忙しくて遅くなりましたが、約束通りイレッサのネタです。
イレッサ(ゲフィチニブ)は、何回か新聞紙上をにぎわしております。
まず最初ににぎわしたのは、登場したとき。当時としては画期的なスピードで承認され発売されました。
もちろん、賞賛を持って報道されました。
肺癌治療で初めて認可された分子標的薬(癌が増殖、転移などするときにだす信号をでなくして抗腫瘍効果を発現する薬)です。
腫瘍縮小効果はあまり期待できないかもしれない(大きくならないようにする薬)が副作用はたいしたことないだろう。そして、様々な施設でイレッサが使われました。
呼吸器疾患にあまり精通していないような施設でもたくさん使われたようです。
そうすると、肺傷害(薬剤性肺炎)という副作用で新聞をにぎわせました。
そこでは、さんざんたたかれました。発売中止になるかの勢いで。
その直後の学会にはたくさんの報道関係者の方もいらっしゃいました。
肺傷害(薬剤性肺炎)の出現率は約5.8%(今までの抗癌剤の約2〜3倍の発生頻度)であり、その中の約半数の方が残念ながら命を落とされるようです。
しかし、恩恵をこうむった患者さんには夢のような薬となっています。
肺癌の予後は非常に悪く、生存中央値は抗癌剤治療をしても1年半程度です。
にもかかわらず、3年以上飲み続けている患者さんもいらっしゃいます。
あと、1~2ヵ月の命だろうと思った人がイレッサを飲んで1年以上悪化を認めなかった人もいます。
ただし、そこまでの恩恵をこうむる方はほんの一握りです。
ほとんどの方は、イレッサが効いていても1年程度で再発してくることが多いです。
また、女性、腺癌、非喫煙者に限って使えば奏効率(効く割合)が非常によいこと(4~5割)。EGFR遺伝子変異のある方に使うと奏効率が非常によいこと(7~9割)がわかっています。
しかし、肺傷害が起こりやすい人ははっきりとわかっていません。(いくつかの危険因子は言われていますが奏効する人ほどはっきり分かっていません。)
効果のある人を予測することも重要ですが、重篤な副作用を予測する方がもっと重要だと思います。
現時点において、イレッサに延命効果があるというエビデンス(証拠)はありません。しかし、実地臨床(実際の患者さんに投与しての経験)でイレッサによる恩恵を受けた人を何人も知っています。
また、秋頃にはイレッサとほぼ同じ作用機序をもった肺癌に対する分子標的薬タルセバ(エルロチニブ)が発売になる予定です。
タルセバはアメリカで延命効果が認められています。
イレッサとタルセバのすみ分けはどうなるのでしょうか?副作用の頻度はどうなのでしょうか?
非常に気になるところです。
明日よりASCO(世界最大規模の癌学会)が開催されます。もちろん、イレッサを含め分子標的薬の演題もたくさんあるようです。
標準治療がこの学会でかわることはよくあります。大注目です。
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コメント
コメント一覧
ご親切なコメントバック、ありがとうございました。先生に一つ質問がございます。
肺癌の「抗がん剤感受性試験」の精度について、先生はいかがお考えでしょうか。家人の主治医は、あまり当てにならないとおっしゃっいました。でも、苦しい抗がん剤治療が無駄にならないためには、どうしても奏効性を考えてしまいます。
また、イレッサのような経口薬も試験の対象になりますか?
>christmasさんへ
抗癌剤感受性は大学病院など研究施設であくまで研究的に行われているものでまだまだ一般的なものではありません。
しかも感受性をしらべるのにある程度の大きさの組織が必要です。つまり、手術中にとれた腫瘍組織がベストです。(内科的にカメラなどで組織をとっても小さいことが多いため。)
ですので、外科の先生の方が詳しいと思われます。逃げたみたいですいません。また、学会行ったとき勉強しときます。
イレッサに関しては、現在遺伝子変異の解析が保険で認められつつある(都道府県により異なるらしい。)状況です。遺伝子解析にて変異があれば奏効率は7割を超えるでしょう。9割を超えると報告している文献もあります。
これは、上記の感受性試験とは異なりますが。
よっしぃ
肺癌の抗がん剤感受性試験について、なぜ主治医(外科医)が消極的なのか、謎が解けました。
腫瘍が1~2センチ程と小さいのです。「針生検ができないことはないけれど…」とおっしゃったけれど、物理的に難しいのですね。
これで余分なことを考えなくて済みます。ありがとうございました。
タルセバ、、、注目しています
>メタボ先生へ
初めまして、コメントありがとうございます。
ホントに、イレッサが効く人はめちゃめちゃ効きますよね。
中毒になりそう。タルセバどうなんでしょう?特に肺傷害の副作用がきになります。 よっしぃ
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