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< 産科医当直、5日に1回超 | メイン | 医者v.s.患者 >
奈良の大淀病院で、妊婦が脳出血(脳内出血)で
亡くなった話は、このブログでも何回も書いたので。
ご存じの方も多いと思いますが。
福島県では、出産後に患者が脳出血で死亡した、
という事件があったようです。
まずは、この方のご冥福をお祈り致します。
で、この件に関しては、和解が成立したようですね。
ネタ元は、ssd先生のブログからです。
→ 『またもや悲劇が』
いつもお世話になっております。
でも、これって、どうなんでしょうか。
本文の前に、応援もよろしく!
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損賠訴訟:出産後に脳内出血死
病院側責任認め、遺族と和解成立 /福島
出産後に脳内出血を起こして死亡した
いわき市の女性(当時29歳)の遺族が、大原綜合病院
(福島市大町、有我由紀夫院長)を相手取り、
6800万円の損害賠償を求めた訴訟があり、
福島地裁(森高重久裁判長)で和解が
成立していたことが10日までに分かった。
病院側は血圧管理について一定の責任を認め、
解決金4062万円を支払う。
訴状によると、女性は04年7月13日に長男を出産後、
血圧の高い状態が続いていたが、
同病院は血圧を下げる治療を継続しなかった。
また、意識レベルが低下しているのに
磁気共鳴画像化装置(MRI)による検査をしなかったため、
より設備の整っている別の病院への搬送が遅れ、
女性は脳内出血で同年9月に死亡した。
同病院は「病院にも一定の責任があると認め、
和解に応じた」と説明した。
女性の夫は「責任を認めてくれたことは大きい。
同じような被害を出さないよう適切な処置をしてほしい」
と話した。【今井美津子】
『毎日新聞 : 2007年10月11日』
このブログだけでなく、他の医師ブログでも、
以前から何回も言っていることで。
既存のマスコミでも、やっと言うようになってきましたけど。
お産にはリスクがつきものです。
日本の新生児死亡率は、世界一低くて、
妊婦死亡率に関しても、日本はかなり優秀ですけど。
それでも、一定の割合で、お産で亡くなる方はいます。
どんなに医学が進歩しても、
それは絶対にゼロにはなりません。
具体的に、どの位の妊婦が出産で亡くなっているか、
って事を調べようと思ったら。
僻地の産科医先生のブログに書いてありました。
→ 『「良い産院の1Oカ条」と妊婦健診』
この記事の、表2,3に書いてあります。
ちょっと見にくいので、抜粋します。
>厚生省長屋班で1991~1992年にかけて行った
妊産婦死亡の主要死因と,
主要死因別救命可能率を表2に示す.
不適切麻酔(4/4),重症悪阻(3/3),
MOF(多臓器不全)(3/4)などは,
適切に治療が行われていれば救命は可能であった
と判定された。
出血性ショック(46/74=62.2%)や
妊娠中毒症(10/17=58.8%)は症例数が多く,
かつ適切な治療によって救命可能な例が
半数以上であると判定された.
一方,内科合併症妊娠(主に心疾患)(1/19=5.3%),
羊水塞栓・肺塞栓症,(1/24=4.2%),
頭蓋内出血(1/27=3.4%)などは,
救命が困難であったと判定された.
