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< 医療崩壊 、医師不足を切り口に | メイン | 医師の応召義務ネットで議論 >
尼崎医療生協病院で肝硬変の患者さんが、腹水(腹腔)穿刺をした12日後に、残念ながら亡くなったようですね。
腹水(腹腔)穿刺後に出血の可能性があるというのは、医者であれば誰でも知っている事で。
こういうのを「合併症」というんですが。
これに関して、新聞社が各社報道されているようですが。
随分、新聞社によって報道内容が違いますねー。
「医療ミス」「医療過誤」という決め付けの報道をしている新聞社もありますけど。
これって、何の根拠があって言っているのでしょうかね。
応援もよろしくね!
Yosyan先生のブログ、
「新小児科医のつぶやき」の
「産経の編集」
に4社の新聞社の
比較が書いてありましたので。
一部、引用させていただきます。
いつもお世話になっております。
まずはタイトルにはっきり「医療過誤」と書いて、病院側がミスを認めたと報道している産経新聞。
尼崎医療生協病院、
医療過誤で女性死亡
兵庫県尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年12月、肝硬変で入院していた同市内の女性患者=当時(35)=が、腹水を抜く際に誤って針で血管を傷つけられたことが原因で亡くなっていたことが7日、分かった。
病院側は「血管を刺したことで出血が止まらず亡くなった」とミスを認め、遺族に謝罪した。
同病院によると、女性は昨年11月27日に入院。12月4日午前10時ごろ、主治医が立ち会い、男性研修医が腹部にたまった水を抜き出すため、針(直径約1・2ミリ)を左下腹部に刺した。1度目では水が出ず、2度針を刺したという。
女性は同日夜から針を刺された下腹部が皮下出血で赤くなり、出血が止まらなくなるなど容体が急変。
6日から病院側は輸血を開始したが、16日に女性は亡くなった。死因は出血性ショック死だった。
病院側は「1度目に針を刺したときは出血は確認できなかった」としているが、この際に血管を傷つけた可能性が考えられるという。
島田真院長は「主治医も立ち会っており、態勢に問題はなかったが、肝臓が悪いため出血しやすい状態だったなど危険性をしっかりと説明するべきだった。
このようなことが2度とないよう取り組みたい」としている。
女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。
どんなに苦しかったのだろう。もっと生きたかったはず。
あの病院にさえ行かなければ」と怒りを抑えきれない様子で話している。
「2009.1.8:産経新聞」
何も知らないでこの記事だけを読むと、医療ミスが原因で患者さんが死亡したんだな。
病院はけしからん。
って話になりますよね、普通。
でも、この内容は本当に正しいんでしょうか。
Yosyan先生のブログで4つの新聞社の比較がわかりやすく書いてあったので。
このブログでは、引用されている、産経新聞、朝日新聞、神戸新聞、毎日新聞のURLを載せておきます。
「2009.1.8:産経新聞」
「2009.1.8:朝日新聞」
「2009.1.8:毎日新聞」
「2009.1.8:神戸新聞」
尼崎医療生協病院で肝硬変の患者さんが、腹水(腹腔)穿刺をした12日後に、残念ながら亡くなったようですね。
腹水(腹腔)穿刺後に出血の可能性があるというのは、医者であれば誰でも知っている事で。
こういうのを「合併症」というんですが。
これに関して、新聞社が各社報道されているようですが。
随分、新聞社によって報道内容が違いますねー。
「医療ミス」「医療過誤」という決め付けの報道をしている新聞社もありますけど。
これって、何の根拠があって言っているのでしょうかね。
Yosyan先生のブログ、
「新小児科医のつぶやき」の
「産経の編集」
に4社の新聞社の
比較が書いてありましたので。
一部、引用させていただきます。
いつもお世話になっております。
まずはタイトルにはっきり「医療過誤」と書いて、病院側がミスを認めたと報道している産経新聞。
尼崎医療生協病院、
医療過誤で女性死亡
兵庫県尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年12月、肝硬変で入院していた同市内の女性患者=当時(35)=が、腹水を抜く際に誤って針で血管を傷つけられたことが原因で亡くなっていたことが7日、分かった。
