2007.07.01 20:38 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  その他(医療関連)  |  よっしぃ  | 推薦数 : 4

ある不幸な物語

もう、ずいぶん前のことです。

仕事のちゃきちゃき出来る、優秀なナースがいました。Eさんです。
患者さんからの評判もいいナースです。

Eさんは、内視鏡室へたまたま行っていました。
クリップを取ろうとしてクリップがたくさん入った箱に手をつっこみました。

『痛っ!!』

何かが、指先に刺さりました。よく見ると針です。最もよく使われる黒針(22G)でした。Eさんは、どうしようかと思いましたがクリップの所に入っていた針であり、患者さんに使用した針とは思いませんでした。
自分の胸の中にそのことをしまっていました。

それから、しばらくして肝障害が出現しました。
先の針刺しでB型肝炎に感染したのでした。

Eさんは、インターフェロンによる治療を始めました。
幸い大きな副作用もなく、副作用(発熱、筋肉痛、倦怠感が多いが、重篤なものとしてうつ病、間質性肺炎、自己免疫疾患の誘発など。)の知識もあったため解熱剤を併用しながらがんばりました。

しばらくたってから、以前とは明らかに違う全身倦怠感が出現しました。
肝障害が進んでいるのか?とも考えられましたがそうではないようです。
Eさんは、主治医と相談しました。
甲状腺ホルモンを調べてみました。

かなり低い値でした。

自己抗体も調べました。

陽性でした。

橋本病だったのです。
おそらく、インターフェロンによって自己免疫疾患である橋本病が引き起こされたのです。

残酷な現実でした。

自分が、採血して、そのあと自分で針刺ししたなら、まだ、納得がいくかも知れません。
あの時、なぜ、クリップの箱に針が入っていたのか?

確率の低いことが数珠繋ぎになりこのような不幸は起こりました。

この話は、友人の医師よりの伝聞により作成されています。
よって、フィクションかも知れません。

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