知された患者さんです。
告知後、彼女は部屋で泣きながら「私死ぬんだって。どうすればいい?」と聞かれたことがあります。
経験の浅かった(今もですが)私は「あなたが好きなことをしてください。食べたいものを食べてやりたいことをしてください」としかいえませんでした。
その後彼女が亡くなった事を聞きましたが、いまだにどう返事すればよかったのか分かりません。
こういう場合、医療者としてどのように患者さんを支えていけばいいのでしょう?
himawariさんは、本当に医療事情をよく理解されていると思います。おそらく、ご自分が経験されたことにより、より深い理解となったと思います。おそらく、今後ブログで書く内容もhimawariさんにとって目新しいことはあまりないかと思います。
是非、himawariさんの周囲の方へのアドバイザーとなって頂きたく思います。
chikoruiさん
ギアチェンジは私にとっては、一番つらいことです。おそらく、他の医師にとっても同様だと思います。トラックバックにあるaruga先生のブログにもあるように例外的な医者はいますが。
医者が、ギアチェンジから逃げようとすると無意味な少量抗癌剤治療とかをやってしまうことになります。してはならないことだと思います。
Mayさん
Mayさんのやり方でいいと思います。基本は好きなことをしてもらいます。私の場合は『少し、きつい言い方かも知れませんが物事に優先順位をつけて優先順位の高い物からしていくように』と説明します。
『今が一番調子のいい可能性があるから、あと、○○日たったら同じようにできるかのほしょうはできない。』と話しをしてできるだけ積極的に残された時間を有効に使ってもらえるようにしています。
この言い方がベストかどうかはわかりません。
他に、いい方法ご存じの方いらっしゃったら教えてください。
私の理解はしょせん素人のもの、よっしぃ先生や緩和医療に力を注いでいらっしゃる先生のブログで緩和医療という言葉を初めて知ったんですよ・・(私の父に対してとった治療しないという選択を否定されないことには少し安堵しています。仏壇にお盆の飾り付けをすまし、しみじみ・・)
まして今こんな理想を並べても夫の再発の告知を受けた一週間など1人になると涙があふれ通勤帰りの車の中で泣きながら運転して物損事故まで起こしてしまった弱い人間です。
いざその時になったら今の思い通りに行動できるかに不安がない訳ではありません。
ですからフォローの為にも子供たちにも少しずつ想いは伝えていくつもりですいます。娘は今、北の国立大学で理学療法士をめざし学んでいます。私の父の時はまだ幼なかったのですが今回の夫の闘病は高校2年の時で彼女に医療関係を目指す一つのきっかけになっているようですよ。
でもね、先生、最期の望み方は人それぞれだと思うのです。リンパ腫の掲示板を拝見すると最後の最期まで辛い治療を受け戦いで幕を引かれた方もおられます。それが本人が望む最期ならばそれはそれで尊重しなければならないと思うのです。
これからも私に勇気と安らぎを与えてくれる先生のブログのフアンでいたいと思います。(医療ネタでない時も・・楽しんでいますよ!)これからもよろしくお願いします。お忙しい毎日の中暑さも厳しい折、ご自愛くださいね。
緩和医療なんて言葉は治療する側の言葉です。また、理解のない人たちに伝えるためのもの。本質を一番理解しているのは、現場を経験した人間です。経験している人間が一番強い。ですので、himawariさんは、周りの人に伝えていくことができると思います。
今後ともご意見ご感想よろしくお願いします。
ってのもあるんですよね、私。
まあ、循環器でもそういうの、ないとは言いませんけど。
難しい問題ですよね。
循環器は悪性疾患ほとんどないですね。でも、助けないといけない人が多いのでそれはそれで大変ですよね。
私は、良性疾患と悪性疾患の両方がバランスよく見れるので、呼吸器科か消化器科で悩みました。ギアチェンジ非常に難しい問題ですが、個人的なスタンスは『逃げない』をモットーに診療しております。いつか、何かの手がかりがみつかると思うので。
それにしてもブログってすごいですよね。私たち一般人が何の面識もない先生の考えを聞けて恥ずかしながら考えを書き込みでき、なおかつ返信もいただける・・・夫の初発の時は理解できない医学的書籍や民間療法の本など安くない金額で買いあさり読みました。本当に感謝です。
本当にそうですね。自分の主治医を信用しているけど、同じことを他の先生に言われると、非常に納得し腹も決められます。Drの逃げないスタンスはプロ意識の表れだと個人的には思います。
高名な先生の返信を頂いちゃうと、今度は追っかけをしようかという気にもなります(冗)。
もちろん、逃げません!
でも、初回治療が効果がなかった患者さんへの病状説明なんかいつもしたくない。逃げたいって思います。でも、伝えないと、伝えて考えないとできるだけ幸せと感じる時間を長くとってもらわないと、と思うから逃げずに話しをしようと思います。
逃げたらプロ失格ですしね。
『ギアチェンジ』の際、「今は苦痛をとる/体力をつける
ことに専念し、時期がきたらまた治療を考えましょう」
という言い方をする医師がいるそうです。
一方で、「そんな白々しい事は言えない」「現実から
目を背ける手伝いをしているだけだ」と言う医師も
います。私も最初に聞いた時は違和感がありましたが
家族にはこういう『ギアチェンジ』をして欲しい
だろうな、と考えるようになりました。
よっしいさんはどう考えられますか?
肺癌の場合ですが、初回治療終了後、ギアチェンジの時期と考えずに『今は、治療終わったところやから、しばらく休んで、再発したら治療を考えましょう。』と説明したものの、再発時にはPSが悪くなり、ギアチェンジせざるおえない場合があります。
また、高齢者ですと必ずしもギアチェンジを説明することなく、『もう少し体調がよくないと抗癌剤は無理やわ。』みたいな説明をする事もあります。
結局のところケースバイケースだと思います。
若い人ほど正確にシビアに伝える事が多いと思います。
答えになっていたでしょうか?
三月に同居人を肺ガンで亡くした未婚の未亡人です。
ギアチェンジ……言い得て妙!と感心しています。
同居人のギアチェンジはほとんど自然に本人に告げる事なく、無段階に行われました。それほど進行が速かったと言う事です。
どちらかと言うとギアチェンジをする暇もなかった…と言う感じでした。
本人がそのギアチェンジを受け入れる迄の時間があれば、それを告げるのも良いかもしれませんが、無理な場合もあると思います。
こたろう先生の「今は苦痛を取る時…」と言う言い方は賛成です。
実際担当の先生は、よく似た言い方で、同居人を励ましてくれました。
私には有り難かったです。
ギアチェンジなど本人さん、家族の方への説明や対処法は個人個人によりかわってきます。もちろん、ギアチェンジが無理な場合もあります。
でも、このような話をかじっておくと、実際に直面したときになにも知らないよりは少なくとも落ち着いて対応ができると思います。
私が、ブログを書くのは、主にそのためです。
また、ご意見お待ちしております。
今や告知よりも難しい問題ですよね。
でも、告知が長い時間をかけて一般的になって来た様に、いつかこの問題も一般的になると良いと思います。
但し、やっぱりその時には慌ててしまうと思いますが……。
ブログ楽しませてもらっています。
又時々こちらにおじゃまさせて下さい。
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