病院側は「血管を刺したことで出血が止まらず亡くなった」とミスを認め、遺族に謝罪した。
同病院によると、女性は昨年11月27日に入院。12月4日午前10時ごろ、主治医が立ち会い、男性研修医が腹部にたまった水を抜き出すため、針(直径約1・2ミリ)を左下腹部に刺した。1度目では水が出ず、2度針を刺したという。
女性は同日夜から針を刺された下腹部が皮下出血で赤くなり、出血が止まらなくなるなど容体が急変。
6日から病院側は輸血を開始したが、16日に女性は亡くなった。死因は出血性ショック死だった。
病院側は「1度目に針を刺したときは出血は確認できなかった」としているが、この際に血管を傷つけた可能性が考えられるという。
島田真院長は「主治医も立ち会っており、態勢に問題はなかったが、肝臓が悪いため出血しやすい状態だったなど危険性をしっかりと説明するべきだった。
このようなことが2度とないよう取り組みたい」としている。
女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。
どんなに苦しかったのだろう。もっと生きたかったはず。
あの病院にさえ行かなければ」と怒りを抑えきれない様子で話している。
「2009.1.8:産経新聞」
何も知らないでこの記事だけを読むと、医療ミスが原因で患者さんが死亡したんだな。
病院はけしからん。
って話になりますよね、普通。
でも、この内容は本当に正しいんでしょうか。
Yosyan先生のブログで4つの新聞社の比較がわかりやすく書いてあったので。
このブログでは、引用されている、産経新聞、朝日新聞、神戸新聞、毎日新聞のURLを載せておきます。
「2009.1.8:産経新聞」
「2009.1.8:朝日新聞」
「2009.1.8:毎日新聞」
「2009.1.8:神戸新聞」
実際にどういう行為が行われたのか。
どのような説明が行われたのか、っていうことはマスコミ報道からわかる事しか情報がないので。
一般論と、推測を交えてブログを書いていくしかないのですが。
このブログは、医師ブログとしては珍しい「一般人を対象にしたブログ」なので。
まずは、医学的な説明からしていきたいと思います。
「腹水を抜いた際」とか、「腹水を抜く手術」と記事に書いてありますけど。
こういうのを「腹水(腹腔)穿刺」って言います。
「腹水」っていうのは、その名の通り「お腹の中に貯まった水」の事です。
腹水自体は、正常な人でも作られていて、病気がなくてもほんのわずか、数十ミリリットルくらいの腹水はあります。
でも、ある病気があって、作られる腹水の量よりも吸収される腹水の量が少ないと、腹水が貯まってしまいます。
そうなると、どんどん腹水の量が増えて、お腹が張ってきたり、息が苦しいとか、そういう症状が出てきます。
具体的に腹水が貯まる病気っていうのは、どんな病気かっていうと。
肝臓が悪かったり、腎臓や心臓が悪かったり、栄養状態が悪かったり。
細菌による炎症があったり、リンパ管に異常があったり。
そういう場合です。
この患者さんの場合は、「重度の肝硬変」という事ですから。
肝臓が非常に悪い、という事です。
肝臓がとても悪いので、肝硬変だけでも腹水は貯まります。
そいで、問題の「腹水(腹腔)穿刺」について。
これも、その名の通り、「腹水を刺す」事です。
手術っていうほどのものではないような気もしますが。
検査というか、治療というか。
まあ、お腹に針を刺して腹水を抜くんですわ。
で、普通の腹水(腹腔)穿刺のやり方は。
まずは、お腹にエコーを当てます。
腹部エコーを見て、
どの部分にどのくらいの腹水が貯まっているか。
肝臓や腎臓、脾臓、腸等の臓器がどこにあるのか。
腹水(腹腔)穿刺をする時に邪魔にならない位置か。
そういう事を判断します。
それで、お腹のすぐ下に、腹水がたくさん貯まっていて、かつ重要な臓器や血管がない位置と角度を調べて。
針を刺す場所を決めます。
そして、細い針で麻酔をします。
お腹の表面の部分をまずは麻酔して。
そして、最初に狙った位置と角度から、お腹の中の方に向かって、麻酔をしながらその細い針で刺します。
これを、試験穿刺って言います。
細い針であれば、仮に思っていた通りの位置や角度から少しだけずれていたとして、うまく腹水が抜けなかったとしても、またやり直せばよいだけですからね。
そいで、細い針で試験穿刺をして大丈夫だ、っていう事を確認してから、本番用の太めの針で刺します。
腹水がたくさんあった場合は、腹水を抜くのには時間がかかりますから。
そのまま先の尖った針をお腹の中に入れておいたら、ちょっとでも動いたら危ないですよね。
