Dr. I
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/05 >>
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< 前のページ

後期高齢者医療制度見直しか?

Dr. I / 2008.05.15 23:57 / 推薦数 : 2

うば捨て山」制度とも言われている、
後期高齢者医療制度」。

私のブログも含め、医師ブログでは昨年から、
こんな制度はけしからん。
って、さんざんブログでは書いてきましたけど。

4月になって、後期高齢者医療制度が施行されて、
やっとマスコミ政治家も動き出してきましたね。

与党ですら、あまりの評判の悪さに、
これはまずい、って思ったのか。
小手先の見直し案が提案されているようですね。

本文の前に、応援もよろしくね!

→ 人気ブログランキング



低所得者の申請あれば減免 
後期高齢者医療制度見直し案

75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、
低所得者層の保険料を減額・免除する
厚生労働省の負担軽減案が
明らかになった。

新制度に移行後、相当数の低所得者が
負担増になったと批判されているが、
法改正など制度の抜本的見直しはせず、
新制度にある仕組みを活用する。
減免を受けるには
高齢者本人が申請する。

新制度を運用する各都道府県の
広域連合は、保険料徴収の方法などを
条例で定めている。

加入者が災害に遭ったり、
病気になったりして収入が激減するなど
特別の事情がある場合は、
本人からの申請を受けて
保険料を減免する規定がある。

この規定を拡大解釈し、低所得者も
「特別の事情」に該当すると見なす。

どのような人が対象となるか、
国が大枠の基準を示す。

対象者は、近く調べる各市区町村ごとの
保険料負担の変化をもとに決めるが、
基礎年金(年額79万円)以下の収入で、
生活保護とほぼ同じかそれに満たない
所得水準の人たちが含まれる可能性がある。

軽減に伴って保険料収入が減り、
広域連合の財政難につながることから、
国が交付金を支給することなども検討する。

収入が基礎年金以下の低所得者
二百数十万人の保険料(月額平均千円)を
全額免除すれば、300億円程度の
財源が必要となる見通し。

本人の申請を待たずに、広域連合が
職権で減免する方法もあるが、
法改正が必要で、保険料徴収の
システム改修に時間がかかる。

広域連合の条例の規定を用いれば、
現場の運用で対応が可能だ。

厚労省は「条例減免によらざるを
得ないのではないか」としている。

ただし、高齢者本人の申請が必要なため、
対象者への周知が不可欠。

病気などで申請が困難な人も多いとみられ、
運用上の課題もある。

政府は制度の廃止や抜本見直しは
否定する一方で、「必要があれば運用を改善する」
としており、厚労省案が見直し案の
たたき台となる見通し。

ただ、6月中に見直し案をまとめる
与党内では年金天引きの見直しや、
保険料ゼロだったサラリーマンの
被扶養者らの負担軽減拡大など、
厚労省案より踏み込んだ対応を求める
声が強く、調整が難航する可能性がある。


『2008年05月15日:朝日新聞』



野党は当然の事ながら、ここぞとばかりに、
反対」の大合唱ですね。



野党4党、新医療制度廃止へ調整に着手

民主、共産、社民、国民新の野党4党は
5月13日、後期高齢者医療制度
廃止法案を参院に提出する協議を始めた。

年金からの保険料天引きや制度設計の
問題点を浮き彫りにする一方、
同制度に代わる対案づくりを
模索する動きも出ている。

この日の協議では、民主党が
廃止法案骨子案を示し、3党に意見を求めた。

年金天引きや被扶養者の新規保険料負担などを
順次廃止して来年3月末に
制度を全廃する内容で、施行は来年4月1日。

各党からは廃止までの経過措置として
低所得者の保険料免除を盛り込む意見が出た。

4党が力を入れるのは、制度の矛盾点の洗い出しだ。
7年後に保険料が平均で約4割増える
といった試算をもとに「自ら首がしまるようにして
医療費を抑制する制度」と批判。