表2から、脳出血(脳内出血)の部分だけを抜き出すと
>頭蓋内出血 症例数 27
救命可能数 1
救命可能率 3.4%
厚生労働省が示したデーターで、
1991~1992年の一年間で、妊婦や出産後に
27人の患者が脳出血(脳内出血)で亡くなった。
そして、救命可能だった人は1人しかいないって事ですよ。
確率からいったら、3.4%しかいないんですよ。
その事を頭に入れて、もう一回この記事を見てみましょう。
あくまで、断片的な情報しかないんですけどね。
>女性は04年7月13日に長男を出産後、
血圧の高い状態が続いていたが、
同病院は血圧を下げる治療を継続しなかった。
血圧を下げる治療を継続しなかった。
って書いてあるんだから、
一時的には血圧を下げる治療を行った、
って事でしょう。
「血圧」、っていうのは、基本的には、
一時的に多少高くても、あまり問題にはなりません。
私の無料レポート
日本一わかりやすい!「高血圧」
にも書いてある事なんですけどね。
普通の人でも、全力疾走したら、
一時的には血圧200位になりますから。
それだけでは、あまり問題にならないんですよ。
血圧が、高い状態がずっと続いていると、
動脈硬化が進んで、脳卒中や心筋梗塞になりやすい。
心臓や腎臓に負担がかかって、心不全、腎不全に
なってしまう事もある。
だから、食事、運動療法をしたり、薬物療法を行って、
血圧を下げた方が良い、って事です。
一時的に血圧が高かったから、
一時的に血圧を下げる治療をした。
ということは、どうやら言えそうですけどね。
どのくらいの血圧が、どのくらいの期間続いていて、
どんな治療を行ったのか。
そういった事はわかりません。
その後、どの程度の血圧が続いていたか、
って事もわからないんですけどね。
基本的には、若い人は脳卒中の確率も低いですし、
動脈硬化っていうのは、何年も何十年もかかって
進む事ですから。
急いで血圧を下げる必要があったのかどうか、
って事はわからないと思います。
血圧が高かったのに、治療をしなかった、けしからん。
って記事のようにも思えるのですけど。
「血圧はただ下げればよいわけじゃない」、
って事は、テレビ番組なんかでも、
たくさんやっていますよね。
どの程度の血圧がどのくらい続いたのか。
そこがわからないと、なんとも言えないのですけど。
あくまで、一般論として、
血圧が一時的にちょっと高いだけでは、
すぐに治療の対象とはなりません。
まして、薬物療法の対象とはなりません。
>意識レベルが低下しているのに
磁気共鳴画像化装置(MRI)による検査をしなかったため、
より設備の整っている別の病院への搬送が遅れ、
女性は脳内出血で同年9月に死亡した。
MRIがこの病院にあったのかどうか知りませんけど。
意識レベルが低下しているのであれば、
やっぱり頭のCT位は撮った方が良いと思います。
これに関しては、過失はあるかもしれません。
MRIっていうのは、入っていない病院も多いし。
撮るのにも、時間がかかりますからね。
CTであれば、たいていの病院にありますし。
時間もMRIに比べたら、短いです。
脳梗塞は、直後だったら頭部CTではわからないんですけど、
脳出血ならわかりますからね、たいてい。
まずは、頭部CTは撮るべきだったと思います。
しかし、問題はこの次です。
>設備の整っている別の病院への搬送が遅れ、
女性は脳内出血で同年9月に死亡した。
まあ、確かに高次機能病院に搬送するのは
遅れたようですけど。
元々、妊婦、出産後の脳出血患者の場合。
救命率は、約3.4%なんですから。
おそらく、早く搬送できたとしても、
97%位の確率で亡くなったと思われます。
搬送が遅れたから死亡したのではなく、
脳出血(脳内出血)だから、死亡した。
って事が事実です。
どうも、この書き方だと、搬送が遅れたから
助けられる命も助からなかったんだ、けしからん。
という書き方に思えるのですが。
それは、必ずしも正しくないと思います。
どの程度の血圧が、どの位続いたのか。
それが、治療が必要な程高かったのか、
って事は不明ですけど。
頭のCT(普通はMRIではなくて、CTです)を撮るのが
遅れた、って事で一定の責任はあるかもしれません。
でも、97%は助からない、妊婦、出産後の脳出血で、
和解金を払うってのは、どうなんでしょうかねー。
判例が出ていない和解とはいえ。
結果が悪かったら、ほとんど病院の責任。
っていうのは、問題があるんじゃないですかねー。
こういう訴訟が続くようなら、
MRIを緊急で撮れない病院では、お産を行わない。
って事になって、ますます分娩が出来る施設が
減る事になるかもしれませんね。
脳出血(脳内出血)になりたくない人は、
これを読んで、高血圧を予防してね!
