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脳梗塞は心カテの合併症っす

Dr. I / 2009.01.22 22:41 / 推薦数 : 6

心臓カテーテル検査心カテ
っていう検査。
この検査は、心臓の表面で
心臓を養っている
血管(冠動脈)や、心臓の中に
カテーテル」っていうチューブみたいのを入れて。
そこから造影剤を流したりする検査です。

心臓の表面や心臓の中っていうのは、
当然「体の中」ですから。
異物を体の中に入れる検査なので、
絶対に安全」というものではありません。

どんなにベテランで、
どんなに検査や手術が
上手な医者がやっても、
患者さんの体に良くない事が起こる。
そういうのを「合併症」って呼びます。

 

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薬なんかでも、アレルギーとか、
肝臓や腎臓の
機能が悪くなったり。
吐き気がしたり、下痢したり。
そういう事がありますよね。
人によっては。
そういうのが「合併症」です。

心臓カテーテル検査の場合は、
体の中、心臓の中に
カテーテルを入れますから。
ただ薬を飲んだり、点滴の管を入れるよりは、
高い確率で合併症が起きます。

具体的には、出血や感染、不整脈とか。
それと、今回問題になっている、
脳梗塞」。
めったにないですけど、
死亡」というのもあります。

相変わらず、マスコミの記事でしか
わからないので、情報が不足していて、
はっきりとした事は言えないのですけど。

私がわかる範囲では、
これは心臓カテーテル検査心カテ
合併症じゃないかなー。
という事で、8000万円の訴え
起こされたようですね。



損賠訴訟:「検査で後遺症」 
木曽の男性、県などを /長野

県立木曽病院(木曽町)で06年2月、
木曽郡内の男性(53)が
心臓カテーテル検査を受け、
後遺症が残ったとして19日までに、
同病院を運営する県と
担当男性医師を相手取り、
慰謝料など約8000万円の
損害賠償を求める
訴訟を地裁松本支部に起こした。

訴状によると、男性は05年5月に
被告医師から心臓カテーテル検査
勧められ、06年2月に同検査を受けた。

その後、めまいなどの症状が表れ
脳幹部梗塞(こうそく)と診断された。
歩行障害などの後遺症が残るという。

原告側は、脳幹部梗塞は
心臓カテーテル検査が招いたもので、
不必要な検査だったと主張。
県病院事務局は「見解に相違がある」
と争う姿勢を示した。
【渡辺諒】


『2009年1月20日:毎日新聞  地方版(長野)』




心臓カテーテル(心カテの検査に
合併症の可能性がある。
という事は、医者であれば
みんなわかっている事ですし。
その検査を行うのは、専門家である
循環器内科医でしょうから。
当然、百も承知でしょう。

今の時代、それをわかっていて、
患者や患者の家族に説明をしない。
という可能性は少ないとは思うのですが。

民事訴訟を起こされたっていう事は、
患者さん側には、理解されて
いなかったのでしょうかねー。


私は循環器内科医で、
心臓カテーテル検査心カテ
専門なので。
この記事を取り上げたのですが。
いくらなんでも、これでは情報不足ですね。


おおざっぱに言うと、
心カテ合併症で、
脳梗塞の確率は1000人に1人位。
まあ、非常に少ない確率ですよね。
普通に考えたら。

でも、ベテランの循環器内科医なら、
心カテを数百人、
数千人ってやってますから。
1/1000っていう確率は、
そんなに低くはないんですよ。


もうブログをやめちゃいましたけど。
数学が非常に得意な、

なんちゃって救急医先生が、
以前にブログで記事にされた事があるので。
ちょっと引用させてもらいますね。
参照:
『合併症を算数する』
『合併症を算数する(続編)』


当院の循環器科では、
冠動脈造影検査
心臓カテーテル検査)を
施行するにあたり、脳血管障害など
重篤な合併症が生じる確率は、
1/1000(=0.1%)と説明して
患者の同意を得ている。

さて、当循環器科で、1000例の検査を
施行したとき、重篤な合併症
少なくとも一件は生じる確率は
何%であろうか? 

また、いったいこの施設で何例くらいを
施行した場合に、少なくとも一件は
合併症が生じる確率が
99%にまで到達するであろうか?



という問題です。
結構めんどくさい計算式が
出てくるので、
数学マニア以外は
途中の計算は省略してw



f(N) = 1-{(1-p)^(-1/p)}^(-pN)
  ≒ 1- e^(-pN) ・・・・・・・・・・・・①




試行回数を確率の逆数(=1/p)だけ、
おこなうと、 ①式より、その確率は
常に一定で、その値は、
1-1/e=0.632 となります。



数式が理解できない人は、
上のは無視してもらって。



合併症を発症する確率が
pである検査を、1/p回行った場合、

63%の確率で、少なくとも
一回は合併症に遭遇する。



合併症を発症する確率が
pである検査を、5/p回行った場合、

99%の確率で、少なくとも
一回は合併症に遭遇する。


これも無視してもらっても
かまわないんだけど。
答えは、これ


解答  
1000例の検査で、63% 、 
4600回(≒5000回)の検査で99% 



という事になります。

恐ろしい話ですよ、これ。

中堅病院で勤める循環器内科医なら、
一年間で100例位ですか。
心臓カテーテル検査心カテの検査数。

もちろん、もっと多い施設もいっぱいあるし。
小さめの施設とか、周りにもっと大きくて
有名な循環器の病院があるとこなら。
もっと少ないでしょうし。
病院にいる循環器内科医の数にも
よるでしょうからね。

全国的に有名な先生なら、
一年で1000例くらいやってますしね。

でも、おおざっぱに循環器内科医
1人が一年間で100例とすると。
10年で、1000例になりますから。

脳梗塞等の
重篤な合併症が起こる確率は、
10年で63%にもなるんですよ。


これで、毎回訴えられていたら、
誰も心カテの検査やらなくなりますよ。
循環器内科医が10人いたら、
10年で6人は8000万円払えって
訴えられちゃう
んですから。

46年一線で心カテの検査やってたら、
99%ですよ。

まあ、民事訴訟を起こす権利は、
誰にでも認められていますから。
それを禁止する事自体は
出来ないんですけどね。

こんな訴訟が頻発するようなら、
循環器内科医
いなくなっちゃいますよ

ホント。



医療訴訟が医療崩壊を
進めている面もあるんですよ。

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