で、期待されているのが、血管再生療法です。日本では、骨髄を用いた方法が結構多いですが、アメリカでは王道をいくというか、医薬品として血管新生因子を開発するということが20年前からされています(骨髄などの細胞を用いた方法は、細胞が生き物なので、医薬品としての規制にまだ合致しきれていないため、アメリカではFDAが臨床試験そのものをほとんど認可していません)。
最終段階にきているのが、私がしているHGFとアベンティスが開発しているFGFです。まだ、どちらもこれからフェーズ3なので、結論を議論するのは早いのですが、フェーズ2の結果は異なった結果になっています。
対象となる患者は、閉塞性動脈硬化症で安静時疼痛や潰瘍を示す患者さんで、薬物治療やバイパスやカテなどの外科治療が困難な患者です。HGFでは、TcPO2といわれる末梢の酸素分圧で改善が見られる一方、下肢切断や死亡率では有意差は認められませんでした。一方、FGFではTcPO2では有意差はなく、潰瘍は改善せず、下肢切断率で改善が認められたと報告されています。
アメリカでは、末梢の細小血管を評価する最も良い検査は、TcPO2と考えられており、30mmHg改善すると下肢切断を防ぐといわれています。その意味では、HGFはProof of Conceptといわれる血管新生による機能評価で目標をクリアしたということがいえます。一方、潰瘍では改善傾向はあったものの、有意差はありませんでした。これは、潰瘍の患者数がもともとエントリーした時点で統計学的に有意になるサイズでなく、想定された結果でした(プラセボを含む4群で100人でしたので)。当然下肢の切断率も、プラセボとHGF群でそれぞれ数人ですので、大きな差にはつながらないということになります。したがって、次のフェーズ3では患者数を増やして、統計学的なパワーを検定して行うことになります。
一方、FGFの試験ではTcPO2という機能評価では有意差がつきませんでした。したがって、Conceptの証明という点では失敗したといえます。一方で、下肢切断率では改善したという点は評価できますが、潰瘍も血流も改善していないので、理屈としては?何故改善したのが不明ということになります。患者のサイズは、HGFとFGFもそんなに大きな違いはないので、下肢切断の割合がFGFの試験ではHGFの10倍ぐらいになっている計算になります。個人的には、あまりに高い切断率なので(日本でも欧米でも今までの報告では切断率はあまり違わないので正直どんな患者が対象だったのが、疑問を持っています)。
いずれにしろ、患者数を増やしたフェーズ3で結果が出ることを期待したいですね。前回のべた様に、カテーテルに治療は有効ですが、限界がありますので、下肢切断を防ぐためには早く上市が期待されます。
最後に、プログを読まれた方にお願いです。私どもの研究室で開発された血管再生遺伝子治療薬HGFの臨床治験を全国でしております。是非、安静時疼痛や下肢虚血のある閉塞性動脈硬化症とバージャー病の患者さんを見られている先生に治験への参加をお願いしたいと思います。コールセンター(0120-340-532)か、http://www.aso-sos.jpで詳細は見れますので、是非お願いします。
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たまには、本職のお話もしてみたいと思います。ブログを読まれている方の中には、私の本職を知らない方もおられるかもしれません。
もともとは、高血圧の内科の医者で(今も外来も回診もしているのですが、結構現役の医者というだけで最近驚かれることがあり、心外です!)、高血圧の良い薬がたくさん発売されて、失業しそうになって(かなり大げさですが、研究者としてはという意味です)、動脈硬化というまだ直らない病気の研究へ転進してきました。
きっかけは、アメリカ留学で、スタンフォード大に3年弱行っていたのですが、向こうで研究成果が臨床にすぐ応用されるのをみて(今流行のTranslational Researchですね)、そのダイナミックさに打ちのめされた?のが、深入りし始めた原因かもしれません。
現在では、血管新生療法を応用しようと臨床治験をするところまで深入りしてしまいました(私どもの研究室で開発された血管再生遺伝子治療薬HGFの臨床治験を全国でしております。是非、安静時疼痛や下肢虚血のある閉塞性動脈硬化症とバージャー病の患者さんを見られている先生に治験への参加をお願いしたいと思います。コールセンター(0120-340-532)か、http://www.aso-sos.jpで詳細は見れますので、是非お願いします。)。
で、今日は、本当のところFGFやカテーテルと比べてどうなの?というところに客観的に?答えてみたいと思います。今の血管再生治療は、まず下肢病変に対して開発が進んでいますので、下肢病変に限定して議論していきます。
まず、カテーテルですが、これはとりあえず再開通には有用です。問題は、再狭窄・あるいは閉鎖ですが、下腿3分枝といわれる膝下以下の病変では、かなり高頻度にあがります。また、冠動脈と異なり、病変部位の血栓は更に細い部位に流れるため、血栓による急性閉塞が起こりやすく、下肢切断に逆に陥るというトラブルが起きることがあります(このあたりは、冠動脈との違いで、冠動脈と同じ感覚でインターベンションをされると痛い目に時々あいます)。
海外では、血栓除去カテも発売になっており(下肢では割と最近ですが)、それなりに売れているようですが、冠動脈ではあまり使われなくなっているように高頻度に再狭窄が多いという現実があり、一時的なものだと思います。なぜ、冠動脈ではすたれているのに、末梢の下肢では?という声もありそうですが、アメリカではプレタールとトレンタール(日本では脳梗塞の薬でしたが、なんとアメリカではプレタールの認可までは唯一の閉塞性動脈硬化症の薬でした)しかなく、プロスタグランディンすらないという状況なので、高頻度の再狭窄がおきても日本と違いとりあえず使われているという感じです。(続きます)
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