→ 日本一わかりやすい!「高血圧」
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コメント
コメント一覧
Taichan先生のコメントに関してですが、環境によって、背景画像の緑色が、半透過(バックの色が透けた状態)になっているのだと思います。
ちなみに、私の環境では、背景の緑色は透過にならず、白い状態なので、文字が読みにくいことはないです。
・・・
産科施設数が減ってきている上に、
産科医も足りない状態。
最近は、晩婚化の影響もあって、
出産年齢も上がっているでしょう。
それに伴って、ハイリスクの妊婦さんも増えていて、
現実としては、
ますます産科医療の充実が望まれるところだと
考えます。
なんでも、病院側の手落ちというだけで片付けることが
ないようであってほしいと思います。
>ますます分娩できる施設が減る
少子化問題といわれて久しいですが、
更に少子化に拍車がかかってしまうのではないかと
懸念します。
少子化=高齢者を支える人が減る
・・ってことだと思います。
人が減れば、働き手も減るということで、
子どもが生まれない=将来の働き手がどんどん減っていく
ということで。
これは、国にとって重要な問題だと思うのですが・・・。
出産に伴う脳内出血の救命率はきわめて低く、助かる方が奇跡です。
「血圧をコントロールしさえすれば脳内出血は起こらなかった」「(CTで)はやく気づいていれば助かった」という、二つの大きな重大な間違いに、なぜ気付かないのでしょうね。
こうした脳内出血の原因は、脳動脈瘤や、脳血管奇形、Wills動脈輪閉塞症、腫瘍、脳梗塞後出血(出血性脳梗塞)など、高血圧以外にもたくさんあります。出血性脳梗塞にいたっては、心原性のもの(心臓から血栓が飛んできて詰まる)や、血管炎など、複雑だ。出産前にこれをぜんぶ調べるのは非常識ですから。ね。
本事例で、降圧が持続的であれば脳出血が起こらなかったという「錯覚」で、責任を問われてもどうしようもないでしょうね。病院や主治医がかわいそうです。
ましてや、手術不能(適応なし)の大きな出血、くも膜下出血なら、なおさらお手上げです。
病院が和解金(ほとんど賠償金とでもいったほうがいいくらい)を、こういう事例があるたびに支払うとなれば、産科を放棄しても全然おかしくないわけです。
こういう和解の仕方では、何も伝わらないし、真実も分からない、闇の中に葬られるようなものです。
きちんとした調査機関(公平な!)と、遺族への(争いのない)補償制度を早急に作らなくてはいけませんね。
過失ではないのですから、「一定の責任があった」などと、病院側は簡単に折れてはいけませんが、現行の法体系は、そうするしか解決できないような古い仕組みなのです。
「責任を認めてくれてうれしい。こうしたことが二度と起こらないように、適切な医療をしてほしい」???????
何度でも「決まった確率で起きます」から。なんでそれがわからないのでしょうね。
ま、勝った側の城東区ではなく常套句です。
そーゆーことではないでしょ。でしょ。
こんなことで、今後、病院や医師は、首をククラズニに医療をしていけるでしょうか。
あ ぶ な い よ ~
掃除中にね。
Takechanちゃんとこで、つまづいて転んじゃったよ。
-っ・・っ
はるるだったの。夢見るの前は。気付かなかった・・。
難しい問題ですね。どこまでが医療の過失責任か、どこまでが患者さんの身体的な原因か。
“命”を預けている以上、患者さんが亡くなられれば、遺族側からすれば責任は医療側に持って来るでしょうね。
自分が治療を(出産を病気と捉えるのは変ですが)受ける側であれば(と言うか、受ける側にしかなれませんが)、「救えた命のはずだ」って思い(思いたい)ますよね。
だから、普段から先生のように、データーと根拠を挙げて、説明する事は“必要”を通り越して“重要”だと思います。それも、治療前にちゃんと患者本人と患者の家族に。しかし、今でさえそんな余裕の無い“産婦人科医”にそれを求めるのは酷なんですけどね。
ただ、それでも、患者側から見れば、「自分だけは例外」意識はあると思います。だから、論理的に説得しても納得しないでしょうね。治療前にリスクの説明があったとしても、その時は「自分達だけは例外」だと思って軽く聞いていますよ(実際、自分もそうですから)。
