Dr. I
Profile

関連リンク

ブログ内検索

カレンダー

<< 2007/09 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

産科医の労働環境(奈良版)

Dr. I / 2007.09.01 22:47 / 推薦数 : 11

「奈良、たらい回し!の問題点」
の記事の続きです。

2007年8月29日、午前2時40分ごろに
妊娠7ヶ月の、かかりつけ医のいない妊婦
腹痛と出血を訴えて、119番通報したんですけど。
受け入れ可能な病院がなかなか見つからなくって。
10病院、延べ12番目に電話をかけた病院に搬送されて。
そいで、その途中に救急車と軽ワゴン車が衝突して、
結局、流産したって話なのですけどね。

受け入れなかった病院や、産科医が悪い。
って某マスコミの論調は、間違っていると思います。

彼らは、これを見ても、自分たちの主張が正しい、
と、胸を張って言えるのでしょうか。

その前に、応援よろしくね!

→ 人気ブログランキング 


奈良医大の発表

今般の妊婦救急搬送事案について

去る8月29日、救急搬送中の妊婦さんが不幸にも
死産にいたりましたことについて、誠に遺憾に感じております。

今回の事案につきましては、マスコミを通じて、
さまざまな報道がなされておりますが、
病院の産婦人科における8月28日から29日にかけての
当直医師の勤務状況や当病院と救急隊との
やり取りについて調査しましたので、その結果を公表いたします。


平成19年8月28日の当直日誌記録より

(産婦人科当直者 2名)

時間 対応内容


8月28日(火)     夕方から抜粋

19:06   妊娠36週 前回帝王切開の患者が出血のため来院、
      診察後に帰宅
19:45   妊娠32週 妊娠高血圧のため救急患者が
      搬送され入院、重症管理中
09:00~23:00   婦人科の癌の手術が終了したのが23:00、
          医師一人が術後の経過観察
23:30   妊娠高血圧患者が胎盤早期剥離となり
      緊急帝王切開にて手術室に入室
23:36~00:08   緊急帝王切開手術
00:32   手術から帰室、医師一人が術後の処置・経過観察をする。
      重症のためその対応に朝まで追われる。
      妊婦の対応にもその都度応援する。
      当直外の1名の医師も重症患者の処置にあたり
      2:30ごろ帰宅

8月29日(水)

02:54   妊娠39週 陣痛のため妊婦A入院、処置
02:55   救急隊から1回目の電話が入る
      (医大事務当直より連絡があり当直医一人が事務に返事) 
      「お産の診察中で後にしてほしい」、
      そのあと4時頃まで連絡なし
03:32   妊娠40週 破水のため妊婦B入院、処置 
      (これで産科病棟満床となる)
04:00   開業医から分娩後の大量出血の連絡があり、
      搬送依頼あるが部屋がないため他の病棟に交渉
04:00頃   この直後に救急隊から2回目の電話が入る 
      「今、当直医が急患を送る先生と話しをしているので
      後で電話してほしい」旨、医大事務が説明したところ
      電話が切れた
05:30   (病棟へ)分娩後の大量出血患者を病棟に収容 
      (産科満床のため他の病棟で入院・処置)
05:55   妊婦Aの出産に立ち会う。
      その後も分娩後出血した患者の対応に追われる
08:30   当直者1名は外来など通常業務につく、
      もう1名は代務先の病院で24時間勤務につく

「奈良医大HP」より



奈良医大は、3回も受け入れを断って、けしからん。
みたいな論調もあるようですけど。
当日、奈良医大産科医は2人いて。
2人とも、ほとんど夜を徹して仕事をしていて。
そいで、次の日も24時間連続勤務
についているんですよ。

産科が満床のため、分娩後の大量出血患者を
別の病棟に収容してまで、そこまでやっていて。
更に、奈良医大で患者を受け入れられなかったら、
それは病院医者のせいですか?

これだけ、ほとんど夜通し、ぶっ続けで働いているにも関わらず、
合間に患者を受け入れようと努力しているんですよ。
この産科医の先生。

事務員と救急隊員の、意志の疎通がうまくできていなかった
とか、そういう問題はあると思いますけど。

これを見ても、この産科医の先生を責められる人、
いるんですか?


話の本題とはずれますけど、ちょっと補足しときますか。

奈良医大の給料は、私、知りませんけど。
数年前までいた、私の某大学での、研究生時代の給料。
年収200万円ですよ、額面で。

民間病院とか、公立病院なんかと違って。
大学の場合は、家賃の補助も出ないし。
引っ越し手当も出ないし。
もちろん、ボーナスもなし。
それでいて、医局費とか出費も多いので。
そこから、税金、保険、年金を引かれたら、
はっきり言って、この給料だけでは生活できません

だから、実際に私が大学で勤めていたのは、
一年間丸々ってわけではないのですけどね。
年収に換算したら、そんなもんです。
これでも、多い方ですよ、全国的にみたら。

そいで、今年から国公立大学も
独立行政法人になったので。
医者給料は更に下がったと聞きました。
当直料も下がったそうです。

それで、これだけ夜を徹して働いて。
次の日も、普通に仕事して。
当直料は、おそらく一万数千円

本来は、当直っていうのは、寝てるいだけの値段なので。
それ以外に働いたら、労働基準法上は、
残業代も貰えるはずなのですが。
大学病院で、当直中に働いた仕事で、
残業代を支給している病院は、私の知る限りありません


そんな状況で働いている、この産科医の先生に。
それでも、この産科医の先生の責任だ。
って言える人、いますか?


