治療関連死。嫌な言葉ですね。医師としては非常にブルーになる言葉です。しかし、抗癌剤治療をする上では避けて通ることができないものです。
やはり、抗癌剤治療に絶対安全はありません。細胞が分裂するところに作用してするのですから正常の細胞ももちろんダメージを受けます。
分子標的薬(癌が増殖、転移などするときにだす信号をでなくして抗腫瘍効果を発現する薬)が出現したときは、腫瘍縮小効果は望めないが重篤な副作用もないだろう。とみんな期待していました。
しかし、実際どうでしょう。副作用のプロフィールは異なるものの、重篤な副作用で命を落とされた方も多数いらっしゃいます。
分子標的薬(特にイレッサ)での治療関連死はマスコミなどで話題になったことがありそれだけで長い話になりそうなのでまたに機会にします。ここでは、分子標的薬以外での治療関連死について主に述べます。
過去の文献によると抗癌剤による治療関連死の割合は報告によっても異なりますが1~4%程度であります。
もちろん、最近は支持療法(抗癌剤の副作用を抑えるような治療)が進歩し、過去の報告よりはいいだろうと推測されます。
例えば、セロトニン拮抗薬(吐き気止め)、GーCSF(白血球を増やす。)など支持療法の定番です。
治療関連死の当院のデータでは、放射線治療では0.6%、抗癌剤治療では1.2%、抗癌剤+放射線治療では2.8%となっています。
原因としては、放射線肺炎がもっとも多く、続いて好中球減少時の感染症(肺炎が多い。)、喀血、消化管出血、自殺と続きます。(2001年までのデータです。)
当たり前ですが、PS(全身状態の指標)の悪い患者さんで治療関連死の率が高かったです。
これから、抗癌剤治療を受ける方をおどすつもりはありませんが、やはり、上に述べたような事が起こる可能性がある治療をするんだ。ということを十分理解した上で治療を受けて頂きたいと思います。
癌でない細胞にとっては毒なのですから。
もちろん、治療関連死がどうしても嫌だ。と言う考え方なら抗癌剤治療などを受けない方がいいと思います。ただし、このまま治療しなかったときどうなるかを十分に理解した上での事ですけど。
現在での肺癌治療の治療関連死は、イレッサ(ゲフィチニブ)による肺傷害(薬剤性肺炎)が1位か2位になっているものと考えられます。
今後、致死的な副作用の少ない新規抗癌剤の開発、よりよい支持療法の確立により治療関連死がなくなることを期待します。
分子標的薬、主にイレッサについては次にします。多分、明日かあさって。
ほとんど、肺癌についてしか述べれなくてすいません。
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コメント
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最近先生のブログチェックが日課になっております♪
今日も、素人の私にも大変分かりやすく読ませていただきました。
私が一個人として、抗癌剤での闘病生活を想像する上で、一番恐怖として考えるのはやはり副作用です。
特に吐き気が駄目な私は、想像の上でも果たして耐えられるのかどうかと自信がありません。(吐き気と抑える・・・支持療法、というのですか?これが進歩してほしいものと強く願っております。)
それから、正常な細胞がダメージを受けてしまうことの恐ろしさは、祖父が末期の胃癌だったのですが、体力が落ちているときに抗癌剤治療が始まりましたら、みるみる衰弱してしまい、10日ほどで亡くなってしまった事態に直面した経験がありまして、素人の感覚としても、癌を殺すほどの薬ゆえに、正常な部分まで犯されてしまう恐ろしさを痛感しました。
素人の考えで申し訳ないのですが、心身ともに苦痛の少ない治療法が早く進歩してほしいと、願っています☆
いつも、みて頂いてありがとうございます。
つらい経験をされたようですね。
抗癌剤だけでなく、支持療法の薬もこれから増えると思います。
抗癌剤の副作用での末梢神経障害(手足のしびれ)を抑える薬が近い将来でると思いますよ。
ここで、述べたのは、分子標的薬以外の抗癌剤『殺細胞性抗癌剤』とも言われます。
また、話題のリクエストも受け付けてます。(分かることしか書けませんが。)今後とも、よろしくお願いします。
家人が肺癌でイレッサを1年間服用していました。イレッサの副作用死については、私も新聞やネットで調べ、服用開始時はハラハラドキドキの数週間を過ごしました。
最近、薬が効かなくなり、次の抗がん剤治療の選択を迫られています、、、が、次の薬といっても、やはり副作用が大変気になります。再び患者・家族共々不安な数週間を過ごす覚悟をしなくてはなりません。
この薬が効くとわかっていれば、不安も希望へと考え方をシフトできるのですが、現代の科学では難しいですね。
よっしぃ先生のブログを読むとますます迷います。で、今は十分に迷いたいと思います。その方が選択する時に覚悟が決まるような気がします。
イレッサが効かなくなってきたと言うことは、一度は抗癌剤(分子標的薬でない)をされてるんじゃないですか?
されていたらそのときの副作用がどの程度だったか、効果はどうだったのかなども判断材料になると思います。
単剤の治療(1種類の抗癌剤のみの治療)であれば、副作用が軽くなることが多いですよ。大事な判断になると思うので十分に迷ってください。
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