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< 加古川、心筋梗塞事件2 | メイン | 医師の秘密漏示 >
「加古川、心筋梗塞事件」
「加古川、心筋梗塞事件2」の続きです。
まだ読んでいない人は、こちらを先に読んでね!
最初の記事のコメント欄に、
ある内部関係者の方から事件当日の話が届いて。
あまりに酷い話だったので、それが、
ネット上でいろいろ紹介されたようです。
非常に真実味のある話だと思ったので、
その方とコンタクトを取って、
更に詳しい話を聞くことができましたので。
今回は、その話を紹介させて頂きます。
まずは、前の記事までの復習。
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ある日曜日に、患者が歩いて来たんです。
で、いろいろ検査して、心筋梗塞だろう、と判断した。
その病院では、最新のカテーテル治療
(経皮的冠動脈再建術:PCI)ができないので。
それができる専門の病院に搬送しようと思ったのですが。
それまでに、70分の時間がかかって、
残念ながら、患者は亡くなってしまったんです。
それで、患者側が医療裁判を起こした。
で、神戸地裁では、70分搬送が遅れて、
それで亡くなったのだから、医療ミスだ。
って事で、医師側が敗訴した、という事件です。
70分搬送が遅れた、って裁判官は言っていますが。
その70分の間に、医師がどんな事をしていたか。
そのどこに過失があったのか。
これを読んで、皆さんで考えてみて欲しいです。
まず、電話で「胸が苦しく気分が悪い」というような
内容の訴えと受診依頼があり、すぐに受けた。
何回か加古川市民病院の受診歴はあるものの、
定期通院をしている方ではなかった。
確か64歳の男性。
奥さんと一緒に歩いて来院され、
診察室に入ったのは昼の12時過ぎ。
二次救急の日ではなかった。
小児の患者さんは数人おられ、
小児科医師が対応していた。
たまたまアルバイトで来ていた内科医師
(前回の記事で、循環器ではない医師って書きましたが、
循環器内科医だと思われます。すいません)は、
すぐに患者さんをベッドに寝かせ
アナムネ(患者の症状とかの話)を聴取しつつ
心電図をとり、モニターを付け、採血をした。
ただちに心筋梗塞を疑っての処置です。
採血にはトロポニンTも含まれており、
その陽性と心電図でAMI(急性心筋梗塞)と診断した。
トロポニンTが出てすぐ。
時間は「12時40分位かなぁ・・」
と、言っていましたがはっきりしていません。
診断後すぐにミリスロールとリドカイン開始(点滴治療)。
すぐ家族にカテ(カテーテル治療、経皮的冠動脈再建術:PCI)
のできる施設に転送の必要ありと
ムンテラ(患者、患者の家族への説明)をし、
すぐ転送先を探す電話をし始めた。
本当に診断後、即、だそうです。
まず神鋼加古川に電話。
しかし、神鋼の当直医師も循環器医師に
連絡して確認しないといけません。
一旦電話を切ってその返事待ちです。
結果は受け入れ出来ない、との事。
その後同じ事を繰り返しました。
一件につき10分~15分はかかります。
高砂市民病院、姫路循環器病センター、
三木市民病院、神戸大学病院にあたりましたが全てダメ。
結局、高砂市民病院(神鋼加古川?記憶があいまい)
に転院する事になったそうです。
搬送先が決まり、救急車を要請。
救急隊がストレッチャーに乗せようとした瞬間。
おそらく報道の14時30分「容態悪化」
の事だと思いますが全身性の痙攀がおきた。
その後、心マ(心臓マッサージ)、
挿管(気管内挿管)を行っていますが
全く無理な状態だったそうです。
容態悪化の14時半から死亡確認の15時半までは
蘇生治療をしていたと思われます。
小児科の看護師さんも含め、麻酔科の医師や
皆総出で頑張ったけれど、もう痙攀の時点で
ほぼ頓死に近かっただろう、との事。
という事です。
医学用語があったので、( )で私が補足をしていますが、
いただいた原文ほぼそのままです。
トロポニンTっていうのは、心筋梗塞になった時に
上がる酵素の一種です。
トロポニンTの採血は、簡易キットっていうのがあって。
普通の採血だと、結果が出るのに30分~1時間位
時間がかかるんですけど。
このキットを使えば、陽性か、陰性か、
ってのが15分位でわかります。
診断精度は、教科書的には90%近いんですが。
擬陽性(本当は陽性じゃないのに、陽性になること)
も結構あるので、実際は80%位ではないでしょうか。
ここからわかる事は。
当直医の診断、処置は非常に早く、