終末期医療医療機関が患者や
家族の意向を文書などに残せば、
医療機関に診療報酬が支払われる
新たな仕組みも問題視していく方針だ。

民主党が代替案を示さないため、
与党は「無責任だ」と批判している。

民主党内では、地域単位の健康保険に
一元化して全年齢で支え合う対案も
検討されているが、野党共闘を優先して
今月末にも廃止法案を提出する方針だ。


『2008年05月13日:朝日新聞』


以前から書いている通り、
私は「後期高齢者医療制度」には大反対です。

理由としては、大きく2つ。

1)、年齢によって、人の命を差別する制度だから。

もう1つの理由は、

2)、リスクの高い人達ばかりを集めているので、
  制度そのものがもたないと思うから。


この2つですわ。

それぞれについて解説すると。

1)、年齢によって、人の命を差別する制度だから。

これに関しては、以前から言っている事ですけど。

75歳っていっても、いろいろいるんですよ。
75歳でも、ばりばり現役で働いていて。
病気らしい病気もなくって、
あと20年位は生きられそうな人もいますし。

75歳寝たきりで、病気もたくさんあって。
何回も肺炎とか心不全になって、
入退院を繰り返しているって人もいます。

でも、この制度では、同じ75歳以上だから、
っていって、医療費に制限をかける制度なんですよ。
後期高齢者医療制度」っていう制度は。

今のところ、基本的には「診療所の外来患者」と、
長期入院の患者にしか関係ない制度なんだけど。
こんなの時間の問題で、枠が広がっていって、
結局は、高齢者医療に制限をかけるんですから。

だって、「後期高齢者医療制度」の目的って、
高齢者医療費を削減する」事ですからね。

社会的入院」が医療費増大の原因だ。
って言っている人もいますけど。
今の「後期高齢者医療制度」だと、
社会的入院は関係ないから。

とりあえず、「後期高齢者医療制度」を導入して。
75歳以上の高齢者に関しては、「診療所での外来通院」
から包括医療を導入して。
そいで、病院、入院にまで全部広げて、
包括医療にしてしまう。
っていう魂胆ですよ、政府は。

包括医療そのものには、良い面と悪い面があるんですけど。
75歳以上だったら、一ヶ月にいくらまでしか、
医療はかけられません。
って事になったら、1人当たりの医療費の上限が決まるから。
政府としては、国が出す医療費が制限されるんですわ。

今、大学病院とか、大きな急性期病院で行っている
DPC(包括医療制度)、っていうのは。
病気の内容によって、医療費を決める
ってやり方ですから。

重い病気の人には高額の医療が払われる、
っていう仕組みなので。
これ、そのものが全部悪い、とは言いません。

ただ、「後期高齢者医療制度」で包括医療を導入すると、
病気が重かろうがなんだろうが、
医療は一ヶ月にいくらまで。
っていう、制限をつける事になるでしょう。
そうじゃないと、費削減にならないからね。

それって、要は「命を金で買う」というか、
金で制限する、っていう制度なので。
私は反対です。


2)、リスクの高い人達ばかりを集めているので、
  制度そのものがもたないと思うから。


後期高齢者医療制度」っていうのは、
75歳以上の全ての高齢者を対象に
創設される新たな保険制度
です。
今のところ、全国で1300万人が対象です。


そもそも、「医療保険」の意義っていうのは。
健康な人でも、一度病気になっちゃったら、
医療としてたくさんのお金が必要になるかもしれない。

そうなったら、たくさん貯金のある人は良いけど、
そうでない人は困っちゃいます。

だから、健康なうちに、
たくさん稼いでいる人はたくさん。
そうでない人も、それなりにお金をみんなで貯めて。
病気になった人に分けてあげる、っていう制度
です。

自分が病気になったときは、自分も含めて
みんなで積み立てたお金を使わせて貰うから。
そのかわり、別な人が病気になったら、
自分が積み立てたお金を使って貰う。

そういう制度なんですよ。

病気になりやすい人ばっかりだったら、
使うお金がたくさんになりすぎて、
制度が成り立たないんですよ。

健康な人も病気がちな人も、
全部合わせて制度を作るから、
リスクが分散されるわけですよ。


75歳以上っていうのは、高齢者ですから。
体も弱って、病気にもなりやすいし。
一回病気になったら、治りにくいんです。


これに関しては、
『主治医が見つかる診療所3』
の記事で、共産党の小池議員も言っていましたね。


>75歳以上は病気になりやすいし、治りにくい。
しかも、年金収入しかないのだから、
破綻するのは目に見えている。



後期高齢者医療制度」の一番大きな問題点は、
この2点だと思いますよ、私は。


でも、政治家っていうのは、選挙の事しか考えてないのか。
制度の事を知らないだけなのか。
なんか、ちょっと論点がずれているような気がします。
マスコミの報道の仕方もですけどね。

今、テレビとかでよくやっているのは、
年金から保険料天引き」の問題ですよね。

社会保険庁は、年金もうやむやにして、
ちゃんと正しく払えないのに。
天引きするなんて、何事だ。

みたいな論調もありますけど。

でも、「天引き」ってそんなに悪い事ですか?