そういう事もあるので、穿刺用の針っていうのは、2重になっているんですよ。
内側の針(内筒)が、刺す為の金属で出来た針で。
外側(外筒)は、透明のチューブみたいになっています。
針を刺して、金属製の部分(内筒)を抜いて。
そいで、チューブみたいのを通して、腹水を抜きます。
まあ、おおざっぱに言うと、こういう手順ですかね。
私は循環器内科医なので、肝臓とか腹部の臓器は専門ではないので。
もっと詳しい話は専門の先生にしていただくとして。
一般の方に説明するには、こんな感じで良いのかな、と思います。
腹水(腹腔)穿刺の方法をざっとまとめると。
1、腹部エコーで腹水の量と臓器や
血管を確認して、
どの位置からどの角度で
針を刺したらよいか決める。
2、細い針で麻酔をしながら
試験穿刺をする
3、太い針でお腹を刺して、腹水を抜く
という感じでしょうか。
今回の尼崎医療生協病院のケースで、どういうやり方をしたのか、っていう事は、具体的にはもちろん私は知らないのですけどね。
マスコミ報道によると、
>手術は主治医が指導し、二十代の男性研修医が実施。
と書いてあります。
研修医に教えながら一緒にやるんですから。
基本的な手順通りやったのだと思いますよ。
そうでなかったら、その部分を取り上げて「医療ミスだ」って騒いでいるでしょうからね。
例えば、
お腹にエコーも当てずに、お腹に適当に太い針を刺して、間違って血管や肝臓などの重要な臓器に針を刺してしまって。
それで、大出血が起きて、出血多量で患者が死亡しました。
とか、。
ものすごく腹水の量が少なくて、腹水(腹腔)穿刺の必要がないのに無理して腹水(腹腔)穿刺をした結果、大出血を起こした、とか。
そういう事であれば、これは「医療ミス」と言っても良いと思いますよ。
でも尼崎医療生協病院のケースでは、
指導医が研修医に教えながら一緒にやっていますし、基本的な手技のやり方を間違った、とか。
腹水(腹腔)穿刺の必要がなかったのに、無理して行った。
という報道もされていませんから。
それであれば、「腹水(腹腔)穿刺の後に出血した」というのは、「合併症」と言っても良いと思いますよ。
血液の中には出血を止めるための「凝固因子」っていうものがあるんですけど。
肝臓が悪くなると、それを作る能力が落ちるんですよ。
重度の肝硬変っていう事は、肝臓の機能がすごく落ちているっていう事ですから。
記事にも書いてある通り、とても出血しやすくなって、血が止まりにくくなります。
腹水(腹腔)穿刺っていうのは、お腹を刺す訳ですから。
当然、出血はします。
手を紙で切った時でも、擦り傷でも血は出ますよね。
だったら、お腹を太い針で刺したら血が出るのは当たり前ですよね。
肝硬変の末期の場合は、腹部の表面を走る皮下静脈も拡張していますから。
当然、普通の人よりも血管に当たる可能性も高くなるし。
血が出た場合には、なかなか止まりにくくなります。
神戸新聞が一番詳しくて、客観的に書いてあるようなので、ここで引用します。
腹水抜く手術後、患者死亡
尼崎医療生協病院
尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年十二月、肝硬変で入院していた同市内の女性(35)が、腹腔(ふくこう)内にたまった水を抜く手術による出血が原因で死亡していたことが八日、分かった。
「家族への説明が不足していた」として女性の家族に謝罪したという。
同病院によると、女性は重度のアルコール性肝硬変で昨年十一月二十七日に入院。
その後発熱し、腹腔内に水がたまっていることが確認され、細菌感染の疑いがあるとして十二月四日、水を検査するため腹腔内に針を刺す手術を実施した。
手術は主治医が指導し、二十代の男性研修医が実施。直径一・七ミリの針を左下腹部に刺したが水が抜けず、もう一度刺したという。同日夜に皮下出血していることが分かり、容体が急変。
肝硬変のため外科的処置が行えないと判断し、輸血したが、十六日夜、女性は死亡。死因は出血性ショック死だった。
島田真院長は「この手術に出血はあり得るが、肝硬変で出血が止まりにくく、結果的に病状が悪化し、死期を早めてしまった。現時点で医療過誤とは判断していない」と説明。今後、外部の医療機関などに検証を依頼する。
「2009.1.8:神戸新聞」
神戸新聞をはじめ、各社の報道からわかる事は。
2008.12.4。
尼崎医療生協病院で、重度のアルコール性肝硬変の患者が発熱。
検査のため、腹水(腹腔)穿刺を行った。
腹水(腹腔)穿刺は主治医が指導し、二十代の男性研修医が行った。