で、今回の
>病院側責任認め、遺族と和解成立 /福島
なのですが、遺族の側は、自分達の言い分が通って“嬉しい”でしょうが、でも失われた命は帰って来ませんよ。もちろん自分がその立場でも、ある程度は自分を”納得”させる材料にはなっていると思います。もちろん“命を返せ”なんて言っても帰って来るものでもないですけど。
(続く)
きちんと論議することが大切です。訴えられた側は、早く和解を得て、気持ちを落ち着かせたいということで、こういう形に(ほとんど賠償金に相当する金額で)折れざるを得ないということだったのか、どうなのか。。。
でも、この賠償金は、病院側が払って終りなのでしょうか。そんなことはないでしょう。病院側が、こんどは医師に請求するんです。深刻なもう一つの民事訴訟が始まるでしょうね。
遺族側が、なぜMRIとかCTとか、を持ち出してくるのかなあ。。。医師個人に訴えてもすぐにはほとんど何も取れないから、というのが現実的な訴え方なのかも。病院側ならキャッシュで。
本当のことが話されているわけではないということが、しみじみと伝わってきますが、ニュースからは、本当のことは全然伝わってきません。
こういう、今の医療紛争のたびに、医師たちは、たとえメスを握らなくても、その密室の和解に震えオノノクばかりなり。
しょうしょうお待ちを。
落ち着いたら、衣替えしますので。
字が見にくいのは、ブラウザによるらしいんですよ、どうやら。
m3には、以前から何回も言っているのですが、改善されないんですよね、残念ながら。
高齢出産が増えて、リスクは増えているのですけど。
産科医は減少する一方ですからね、残念ながら。
こういう事が続く限りは、お先真っ暗ですね。
一定の責任、っていうのが、どの位なんでしょうかねー。
常に100点満点の治療はできっこないですから。
60点が合格点で、80点の治療をしても、100点じゃない、20点の過失がある、って言われたら、それで慰謝料払わなければならないのでしょうかねー、これ。
それであれば、医療は崩壊します。
もしかして、マスコミには出ていない病院側の過失っていうのがあって。
それで負い目があって、病院側が和解に持ち込んだ、って可能性もあるんで。
実は、なんとも言えないんですけどね。
でも、血圧が弱冠高かった、致死的な脳出血であれば、CTやMRIを撮っても助からない可能性が高い、って事であれば、病院側には争って欲しかったですね。
目先の金払って終わりではなく、こういう例が増えたら、産科医療はますます崩壊に近づくって事を自覚して欲しいです。
100%のうち20%などと定義があるわけではないと思います。たとえ1%でも、そのミスが重大な結果をもたらすときは訴訟の対象になるということです。
それでは医療は崩壊するとのご指摘ですが、確かにそのとおりだと思います。
不可抗力的なものが1%の確率でも、それで重大な結果となれば同じことです。
現行の法体系では、ミスや不可抗力は一括して「業務上過失致死傷」という概念で包括されて、告訴・審理されますので、逃げようがありません。
これではやはり医療は崩壊か。。。ごもっともです。
ですから、きちんとした話し合いと開示、争いのない補償制度が必要なのだと思います。
ミスや不可抗力で、医療側も受ける側も不幸になっているのが、現状だという意味で、「一定の責任」をかぶらなければ解決できない時代なのです。
お返事が大変遅れてもうしわけありません。
「一定の責任」すらもない治療って。
そもそもあり得ないのですけどねー。
死にゆく人、病気が悪くなる人を、死ぬ確率が少なくなるように、病気が良くなる確率が高くなるように、って思って医者が行う行為が、医療なわけで。
100%って事は、元々ありえないのですけどね。
病気の状態が20%しか改善の余地が残されていない状態で、できることの100%の力を注ぎ尽くしても、得られなかった3%で訴訟が起きてしまう。。。ということですね。
残念ながら、今の日本の現状ではそういう事です。
悲しい事ですけど。
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