年金の支払いがややこしくなった一番の原因は、
紙からオンライン化する時に、いい加減なやり方をして。
それをわかっていたのに、今まで何十年も放置していた。
っていう事だとは思いますが。

それ以外にも、年金を払って貰うって言って、
職員が年金を貰ったはずなんだけど。
そのままちょろまかした、とか。
そういう事もありますよね。

でも、これって「年金天引き」だったら、
起きていない事もあるんですよ。

銀行で給料から「天引き」されていたら、
仮に社会保険庁の方のシステムがおかしかったとしても、
銀行の通帳とか、銀行には証拠が残りますから。
場合によっては、助かっていたかもしれませんし。

職員がちょろまかした、って事はおこりませんからね。

それに、職員がわざわざお金を貰いに行く。
っていう事は、その為だけに、無駄な職員
雇わなければいけないんですよ。
きっと、この職員は厚労省の天下り先かなんかでしょうね。

そんな無駄な人件費をかけて、天下り先の職員とか雇って、
国民の金をちょろまかされるリスクを負うくらいなら、
確実に「天引き」にすれば良いんじゃないですか。

正直、なんでこんなに騒ぐのかわかりません。


ただ、「保険料を滞納すると保険証が取り上げられる」
という事には問題があると思います。

これも、金で命の差別をする、って事ですから。
これには反対ですけどね、私。

でも、これは直接「天引き」とは関係ありませんから。

私は「後期高齢者医療制度」そのものには大反対ですが、
天引き」だけに関しては、別に反対はしません。


それと、高齢者の負担が増える、って事に関してですけど。
個人的には、高齢者でもお金をたくさん貰ってている人からは、
もっとたくさん払って貰っても良いと思っています。

例えば、高級官僚になった後に、
天下り先を何カ所も渡り歩いて。
退職金を何千万円ももらっていて。
しかも、75歳以上になっても、ろくに仕事しないのに、
年収1000万円以上の人、とか。

そういう人は、75歳以上でも、経済的には豊かですからね。
高齢者から、たくさん金取るのはけしからん。」
っていう論調はちょっと違うかな、って思います。


それと、日本では1973年老人医療費が無料になって。
その後から、老人は病院にかかりすぎなんですよ。
その習慣が今でも続いているから。
日本では、外来受診回数が、他の国の数倍も多いです。

