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医療崩壊、対症療法じゃ駄目だ

Dr. I / 2008.01.21 00:36 / 推薦数 : 9

最近は、ほとんど毎日のように「医師不足」「医療崩壊」とか、
そういう話題がテレビでも新聞でも出てきますよね。
特に、日本の医療崩壊で著しいのは、
産科、小児科、救急です。
当然、産科医、小児科医、救急の医師は不足しています。

たらい回し」っていう言葉。
使い方が不適切なんで、大嫌いなんですけど。
この「たらい回し」でも、一番問題になっているのが
妊婦のたらい回し」ですよね。

日本の人口当たりの医師先進国中最下位です。
でも、ほんのわずかに、医師の数自体は増えているんですよ。

まあ、他の国々に比べたら、増え方が少ないので。
あと10数年したら、韓国やメキシコにも抜かれて、
先進国だけでなく、OECD(経済協力開発機構)30カ国中でも、
最下位
になりそうなんですけどね。

それでも、ほんのわずかですけど、医師の数自体は増えています
でも、産科医の数っていうのは、実数で減っているんですよ。
そして、それ以上にお産ができる病院の数は減っていますから

日本で最も医療崩壊が進んでいるのが、「産科」で、
医師不足が最も著明なのが「産科医」とも言えます。

更に、都会と比べたら、地方の医師不足、
産科医不足
は、もっと酷いです。

その日本で最も医療崩壊医師不足が顕著な
地方の産科医不足について、1/19に厚生労働大臣と市民(長野)、
そして『ある産婦人科医のひとりごと』の管理人先生なんかの
話し合いがもたれたようですね。

こちらに、その時の様子が載っていました。
『大臣と語る 希望と安心の国づくり』

そこから、新聞記事を引用させて貰いますね。
いつもお世話になっております。

本文の前に、応援もよろしくね!

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産科医増員へ追加対策 厚労相「次の手、首相と協議」

舛添厚生労働相は19日、長野県飯田市内で記者会見し、
産科医不足が深刻化している問題について、
「全国のどの地域でも産科医の不足が極めて深刻だ。
優先順位を付ければ、まず産科医対策だ。
来年度予算で医師不足対応の予算を倍増するが、
次の手が打てるかどうか首相、官房長官と協議したい」
と述べた。

政府は来年度予算案に産科のある病院への
財政支援などを盛り込んでおり、産科医の増員に
重点を置いた追加対策を検討する考えを表明したものだ。

その上で、厚労相は
「政府全体で、極論すれば『緊急事態だ』
という認識を持ってもらう」と強調した。

追加対策は、厚労省の有識者会議
「安心と希望の医療確保ビジョン」や、
福田首相主導で今月中にも開かれる
「社会保障に関する国民会議」などで議論される見通しだ。

厚労省の医療確保ビジョンは4月にも
産科医確保策など中長期的な目標をとりまとめる方針だ。

   
『読売新聞 2008年1月20日』



こちらは、NHKのニュースです。

医師不足で厚労相と懇談

舛添厚生労働大臣は、飯田市で、
地域医療をテーマにした国民との対話集会に出席し、
産科医師不足に対応するため、政府として
緊急の対策を検討したいという考えを示しました。

飯田市の市立病院では、産科医師が減ったため、
ほかの地域に住んでいる人や里帰りをして
出産する人の受け入れを、ことし4月から
原則として取りやめる方針です。

舛添厚生労働大臣はこうした地域が抱える
深刻な医師不足の問題についてみずから出向いて
住民と話し合おうと、19日、飯田市の市立病院を
視察した後、市民との対話集会に臨みました。

集会には市民など120人あまりが出席し、
舛添厚生労働大臣と「地域医療の充実」
をテーマに意見を交わしました。

出席した人からは、
「この地域で出産ができなくなったら、本当に悲しい」
といった不安の声が相次いだほか、病院関係者からも
医師が確保できないと病院はつぶれる。
医師の配置を、国はもっと真剣に考えるべきだ」
という意見が出されました。

これに対し舛添大臣は、
「国民の目線に立つことがいちばん大事なことだ
と認識している。
産科の医師不足については、対策のスピードを
上げる必要があり、政府全体として取り組む体制を
早急に考えたい」と述べ、
政府として緊急の対策を検討したいという考えを示しました。

(NHKニュース信州、2008年1月19日)




