もう、ずいぶん前のことです。
Dさんは、気管支喘息で定期的に外来にかかっている患者さんです。
一般的な治療薬を使用されていて、ステロイド吸入、長時間ベータ刺激薬吸入、テオフィリン製剤を使われています。
年に2、3回調子が悪くなり時間外の外来を受診されます。
いつも、テオフィリンの点滴静注を行われていたようです。
少し前の休日、当直のとき、Dさんから病院に電話がありました。
主治医ではありませんので、初めて診察する患者さんです。
3、4日前から調子が悪いので行ってもいいかと言うものでした。
もちろん、来て頂きました。
主訴は、横になるとヒューヒューと音がして息苦しくなる。とのことでした。
バイタル(全身状態)は安定しており、酸素飽和度も97%ありました。
呼吸音ですが、wheezeと呼ばれる喘息に特徴的な音は聴こえず。きれいな音でした。横になっても聴こえませんでした。
『今、息苦しいですか?』の問いに
『今は大丈夫だが、夜になると息苦しくなるので点滴をして欲しいとのことでした。』
現在、喘息の発作の状態ではありません。
既往歴に高血圧、心房細動とあり心臓喘息の可能性もあります。(浮腫など心不全の徴候もありませんでした。)
『今の状況で点滴をすべきではなく、経過観察をしましょう。調子悪くなったら再度受診してください。』
この発言にDさんは、かなり不満だったようで『いつも、点滴してくれるのに。』、『夜になったら調子悪くなるから今来たのに。』、『10年以上ここで診てもらってるのに。』『患者の事を考えていない。』、『インターンか?』などと様々な不平、不満を述べられます。
Dさんに対し
1、現在症状がないこと。(救急外来であること。)
2、12時間後の夜間にはテオフィリンの効果が期待しにくいこと。
3、患者さんの事を考えるからこそ、今点滴はするのはよくない。(不要な薬を使用すべきでないこと。)
と説明しましたが、理解してもらえず、
『調子悪くなってきても何もしてくれへんねやろ。また、明日来るわ。』などど言う始末。
当直医として楽なのは、『はいはい、じゃぁ、点滴しときますね。』
と処方箋にサインをして点滴して帰すのが一番楽なんですけど。
何もせずに帰したわけですから調子悪くなれば来てくださいと指示したわけだし、夜の寝てる時間に再度来院する可能性があるわけですからね。
再度、Dさんの訴えを聞きいろいろ考えましたが、やはり
『今は診察のみで帰宅させて症状が出現したら再受診してもらう。』
と言うことで、帰って頂きました。
何か、やりきれない気持ちが残りました。
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