さすがに、それじゃあ国がやってられなくなって、
ちょっとずつ老人の医療が増えてきていますけど。

元々が「無料」で、その後もかなり安かったから。
高齢者医療が上がっているからって、けしからん。
とは言えないと思いますよ。

少しずつ上がってはいるけど、まだ安いかもしれないんだから。

公共事業費だって、無駄な道路とかダムとか、
まだいっぱい造っていますけど。
一応、公共事業費は、年々削減されているんですよ。

でも、まだ多いと思いませんか?
年々減っているんだから、これ以上減らしたらけしからん。
って思いますか?
そう言っているのは、利権がからんでる人だけでしょ。

だから、高齢者が払う医療費(保険料)は年々上がっている、
とはいえ、それが高すぎるって事とは、また別の問題です。


高齢者が直接お金を出さなかったとしても、
高齢者病気になって、病院にかかれば、
当然の事ながら医療はかかります。

高齢はあんまりお金を払わないで、その分は国が払え。
って言っても良いですけど。
国の金」、って言い方を変えれば、
我々の税金」ですからね。

税金を払っているのは、若くて働いている人ですから。
高齢者医療費を、若者が出す、って事です。

福田首相が、この間の補選で、
高齢者がもっとお金を出しても良いでしょ」
って言って、大ひんしゅくを買って、
結局自民党は負けましたけど。

それはけしからん、っていう事であれば、
高齢者医療費は、若い人が負担する
って事で良いんですね。

全部を高齢者が負担するって事は不可能だし。
昔のように無料にする、って訳にもいかないでしょうから。

高齢者医療費を誰がどの位負担するのか
っていう国民的な議論が必要だと思います。


ただ感情的に、「天引きはけしからん」とか、
今よりも高齢者の負担が増えるのはけしからん
とか言っているだけでは駄目だと思いますよ。


個人的には、「後期高齢者医療制度」は、
見直しではなく、廃止すべきだと思います。
代替案っていうか、
別の制度は必要ないと思いますけどねー。

ただ、今のままでは、国保が持たないので。
後期高齢者医療制度」のような、
高齢者だけを集めた制度を作るんではなくって。
今の制度で、もう少し高齢者
特に、たくさん稼いでいる高齢者からはたくさん取る
という制度にすれば、十分なんじゃないかなー。
って思っています。

それと、これも何回も言っていますけど、
アクセスを制限するなら、
年齢ではなくって、軽症患者を制限する

っていう方向に行くべきだと思っています。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

固定リンク | コメント (4) | トラックバック (1)

医療訴訟の問題を注視しる

Dr. I / 2008.05.10 00:24 / 推薦数 : 7

『医療崩壊と医師ブログ』
の記事で紹介した、
「農家こうめのワイン」
を書かれているkoumeさんが。
また、新しいコンテンツを作ってくれましたよ!

もう既に、第4弾。
→ 『☆医療問題を注視しる!その4 加古川事件とJBM☆』

いやー、医者でもないのに、
これだけ医療の事を理解をしてくれて。
しかも、すごくわかりやーすく、
医療訴訟に関して説明してくれていますよ。

ホント、こういう人がいてくれて、助かります。
私だけでなく、医師でもファンは多いと思いますよ。
もちろん、一般の方でも多いと思います。

 

応援も、よろしくねー。

→ 人気ブログランキング


今回は、「加古川心筋梗塞事件」に代表される、
医療訴訟についてです。

加古川心筋梗塞事件」っていうのは、
このブログでも何回も書いていますけど。

心筋梗塞患者が、病院に来て。
心筋梗塞って診断して、内科的な治療をして。
すぐに転送先の病院を探そうと思って、
いろんな病院を探していたら、70分かかっちゃって。
結局、心筋梗塞患者が亡くなったんだけど。

すぐに、もっと高度な治療(心臓カテーテル治療;PCI)
が出来る病院に搬送したら助かったはずだから。
3900万円払え、っていう事件です。

すぐに転送先の病院を見つけようと思って、
いろんな病院に電話をかけまくって。
でも、なかなか転送先の病院が決まらなくって。
結局、70分かかった。

心筋梗塞という診断も、すぐに行って。
その間にできる内科的な治療も、
ほとんど完璧
に行った。

相手の病院が、満床とか処置中とかで、
搬送先の病院が決まるのに時間がかかっただけなのに。

すぐに搬送できなかったのは、病院の責任だ。
って事で、3900万円払え。
っていう事件です。

テレパシーか魔法を使える医者以外は、
民事訴訟で負けちゃう
っていう事かな。
この判決。

これは、非常に有名なトンデモ判決の一例です。


私、循環器内科医なんで、心筋梗塞は専門なので。
加古川心筋梗塞事件」に関しては、
このブログでも相当詳しく書いています。
おそらく、日本で一、二を争う位だと思っています。

私が、自分のブログを売り込んだ、
っていうのもあるんですけど(笑)
紹介して頂きましたよ。

加古川心筋梗塞事件に関しての細かい話は、

「加古川、心筋梗塞事件」
「加古川、心筋梗塞事件2」
「加古川、心筋梗塞事件。衝撃の事実」
「加古川心筋梗塞事件、判決文」
「加古川心筋梗塞事件、判決文2」
「加古川心筋梗塞事件、判決文3」
「加古川心筋梗塞事件、判決文4」

に書いてあるので、そちらも参考にしてね!