日本で医療崩壊が進んでいる原因は、
たくさんありますけど。
もっとも大きな原因は、医師の数が不足しているから、
って事と、医療費が不足しているから。

それらは、医師数削減政策、医療費削減政策
によるものだから、医療崩壊というよりは、
医療破壊という言葉の方が適していると、
個人的には思うのですけどね。

いずれにせよ、医師不足、医療費不足
日本の医療崩壊(医療破壊)の大きな原因です。


そして、その中でも最も弱いところである、
産科、小児科、救急では「目に見える形」で、
実際に弊害が起こっています。

それが、お産の制限とか、救急の患者をいろんな病院で
受け入れることが出来無くって、マスコミで言う
たらい回し」が起きているんです。



少し、話が逸れますけど。

病院に来る人(患者)っていうのは、
基本的にはなんか症状があって。
そいでよくわかんないけど
良くならないからって事で、病院に来るんですよ。

まあ、中には健康診断で異常がある、
って言われて来る人もいますけどね。

そういう人以外は、みんな「症状」があるんですよ。
なんらかの。


例えば、肺炎という病気。

肺炎っていう病気は、肺にばい菌が入って、
肺がやられてしまう病気です。

そして肺炎になると症状として、
が出たり、高熱が出るんです。
そして、もっと酷くなると、息が苦しくなります。


肺にばい菌が入った。
そしたら、人間の体ってばい菌を殺そうとして、
頑張るんですよ。
こういう感染防御機構のことを、
免疫って言います。

体の中にばい菌が入ってくると、
白血球(リンパ球、好中球)とか、いろんなサイトカイン
っていうのが頑張って。
ばい菌をやっつけてくれるんです。

そいで、ばい菌をやっつけたりするのには、
体温が高い方が、都合が良いんですよ


温度が高い方が、白血球とかサイトカイン
っていうやつは、良く働くんです。
だから、ばい菌がたくさんいればいるほど、
熱も高くなる場合が多いんです。

まあ、単純に比例はしませんけどね。


そして、人間の体は、ばい菌とかを殺した死骸を、
にして体の外に出そうとします。


っていうのは、気管支やのどが刺激された時
にも出るんですけどね。

皆さんも経験あるかもしれませんけど。
を出す時には、をした方が出しやすいんですよ。

そんな感じで、肺炎になった場合。
人間の体が、自分で肺炎を治そうとして
が出たり、が出るんですよ。

症状がある場合には、基本的には原因となる病気があって、
人間の体がそれを治そうとして「結果として
症状が出るって場合が多いんですよ。


肺炎だったら、咳、痰、高熱
そういった症状です。

重症の肺炎になれば、広範囲で肺がやられちゃうから。
十分に酸素を取り込むことができなくなって、
息が苦しくなる、って症状もでますけどね。

いずれにせよ、肺炎という「原因」があって、
咳、痰、熱、呼吸苦、っていう「症状」が出るんですよ。


熱が出たら、熱冷まし。
咳が出たら、咳止め。


こういう症状をとる治療の事を「対症療法」って言います。

まあ、高熱が出てつらい、とか。
が出てつらい、って事もあるので。
こういう治療が悪いって訳ではないのですけど。

対症療法しかしなかったら、病気は治りません。

人間の体には自然治癒力っていうのがあるから。
症状を和らげてあげて、人間の自然治癒力に任せる。
っていう方法もあるんですけど。

その話は、今はおいといて。
基本的には対症療法だけでは、病気は治りません。


肺炎であれば、肺にばい菌が入る病気なので。
そのばい菌を殺す治療をします。
これが、「病気の原因に対する治療」です。

具体的には、抗生物質っていう薬を使います。
そして、ばい菌やばい菌の死骸がから出るから、
そのを出しやすくする治療なんかもします。

また、高熱が続けば、汗もたくさんかくので、
水分も足りなくなるから。
水分を補充してあげたりもします。

酸素が足りないようであれば、酸素を流します。

そして、対症療法として、
咳を止める薬を使ったり、熱を下げたりします。


肺炎の治療っていうのは、そんな感じでやるんですけど。
決して、「対症療法だけ」では、良くならないんですよ。

熱が出たら、熱冷まし。
咳が出たら、咳止め。


これだけでは、駄目なんですよ。
病気の原因に対する治療」をしていないから。
肺に入ったばい菌を殺さないと、肺炎は治らないんですよ。

熱がものすごく高くなったら、熱冷ましの量を増やす。
普通の咳止めじゃ効かないから、
麻薬の咳止めを使いましょう。


でも、ばい菌を殺す抗生物質の治療はしません。

って事では、どんなに強い咳止めや熱冷ましを使っても、
肺炎っていう病気は治らない
んですよ。

最初に使った抗生物質が効かなかったら、
痰の培養っていうのをやって。
どの抗生物質が効くかの検査をして、
そのばい菌に効果がある抗生物質に変更する。

そういう「病気の原因に対する治療」っていうのを
行わないで、「対症療法」だけ行っていては、
肺炎という病気は治らないんです。


肺のばい菌を殺す、っていう「病気の原因に対する治療
を行って、その上で、咳を止めたり、熱を下げたりっていう
対症療法を行わないと、肺炎は治りません。



話は戻って。

日本の医療崩壊病気に例えると。

医師不足、医療費不足っていうのが病気の原因
お産や患者の制限、たらい回し(病院での患者受け入れ不可能)
っていうのが、症状のようなもんです。

日本の医療崩壊」という病気を治す為には、
医師の数を増やす、医療費を増やす
っていう事をしなければ、決して治りません。

病気の原因に対する治療です。

小手先の対症療法
産科医を増やすために、他の科の医師産科医にするとか、
救急患者に対応する為に、コーディネーターを置くとか。
そういうのが、駄目とは言いませんけど。