12.4 の夜に皮下出血があった。
患者さんの容体が急変した。
肝硬変のため外科的処置が行えないと判断
12.6輸血を開始。
12.16に女性は亡くなった。
死因は出血性ショック死だった。
病院は遺族に謝罪した。
箇条書きにすると、こんなとこでしょうか。
そもそも、皮下出血で人間が死ぬ、
っていう事は基本的にはないし。
皮下出血に対しては、手術できませんから。
>針を刺された下腹部が皮下出血で赤くなり、出血が止まらなくなるなど容体が急変。
って書いてある産経新聞は、全然医療の事をわかっていないでそのまま記事にしているんだな。
という事がよくわかります。
「外科的処置」っていうのは、言葉を変えると「手術」の事です。
手術をしようかな、って考えたっていう事は、「お腹の中」で出血している可能性が高いから。
お腹を開けて、手術して出血を止める手段としての「手術」という事なのでしょう。
手術っていうのは、体にものすごい負担がかかりますから。
重症患者の場合は、手術自体ができない。
という場合があります。
それに、お腹の手術をする、っていう事はお腹を切るんですよ。
針でちょっと穴を開けるだけでなく、お腹を切るんですからね。
当然、大量に血は出ます。
ものすごく出血しやすい人に、更にお腹を切って手術するわけですから。
相当の出血が予測されます。
>肝硬変のため外科的処置が行えないと判断
っていうのは、全身状態が悪すぎるっていう事と、手術した場合の出血量を考えて、手術を断念した。
という事なのでしょう。
今わかる範囲で事実をまとめると。
とても出血しやすい、重症の肝硬変の患者さん(35歳)に腹水が貯まりました。
それで、12.4に腹水(腹腔)穿刺をしました。
出血しやすい患者さんなので、出血しました。
たぶん、お腹の中なのでしょう。
でも、全身状態が悪すぎて、手術はできないので、入院して輸血しました。
結果的には、残念ながら患者さんは12.6に出血性ショックでなくなりました。
というだけの話です。
35歳と若い方が亡くなったのは残念ですけど。
「病気で亡くなった」んですよ、この方は。
病院が謝罪したっていうのは、説明が不足していたとか、結果的には残念だった、っていう事で。
病院側が「ミスを認めた」って報道しているのは、産経新聞だけです。
他の3紙は病院側がミスを認めていないことを伝えていますから。
公式の記者会見で病院側はミスがなかったと言っている。
尼崎医療生協病院のホームページでも
>現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりません
「尼崎医療生協病院HP」
と書いてある。
それにも関わらず、産経新聞は「医療過誤で女性死亡」というタイトルをつけて、「病院がミスを認めた」と報道しているわけですから。
これは、「誤報」なんじゃないですかね。
「医療ミス」「医療ミス」って言っておいて、自分達は「報道ミス」をしているのではないでしょうか。
MBSニュース の報道を見ると、患者さんの遺族が病院がミスを認めた、って言っているようですけど。
患者さんや遺族の方っていうのは、医療に関しては素人ですから。
病院側が、説明不足とか結果的に残念だった、って言った。
もしくは、合併症の話をした。
そういうのを「医療ミスだ」と思ったとしても不思議はありません。
専門用語を一般の人が正しく理解できない、という事は良くあることですからね。
一般人で、医療ミスと合併症の違いを正確にわかっている人なんて、むしろ少数派でしょ。
これは、遺族の方達が悪いんじゃなくて、産経新聞側の問題ですよ。
真実を報道する事が職業のマスコミが、一般人からの証言だけを元に、他の情報ソースがないのに「医療ミス」だと報道する、という姿勢は、プロとして失格だと思いますよ、わたしは。
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コメント
コメント一覧
「さよぉなら!」なんて
書かれています。
なんとかおとどめしてください。
重症の肝硬変という情報だけではあまりに大雑把過ぎて、完全に『医療ミスじゃない』と否定することが難しいのが悔しいかぎりではありますが。
ただ肝機能の低下が直接、出血しやすいという事実に繋がらない一般の人は多いと思います。
一旦って言ってますから。
きっと止めないと思いますよ。
少なくとも、今ある情報からは、合併症としか思えませんね。
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