☆医療問題を注視しる!その4 
加古川事件とJBM☆


「ま、だからこそトンデモ訴訟
とか言われるわけだがな。
もともと理不尽でない、合理的な判断で
訴訟が行われているなら
JBMって言葉が出来るわけも無いしな。」

「えっ、JBMって何?」

「トンデモ訴訟は医療者の
モチベーションを大いに損ないます。
けど、医療訴訟にはそれとは別にもう一つ、
大きな問題点があるんです。」
「それがJBMの確立だ。
こちらは医学そのものに影響を与えている。」

「JBMとはJudgement Based Medicineの略で、
判例に基づいた医療のことです。
EBM・・・Evidence Based Medicine
(医学的根拠に基づいた医療)のもじりで、
2ちゃんねるで作られた造語だそうです。」

「判例に基づいた医療?何それ?」
「判例主義って知ってるか?」
「訴訟で、過去の判例や裁判例を
根拠にして判断するって事でしょ?」

「過去の判例と違う判決を出すと、
過去に判決を受け取った原告・被告に対して
不公平が出る可能性がありますからね。」

「俺は以前あれだけ賠償したのに、
同じような事をしたこいつは何故これだけなんだ?
ってことになるのね。」

「このあたり、英米法がどうとか大陸法が
どうとかの議論もあるようだが、
作者はよく分からないし関係もないから避けておくぞ。
で、JBMの話に戻るんだが、
ある医療訴訟医師側敗訴確定となって、
その判決事由に
「○○の症例に△△の治療法を選んだから」
なんて出たら、
今後○○の治療に△△は出来なくなる。」

「あそうか、もし今後同じことをやって
不幸な結果になったら、裁判されたら
ほとんど負けちゃうのね。」

「もちろん判例が覆ることも無くは無いんだが、
よほどのことをしない限り覆らないからな。
それだったら最初から裁判の火種になりそうな
治療法は避けるんだ。」

「なので、判例に基づいた医療
なんていわれるわけですね。」

「・・・てことは事実上、裁判官が
治療の方法を決めちゃうって事?」

「そうだ。医療の素人の裁判官が
法的な拘束力のある
ケーススタディ集を作るようなもんだ。
その中でも医学の常識から外れたものや
守ることが現実的に非常に困難なもの、
守ろうとすると患者に不利益を
及ぼすようなものが特にJBMと呼ばれている。」

「つまりこの加古川訴訟の場合、
PCIの出来ない病院で心筋梗塞疑いの患者
受けてはならない・・・
突き詰めると最高度の設備が整っていない
施設で患者を受けてはならない、
というJBMが出来たわけです。」

「ひぇ~。じゃあ例えば加古川訴訟以外の
JBMにはどういうのがあるの?」

「一般的なのは・・・そうですね。
以前、医師や病院を批判する
医療バラエティ番組がよくありましたが、
「病院は金儲けのために、無駄な検査をいっぱいやる」
とか
「どんな手術であっても書類をたくさん渡されて
契約書みたいにサインさせられ、不快だ」
なんての、見たことありますか?」

「ああ、そういうのあったわね。」
「ほかの超ド級といわれるJBMと比べれば
軽いかもしれないし、必ずしも先に挙げた
定義どおりとはいえませんが、
あれが典型的なJBMじゃないでしょうか。」

「えっ、そうなの?」
「過去にこんなやりとりがあったんだよ。」


遺族 「ハラボジ(じいちゃん)が死んだのは、医者のせいニダ!」
医師 「通常必要な検査はしましたよ?
   けど1000人に一人の稀な病気だったんです。」
裁判官 「ふむ。しかしそれ向けの検査をすれば
   診断は可能だったんだろう。
   ミスだな。原告の請求を認める。
   被告は原告にアタマ下げろ。」
医師 「えっ!?」


「・・・なんで私がこんな役になってるニダ・・・」
「や、こういう役が似合うのはやはりリューシーかなと。
・・・というわけで一見無駄な検査も
行われるようになった。
批判もあるが、実は患者側の要望なんだ。」

「いや、これってつまり訴訟対策でしょ?
病院の都合を患者に押し付けてるんじゃないの?」
「実際、検査の網を細かくすれば
稀な疾患も見つけられる可能性が
高くなるって効果もあるんだがな。」
「けど、なんだか納得しにくいわ~。」

「じゃあ、どうしたら納得してくれるんだ?
と思うんだが・・・。
現在は、無駄な検査をするリスクを背負って、
そのぶん精度の高い医療を提供しているわけだ。
無駄な検査はするな!
と言うのはいいが、だったら稀な疾患は
見逃してもしょうがないと言う
コンセンサスが無いとな。」