それだけでは、治らないんですよ。

他の科の医師産科医にしたら、
他の科の医師は不足しますよ。


産科医が足りない地方に、別の地域から産科医を呼べば、
また別の地域で産科医の数が足りなくなりますよ

コーディネーターを何人増やしたって、
患者を受け入れる病院やベッド、そしてそれを治療する
医師の数が足りなければ、何の解決にもなりませんよ。


今やっているのは、所詮、病気の原因に対する治療ではなく、
対症療法しかやってないので。
そんな事では、日本の医療崩壊という病気を
治す事は出来ないんですよ



医師不足対応の予算を倍増

これ一見、医療費を増やすように思いますけど。
日本の医療費っていうのは、30兆数兆円
日本の医療費を他の先進国並にするには、
あと10兆円くらい必要なんですよ。

医師不足対応の予算って、何十億円ですか。
そんな、はした金だけ倍にしたって、
必要な医療費の1%位にも満たないですよ。
そんな少ししかお金使わないで、治るわけないでしょ。

肺炎の治療の抗生物質を1/00だけ使いました。
そんなちんけな量で、ばい菌を殺せるわけないでしょ。
適正な量を使わないと、ばい菌は死なないから、
肺炎って病気は治らないんですよ。


医師の数を200人増やします。

って、日本の医師数を先進国並にするには、
最低でもあと12万人から14万人必要なんですよ。
200人ずつ医師を増やしたって、500年以上かかりますよ。

そんな小手先の対症療法だけしたって、駄目なんですよ。



悪いのは厚生労働省や大臣だけではありません。

>「医師が確保できないと病院はつぶれる。
 医師の配置を、国はもっと真剣に考えるべきだ」


これ、当事者である病院関係者の発言ですけど。
まあ、言っている事自体は間違ってはいないけど。

所詮、「医師の配置を換える」ってだけでは駄目なんですよ。
医師の数を増やさなければ。
他の地域とか、科の医師が不足するだけですから。


医師の数を増やすのは、すぐには無理だから。
とりあえず出来ることを、って事で
言っているのかもしれませんけどね。

対症療法だけでは、治らないんですよ。
医療崩壊っていう病気は。

医師の配置を換えるんじゃなくて、
医師の数を増やさないと。


残念ながら、医療現場にいる人間でも、
医師は不足ではなくて、偏在が問題だ。
って思っている人もいるのが現状なので。
現時点では、相当難しいかな、って思います。

この発言した医療関係者も、
医師確保とかって言葉使ってるしね。

犯罪者じゃないんだから。
医師を確保する、って言ってる病院に、
行きたいと思う医者がいるわけないでしょ。

自分たちのせいで、医師が病院に来ないっていう面もあるのに、
それを棚に上げて国のせいにしている。
っていう、無責任の構図がここでも見られます。



肺炎っていう病気を診断する為には、
とかとか、があるとか、症状を聞く。
っていう事も大切なのですけど。

胸のレントゲンやCTを撮ったり、
炎症の程度を見るために、採血とかの検査も必要です。

そういう検査とかをして、肺炎って診断する
そういう、正しい診断ができないと、
病気の原因となる治療はできませんから。


今、最も必要なのは、日本は医療崩壊っていう病気に
かかっている、ってしく診断することです。

日本では、医師の数がほんのわずかに増えているから。
だから医師は不足ではなく偏在だ。

とか言っていたら、駄目なんですよ。

医療費がどんどん増えているから減らさなきゃ
っていうのは間違いなんですよ。
他の先進国と比べたら、医療費は10兆円くらい、
足りないんですよ、本当は。

そして、原因は医師不足、医療費不足だ、
って事をきちんと認識する

それは政策によるものだから、医師数削減政策、
医療費抑制政策を変更する事
です。

それで、原因に対する治療を行いながら、
対症療法行う、って事をしないと。

正しい診断をせずに、対症療法しかしなければ、
日本という国は、医療崩壊という病気で、
死んでしまうかもしれませんよ



正しい診断をするために。
こういう本も読んで下さいね!


→ 誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実

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