そして、処置そのものものも適切であった。
そして、最も大事な事。
70分って時間のほとんどは、
他の病院に搬送先を決めるために
電話をかけたり、待っていたりした時間。
って事です。
新聞記事では、
>担当医師は同0時40分ごろ、急性心筋梗塞と
診断して点滴を始めたが、症状が変わらないため、
同1時50分ごろ、効果があるとされる
経皮的冠動脈再建術(PCI)が可能な
同県高砂市の病院への転送を要請した。
って書いていますけど。
実際は、「点滴をして症状が変わらない為」、
ではなく、診断した「直後」に搬送しようとして
いろんな病院に電話をした。
しかし、いろんな病院に電話したけど。
受け入れることが難しい、って事で
最終的に70分の時間がかかった。
という事が真相です。
搬送先にいろいろ電話をして。
全部断られて、一巡してもう一度、高砂市民病院
(神鋼加古川?)に2回目の搬送要請の電話をしたのが、
13:50という事です。
そして多分一旦電話を切るか保留されて返事待ちでしょう。
ようやくOKが出たらそれから救急隊を呼びます。
この時点で少なくとも14時は回っているでしょう。
救急隊が14時15分に着いたとして、
ストレッチャーに乗せる14時半頃から痙攣、頓死。
真実はそういう事ですよ、おそらく。
他の病院に断られて、結果的に時間がかかっても、
それは、全部現場で働いている医師の責任。
そういう事ですか、この判決。
全く納得がいきません。
どこに過失があるか、この裁判長には
きちんと説明して欲しいですね。
残念ながら、家族にどんな説明をして
何時何分にどこに転送要請をした。
という医師(看護師)のカルテ記載が
全くなかったようですので。
それで、裁判で負けた、って事なんだと思います。
あえて言えば、この医師の過失は、
「カルテに記載をしなかった事」、という所でしょうか。
緊急で何よりも患者を搬送する事を優先して、
カルテの記載がなかった。
そしたら、処置そのものは適切でも、
結果が悪かったら訴えられて、
負ける世の中になってしまいましたね。
残念です。
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コメント
コメント一覧
私も搬送前に心筋梗塞の患者さんを失った経験があります。
バイト先の病院から自分の勤務する病院へ紹介だったため、搬送の手配は問題なかったのですが、、、
この事件、他人事とは思えません。
20年前の一般の人たちのほうが、病気のことを理解されていたのでしょうか。
こういう馬鹿げた判決が続けば、地域医療の現場から救急医療は放棄されることになりますね。また鑑定の意見を書いた医師もいい加減なことを書いているんじゃないかと思われます。
全国の医者すべてを犯罪者に仕立て上げようと言うつもりでしょうか。こういう判決が結果的に医療崩壊を加速し、国民を困らせるだけだと言うことに、早く司法が気付くべきですが。どうしてわからないんでしょうね、全く。
当直アルバイトにでていて、こういう症例に出くわしました。
時代が時代なら、私も同じ目にあったかと思うと未だに背筋が凍りつくおもいです。
私も、これが事実だと思います。
この医師に過失はないと。
こんな事は誰にでも起こりうる事なので。
本当に大変な時代になってしまいましたね、日本は。
おっしゃるとおりだと思います。
中堅病院で、緊急でPCIできる国なんて、日本くらいしかないのに。
それを70分遅れたから、全て医師の責任。
しかも遅れたのは、搬送先がなかったからって。
病院に来たら、患者が不死身になると思っているんでしょうか。
残念ながら、これで裁判に負けるなら、後は救急患者を受け入れない、って方法しかないですからね。
また医療崩壊が進みましたね。
鑑定した医者は誰なんでしょうか。
これで負けなら、日本中の医者全員負けますよね、ホント。
医療を崩壊させたいとしか、思えませんね。
誰でも、似たような事ありますよね。
実際に亡くならないまでも、それに近い事くらいは。
それを、医者個人の責任にして、どうしようってんでしょうかねー。
診断がついてから約70分で数箇所に断られながら救急搬送okまでこぎつけるのは,結構ベストタイムに近い物があると思うのですが・・・.
しかもすぐにミリスロールの点滴を開始出来たことはかなり運が良いと思います.これで注意義務不足は厳しすぎです・・・
行政、政治、司法全てが医療、介護等の福祉を崩壊させたいんですね。やっぱり人減らし政策は進められてるんですよ。確信しました。
もう司法も信用しません!!
医師に全く非にないことがわかりました。
なんということでしょう。これであの裁判!!!!