「検査などせず、しかしごく稀な疾患も見つける、
ってそんなの神様でもなければ
両立できませんね。
もっとも疾患を100%確定できる検査
と言うのも存在しませんし、
そういう意味でも神業レベルですけど。」

「実際、無駄と言うなら
病院側にとっても無駄だ。
特に検査で儲かってるわけでもないし、
激務に拍車をかけてるだけだからな。
それでもやはり、少しでも多くの
患者を助けられるなら、と言う思いで
こちらを選択してるんだろう。」

「手術前に患者の同意を得るために
ムンテラ(治療法やリスクについてなどの説明)を
長々とやってサインをもらう、
というのも同じですね。」


遺族 「ハルモニ(ばあちゃん)が死んだのは、
   医者の説明が足りなかったせいニダ!」
医師 「ちゃんと治療前に説明はしました!」
裁判官 「ふむ、当時のカルテには
   ちゃんと説明したなんて記録はないな。
   原告の請求を認める。
   被告は原告にカネ払え。」
医師 「そんなっ!?」


~その後~
遺族 「アボジ(父ちゃん)が死んだのは、
   医者の説明が足りなかったせいニダ!」
医師 「ちゃんと治療前に説明はしたし、
   カルテにも記載しました!」
裁判官 「ふむ、確かにカルテには記載があるようだが・・・
   患者が理解できるまで説明すべきだったろう。
   説明不足、請求認容。
   とっとと賠償しろ。」
医師 「ええっ!?」


~その後~
遺族 「オモニ(母ちゃん)が死んだのは、医者のせいニダ!」
医師 「ちゃんと治療前に説明して、
   カルテに記載して、しかもわかりやすく
   丁寧に納得いくまで説明したんです!」
遺族 「あの場では納得したような気がしましたが、
   やっぱり説明不足だったんですよ。」
裁判官 「そうだな。
   患者が納得したと言う証拠が無い。
   原告の言い分を認めるから
   被告はカネを出せ。」
医師 「くぁwせdrftgyふじこlp」


「また私がクレーマー役に・・・」
「ほんとにこんな事あったの?」
「日常茶飯事だ。
そしてこんな事例でも慰謝料は
数千万円になることもある。
病院側が神経質になるのも理解できるだろう。」

「しかも・・・一部ですが、医療ミスは
医師の責任であるとして、慰謝料は
医師個人に払わせ、病院としては関知しない、
と言った病院幹部までいたそうです。」
「そ、それはやる気なくなるわね。」
「もちろん、そんな病院から医師
蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。」
「おい、まだ裁判ネタは続きがあるぞ。」


遺族 「ナムドンセン(弟)が死んだのは、医者のせいニダ!」
医師 「ちゃんと治療前に説明して、
   カルテに記載して、しかもわかりやすく丁寧に
   納得いくまで説明したのに、
   治療を患者さんが断ったんです!」
裁判官 「断られても、それでも治療を
   受けてもらえるように治療の重要性を
   もっともっと説明すべきだったんだ。
   やはり請求認容だな。」
医師 「・・・。」


~その後~
遺族 「ヨドンセン(妹)が死んだのは、医者のせいニダ!」
医師 「ちゃんと治療前に説明して、
   カルテに記載して、しかもわかりやすく
   丁寧に納得いくまで、薬の副作用も
   何もかも全部伝えたのに
   患者さんが勝手に病院に来なくなって、
   薬を中止したおかげで
   副作用が出て亡くなったんです!」
裁判官 「なんで、患者が来なくなった時点で
   連絡を取らなかったんだ?
   努力不足だ。謝罪と賠償をしる。」
医師 「・・・もう殺す・・・」



 「なんでこんな訴訟が起きちゃうのかしらね?」
 「ま、クレーマーに関しては元々の人柄が
影響してる部分も大いにあると思うが・・・
個人的な考えだが、
医師には患者を治す義務がある、
と広く誤解されている点が
大きく悪影響があると思う。
こういう思い込みがあるから、
治らなかったときは訴訟に走っちゃうんだろうな。」

 「・・・ちょっと待って。
医師には患者を治す義務があると誤解されてる、
ってそういう義務はほんとにあるんじゃなかった?」
 「ん?もしかして応召義務のことか?
だとしたら誤解だぞ。」

医師法第19条 
診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には
正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