医者が夜を徹して働いているってのは、
大学病院に限った事ではありません。

昨日の新聞記事、本物には載っていたのですが。
ネット上ではアップされていなかったので。
自分で手打ちで入れようと思っていたら、
Yosyan先生が既に記事にされていたので、
それを引用させてもらいます。

「「どこも満席」奈良の悲劇」
いつも世話になっております。

神戸新聞より抜粋


 連絡を受けた病院      受け入れ不能の主な理由

1)奈良県立医大病院   急患の妊婦の処置中で対応できない

2)植田産婦人科      要請の事実を否定

3)大阪府立母子保健総合医療センター  一般の救急対応をしていない

4)千船病院      分娩があり対応できない

5)愛染橋病院      分娩があり対応できない

6)大阪厚生年金病院    要請の事実を否定

7)奈良県立医大病院(2回目)  急患の妊婦の処置中で対応できない

8)奈良県立医大病院(3回目)  急患の妊婦の処置中で対応できない

9)藤本病院   別の妊婦が分娩中で対応できない

10)北摂総合病院    産婦人科は救急対応していない

11)大阪市立総合医療センター  初めての患者は受け入れていない

12)高槻赤十字病院  入院・手術を必要とする患者は受け入れていない

13)大阪医大病院    集中治療室(ICU)との調整が必要
             と伝えると電話が切れた

当日、8月29日、午前2時頃奈良県付近
産科のある病院の様子です。

前の記事に書いた事の再確認なんですけど。
これ、午後2時じゃなくって、
午前2時、3時の話なんですよ。

これを見ると、だぶっているのもありますけど。
午前2時、3時なのに、13件中
最低でも7件
は、分娩とか急患の妊婦の処置
しているんですよ。
奈良産科医の先生は。

夜中も働く職業は、警察官とか、看護師とか。
他にもあるんでしょうけど。
医者の場合は、奈良医大産科医の先生もそうですけど。
次の日も普通に働かなきゃなんないんですよ。

そういう状況を、わかって報道しているんですかね。
マスコミは。

>初めての患者は受け入れていない
って病院もありますけどね。

これは、ある程度やむを得ない事なんですよ。

産科医の先生が1人しかいない病院で。
24時間365日、無制限に全員の患者を受け入れていたら。
産科医人間なんですから。
おそらく、過労死しますよ。

でも、患者や病気は待ってくれないから。
夜中でも悪くなる事があるから。
そういう時の為に、当番病院ってのがあるんですよ。

でも、かかりつけ医で、前からその患者を診ているよ。
って場合であれば、時間外でも診ますよ。
ってスタンスの病院は多いんです。

それ自体は、やむを得ない事だと思います。

もし、24時間365日、全ての病院で、
どんな患者も受け入れろ

って事であれば。
医者3交代制にするしかないですから。
今の医者の数の3倍の人数が必要ですから。

日本で、医者をあと50万人増やすのであれば、
それでも良いかもしれませんけど。

今の人数で、それをやれ。
っていうのは、医者は全員過労死しろ。
って言っているのと同じです。

10年後に数百人医者の数を増やすだけで、
そんな事ができるはずはありません。

これは、産科医だけの問題ではありませんし。
奈良だけの問題でもありません。

厚労省や自民党、公明党も、
なんかいろいろ言っているみたいですけど。
奈良だけの問題や、産科医だけの問題に、
問題をすり替える事があってはなりません。


しっかし。
産経新聞は、一体なんなんでしょうか。

【主張】妊婦たらい回し 
また義務忘れた医師たち

それにしても、痛みをこらえる患者を
たらい回しにする行為は許されない。
理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろ
あるだろうが、患者を救うのが医師病院の義務である。
それを忘れてはならない。


「2007/08/31、産経新聞:論説」

呆れて、物も言えませんねー。
感情に流されずに真実を報道するのが、
マスコミの義務なのではないでしょうか。

自分たちに義務を果たさないで、
現場の事を全くわかってないのに
いい加減な事を書く人間に、
そんな事を言われたくないです。


ついに復活。
期間限定でダウンロードできた、
あの大好評だった無料レポートが再登場!!!
医者のホンネを知りたいって人は、これを読んでね!


→ 『医者のホンネが丸わかり!』

固定リンク | コメント (8) | トラックバック (2)