防衛医療的には、カルテ記載
改めてそれがわかりました。
カルテ記載がないとのことですが検査がオーダされた時間や結果が判明した時間はたぶん残っていると思うので(電子カルテならより確実に)、これらと当事者の証言から70分間を再現し映像を作る。そして「この医者が有罪と思いますか!!」って国民に問いかける、という番組を誰か作ってくれないかな。
ただ、ホントに記載が事実であるとしたら、素人でも判るのに、それと反する判決を出した裁判官は、幼児程度の判断力しかないと思わざるを得ませんが、これも現実味がないように思われます。どこかに誤謬があるのではないでしょうか?
こんな判決が続くようでは、
医療者の善意と努力を理解できる可能性のある患者さん以外診察しない時代が、確実に来ますね。
医師不足ですから・・医師が患者を選ぶ!
というのはどうでしょう?
以前、そういう医療をする大教授を批判しましたが、
仕方がないのかもしれません。
まあ、全てが終わってから、一息ついてカルテを書く、って事くらいは、良いと思いますよ。
循環器内科医の私からみても、ほぼ最速に近いタイムだとおもいますね、この先生。
嘘八百もよいとこですよ。
最近、マスコミも司法も、信用できなくなってしまいましたね。
残念ながら。
たしかに、カルテ記載の大事さはわかりましたね、これで。
でも、カルテに書いてなくても周りのスタッフの証言とか、本人の証言とかもあるでしょうに。
それだけじゃ、駄目なんですねー。
検査のオーダー時間当たりは、残っているでしょうねー。
すぐなら、通話記録とかも残っていたかもしれませんけど。
もう4年経ってますから、どうなんでしょうかね。
マスコミが協力してくれないですかねー。
たしかに、患者の側の言い分とかもわかんないし。
判決文も見てませんけどね。
でも、いくらなんでも、これは酷いでしょ。
中学生が見てもわかりますよ。
そうですね。
医者も患者を選びたいですよね。
本来、当直医は外来患者を診る必要はないですし。
救急で手に負えなさそう、って人は最初から診ない、って事しかリスクを回避する方法はないんでしょうね、残念ながら。
これだけのことを、短時間にやっているのでカルテなど記載している暇はないはず。
要は、救命処置など全てが終わった後に、疲れた心身に鞭打って、詳細なカルテ記載をしなければ、裁判では負けると言うことですね。
ますます、医者を続ける自信がなくなってきました。
ホントに、こんな判決が出るなら、医者辞めたくなりますよね。
問題のありそうな患者は、カルテを詳細に書くんですが。
この件も、一緒にいた家族は納得していたみたいですから。
問題がなくても、きっちりカルテに記載しないと、駄目って事が、よくわかりました。
いったいなぜこれで医師の方が負けてしまうのでしょうか。
・医師側の弁護士がよほどの下手
・検事側が色々とでっちあげた
・裁判官が常識外れ
・このサイトには書かれていない事実がある
こんなもんでしょうか。
弁護士や検事の実力で、なんの過失も無い医師の方が有罪になったりしてたら、本当良くないですよね。
一体どんな議論をして有罪になったのか気になります。
確かにどれもありうるとは思いますね。
話を聞く限り、なんか弁護士はいまいちのような気もしますけどね。
あくまで推測ですが。
裁判官に当直業務があるとしましょう。
法律も変わり裁判のスピード化が言われ、「緊急裁判」というののが行われます。容疑者が逮捕されると緊急搬入され裁判が行われます。当直裁判官は夜中でもたたき起こされ、裁判に臨みます。与えられた時間は少なく、状況によってはその日のうちに判決を下さなければなりません。しかも、控訴審で判決が覆った際は被告側や原告側からミスを指摘さ れて訴訟を起こされます。実名報道されマスゴミには追いかけられ時には多額の損害賠償を請求されたりします。
しかも、当直業務の翌日にはあたりまえのように通常裁判を行ないます。当然、ミスは許されません。緊急裁判が残っている場合は、同時進行で行わねばなりません。激務に耐え かねて逃散し、弁護士事務所を開く裁判官が後を絶たないとか・・・・
なんてことになれば、少しはわかってくれるのでしょうね。
これって、医療界の事情そのものじゃん!!