 「この19条のことを応召義務と言うが、
ここにある通り

治療する義務はあるが
治す義務は無い。」

 「ってちょっと待ってよ!
治療するって事は治すんじゃないの?」
 「治療しても治るとは限らないだろう。
どんな病気でも治せるとしたら神様だけだ。
末期ガンの患者を治せなければ義務違反だ、
なんて言われたら全ての医師が逃げ出すぞ。」
 「もちろん、いい加減な治療をしてもいい
という意味ではありませんよ。」
 「そ、それはそうよね。」

 「患者医師に対して疾患の治療を
任せるわけですが、このときは
準委任契約と言う形になります。
これは、最善の治療を行うよう努力する
義務はありますが、
結果についてまでは責任を求められません。」




後半の、遺族、医師、裁判官のやりとり
これが、非常にわかりやすかったですね。
細かい例を挙げたら、きりがないのですが。
全部これ、実例あるんですよ。
非常に良く勉強してると思いました。

それと、医師応召義務に関しても良いですね。

医師法19条、応召義務っていうのは、

医師には患者を治療する義務はあるが、
治す義務は無い。

って事っすよ。

そりゃあ、そうですよ。

病気が治った方が、患者さんだけでなく、
医者も嬉しいんですけど。
最高の治療をしたって、
治らない病気だってある
んですから。

医師患者の契約も、
準委任契約」っていうものなんですが。
なぜか、医師にだけは、
それ以上の義務を果たさないといけない
っていう様な判決が多いような気がします。


こういう、いわゆる「トンデモ判決」が続くと、
医師の側は萎縮医療を行わざるを得ないし。
加古川心筋梗塞事件の例を見たら、
心筋梗塞が疑われる患者は、
最初から高度の治療(心臓カテーテル治療:PCI)
出来る病院に行ってもらう。
って事しかできませんからね。

医療崩壊の原因として、医療訴訟が占める割合、
っていうのも、かなり大きいと思いますので。
これも、なんとかして欲しいなー、って思います。

訴訟大国のアメリカでさえ、
加古川心筋梗塞事件のような例で、
医師、病院側が負ける、って事はないんですけどねー。

日本も、医療訴訟の問題をなんとかしないと、
更に医療崩壊が進む事になると思いますよ。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

110番も、モラル低下

Dr. I / 2008.05.07 00:04 / 推薦数 : 5

110番でも、モラルの低下は著しいようですねー。

このブログでは、「モンスターペイシェント」の話や、
時間外に来る軽症患者の話など。
結構、患者の側にも厳しい事を言っています。

参照:「モンスターペイシェント」
「時間外重症患者割引制度」


まあ、大学病院とか日本医師会とかに対しても、
厳しい事言ってるから。
どっちに甘いとか、厳しいっていうつもりはないのですが。

救急車を呼ぶ119番だけでなく、
警察を呼ぶ110番でも、
モラルの低下が著しいようですね。

応援も、よろしくね!

→ 人気ブログランキング



「雨なので家まで送って」
非常識110番急増、警察業務に支障も


緊急性のない110番や事件事故と関係のない相談に、
各地の警察が苦慮している実態が
読売新聞の調査で明らかになった。

少なくとも37都道府県の警察本部が
業務と無関係な通報や苦情の実例を把握しており、
中には「雨が降ってきたので家に送って欲しい」
という要求まであった。

警察庁によると、110番の受理件数が減少傾向にある中、
こうした通報は増え続け、昨年は95万件に増加。
専用回線がふさがってしまうなど
業務に支障も出始めている。

全国の警察本部に取材したところ、
事例に関する回答がなかった10県を除き、
神奈川、石川、広島など37都道府県の警察本部が、
事件事故と無関係の通報・相談の実態を確認していた。

具体的には「○○さんの自宅の電話番号を教えて」
(山口県警)と110番を電話番号案内代わりに
使うケースや、「新しく買った携帯電話の電源が入らない」
(九州地方の県警)といった相談のほか、
「公衆トイレにいるが、紙が切れて困っている。
持ってきて」(埼玉県警)など私的な要求が目立っている。

警察庁によると、いたずら電話などを除いた
110番通報は2004年の953万件をピークに減少し、
07年は898万件にとどまったが、警察業務と無関係な
相談や要求は増加傾向にあり、
04年の88万件から07年は95万件に膨らんだ。

