先日総合科学技術会議の知財専門部会が開かれ、私も専門委員として出席いたしました。話題の一つは、iPS細胞です。
iPS細胞に関して総合科学技術会議にiPS-WGができて、知財からの後押しを決めたとの説明がありました。
それ自体は、日本が機動的に科学技術戦略を決めることが出来た非常に良い例ですし、大変歓迎しています。
しかし、今のままでは将来が危ういことを指摘させていただきました。それは、以前にも取り上げましたが、日本の特許制度では医療行為の特許の範囲が狭く、iPS細胞の特許も大きく取れないからです。
会議では、どんなに優秀な水泳の選手でも両手を縛られて、勝てるはずがないことを訴えさせていただきました。
以前からこのような危険性があることを主張していましたが、残念ながら間に合いませんでした。
しかし、まだ遅くありません。今からでも欧米並みに医療特許を認めれば、iPS細胞での勝利をつかめる可能性があります。ここは、政府の英断を期待したいですね。
下記に私の主張した内容を抜粋いたしますね。どう思われますか?
1) 先端医療の特許化
2007年の最大の科学領域における話題はiPS細胞であるが、その実用化において日本の知財戦略からの後押しを行うべきである。単純な知的財産費用の補助などだけでなく、先端医療の特許化の面からも支援すべきである。
既に先端医療の特許に関しては、平成13年より総合科学技術会議知的財産戦略専門調査会、知的財産戦略会議、バイオテクノロジー戦略会議などでの提言をうけ、活発な議論が行われてきた。産構審医療行為WGにおいて、「皮膚等の培養方法のように、医療現場を離れて、企業において行われるようになりつつある生物由来製品の製造方法(培養部分)」について、新たに特許化なされることとなった。その結果については一歩前進であると評価するが、総合科学技術会議より指摘されているように皮膚等の細胞培養方法についてのみ特許化されることとなり、培養された皮膚細胞を患者に戻す技術やその他の先端医療技術については、現行の運用が継続されることとなり、今後のiPS細胞の実用化での権利確保に大きな危惧を抱く状況が続いている。また、iPS細胞が3-4種類の遺伝子を導入して作成することから遺伝子治療の側面を持つが、遺伝子治療に関しても治療法の特許化が認められないなど、狭い範囲の特許にとどまっている。
我が国で発明された先端医療技術は本来わが国の患者が最も恩恵を受けるべきであり、より幅広く我が国の医療現場に普及するためにも医療技術の特許化が必要である。懸念されている医療行為への影響に関しては、欧米同様特許権が医療行為としての実施に及ばないようにすることで問題解決は可能であり、特許の専門家でない一般の研究者が特許化の範囲を理解しやすくすることが重要である。前回までの医療行為に関するワーキングでは、議論が未だ不十分で、十分な権利化の範囲が確保されたとは言いがたいために、引き続きの権利の拡大を要望する。
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