裁判結果によっては検察管も被告側訴訟されるのなら、不当な医療訴訟も減りそうですし、検察官も裁判官みたいに当直して32時間勤務するんだったら医師の過重労働をわかっ てくれるかも・?・・・
今度、裁判官にもそれやってもらいたいですねー、是非。
自分の科のピットフォールに気をつけるのにさえ大変です。ベテランの小児科医師がベストと思ったやった治療でさえも、症状が軽快しないなら訴えられる時代です。たまにしかしない全科当直でのピットフォールにも完璧にケアするのにはいったいどれだけの努力が必要なのでしょうね?
油断していたら医師免許は剥奪ですね。とりあえずは胸痛、背部痛にはいっそうの注意を払います。
はじめまして。
そうなんですよね。
この先生も、循環器内科医なのに、心筋梗塞で訴えられているわけで。
一体、どうしたら良いのか、わからなくなってしまいましたね。
油断しているつもりはないんですけど、でも一瞬たりとも気を抜けなくなってしまいましたね。
裁判のことはよくわかりませんが、鎮火しなかったからと消防署が敗訴するようであれば誰も体を張って消防士になろうと思わなくなるはず。それと同様に、(このブログのいい分が正しいのであれば)きちんとした診療を行なっていても、満足した治療結果が得られないと敗訴するようであれば、誰も体を張って病院で働かなくなるのではないかと心配です。
おっしゃる通り、心筋梗塞は生活習慣病です。
食事も運動も不規則で、タバコを止めろ、って言っても止めないで。
でも、死んだら医者の責任。
って時代になりつつありますね。
おそろしい事です。
消防士は、そういう事では訴えられない、って法律で決まっているんですよね。
検察や警察が誤認逮捕とか起訴しても、訴えられないですし。
医者だけが、なぜか違うんですよ。
まあ、そうなんでしょうかねー。
最近の医療訴訟の話とか聞いてると。
なんか、がっかりしちゃいますね。
ところで、酒(体質的に飲めない)もタバコ(喫煙歴なし)も一切やらず、勤務の関係上、ウイークデーの朝は5:30に起き、遅くともPM10:30に就寝という馬鹿真面目な習慣を40年以上続けた知人が心筋梗塞でぽっくり逝きました。
体型もどちらかといえば痩せ型で、高血圧も無かった様子。よってメタボりックシンドロームは否定的です。
ぽっくり(医療の介入無く死亡)なので、解剖も行われたと聞きましたが、原因までは分らずじまいだったようです。享年はたしかこちらの原告と同い年でした。
こういった例、無責任な他人目から見れば最高の死にも見えますが、馬鹿真面目な生活習慣ゆえに、医療を受けるのが遅れたとも考えられるので、少数例とはいえ先生方からの「活習慣病」という統計上のコメントの断言もどうなのかな?と、こちらも少し疑問に感じてしまいました。
やはり、ちょっとおかしいと思いますよね、この判決。
心筋梗塞に関しては、一般的には生活習慣病って言われています。
例えば、高血圧、糖尿病がある、タバコを吸っていると、そうでない健康な人よりも心筋梗塞になる確率が2倍、3倍ってなるんですよね。
逆に言うと、1/2,1/3の確率では、何も病気がない健康な人も心筋梗塞になるわけで。
なかなか難しいところなんですよ。
生活習慣病って、「断言」って言うわけではないんですけど。
そこら辺の事をわかっていたでけるとありがたいです
> やはり、ちょっとおかしいと思いますよね、この判決。
はい。このケース、何で医師側が敗訴したのか?普通に考えれば確かにおかしいです。
(しいて言えば、ムンテラを先にやったのがいけなかったのか?
それはともかく、こういう場合、医師サイドで転送先を探す前に救急車を呼んでしまい、救急隊にも病院探しに協力してもらう訳にはいかないのでしょうか?可能なら責任分散できると思いますが‥)
> そこら辺の事をわかっていたでけるとありがたいです
もちろん、先生方が仰りたいことはよく分ります。
叩きどころのない生活であった知人の比較的早期の突然死に、まさか!と驚きましたが、心筋梗塞もその30~50%は、生活習慣やメタボりックシンドロームと関係ないところで起こるものなんですね。なるほど納得できました。
ご教示ありがとうございます。
先日、長年タバコもお酒もふんだんに摂取していた身内が95才で亡くなりましたが、最後の約3年間は加齢による認知症で家族まるごと参っていました。
ですから、突然死は個人的にはとても羨ましいです。
中途半端な救命より、苦痛を取って頂けて、そのまま逝かせて頂ける。私としては絶対そちらが理想です。
救急車は、行き先がわからないと難しいですかねー。
それこそ、たらい回しって言われてしまいますから。
たしかに、ぽっくり苦しまずに行けたら良いな、って思うときありますよね。
自分なら。
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