埼玉県桶川市の女子大生殺害事件(1999年)で
ストーカー相談を警察が放置した問題を受け、
警察は2000年以降、市民の訴えに
丁寧に耳を傾けている。

ある警察本部の担当者は「身勝手な要求に思えても
事件と関係ないとは言い切れないため、
時間をかけて対応している」と語る。

しかしモラルに欠けた通報が重なった結果、
警察官の現場到着が遅れるなど影響も出ており、
警視庁では週に1度は30秒以上、
110番回線がふさがる事態が起きている。

警察庁は「110番にかけるべき通報かどうか
良識を持って判断して」と訴えている。


「2008年5月6日:読売新聞」


軽症の患者救急車を呼ぶ回数が増えて、
本当の重症患者を搬送できなくって困っているとか。
救急車が現場に到着するのが遅れて困っている。
っていう話は、このブログだけでなく、
いろんな新聞やニュースでも流れていますけど。

モラルの低下救急車119番だけでなく、
警察110番にも現れているようですね。

必要もないのに119番救急車を呼んだら、
困るのは本当に助けなければならない重症の患者

自分の都合で110番を呼んだら、
回線がつながらないとか、
本当に警察が必要な人の所に、警察
行くまでの時間が遅くなってしまいます。

こんな事は、子供でもわかることなんですが。
残念ながら、それができない人が多いようですね。


はっきり言って、110番119番も、
悪意があって呼ぶとか、必要がなくてコールされる、
っていう事が前提になっていません。

だから、電話がかかってきたら、
「何かあったら困る」って事で、
おそらく必要ないだろう、って思っても、
善意でその人のところまで行かなければなりません。

しかも、「無料」で。

110番119番も、「無料」と「善意」に甘えて、
都合の良いように使う人が現れたら。
結局、損をするのは、本当に必要な人です。

性善説で、「無料」で、全員のところに行く。
って事になっているのかもしれませんが。

残念ながら、もうそういう時代じゃないんですよ。

110番自体を有料化するってわけにはいかないから。
必要なら、有料のサービスを紹介する。
もしくは、実際に行って、警察を呼ぶ必要がなかった
と判断される場合は、有料化
する。

119番救急車を呼んだ場合にも、
救急車有料化する。
本当に必要な、入院が必要な患者や、
高額な医療費が必要な患者だけ免除する


という法整備が必要だと思いますよ。


こっちは、yahooにも載っていた記事ですけど。


若い男から110番、出てみれば「ゴキブリが気持ち悪い」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080505-00000039-yom-soci


害虫駆除の依頼、恋愛相談……。
警察に舞い込む様々な電話に、
首をかしげたくなるような内容が目立つようになった。

地域住民と向き合う警察にとって、
モラルに欠ける要求でも無視するのは困難。
非常識な通報に追われることで、警察力の低下を
招くのではないかと危惧(きぐ)する声も出ている。

「ゴキブリが家の中に出てきて、気持ちが悪い」

昨年夏、大阪府内の警察署に、
若い男性から電話がかかってきた。
対応した署員は「自分で駆除できるはず」と考え、
この依頼を1度は断った。

しばらくして再び同じ男性から
「本当に困っている。来てくれ」。
最寄りの交番にいた50歳代の男性警部補が
男性宅を訪ねると、おびえた目つきで
ゴキブリを見つめる若いカップルが待っていた。
警部補はゴキブリを駆除し、死骸(しがい)を
ビニール袋に入れて持ち帰った。

この警察署の副署長は
「市民が助けを求めてきた以上、
むげに断ることはできないと判断したが、
ゴキブリの処理は警察の本来の業務ではない」と語る。

今年2月中旬、千葉県内の警察署に女性から
「恋人に振られてしまった」と電話があった。
女性は約20分間、相手の人柄や交際の経緯を
話し続け、翌日から連日のように
電話をしてくるようになった。
夜の当直体制で人手が少ない時間帯に
かかってくることも多かった。

山口県警では、110番を使って電話番号を尋ねる人に、
県庁など主な公共機関の番号は教える場合もあるが、
個人宅や民間企業の番号は答えていない。

110番は緊急の事件・事故に備えています。
不要・不急の電話はご遠慮下さい」と、
電話番号案内「104番」の利用を促すと、
「104番を使うとお金がかかるだろ」
と不満をぶつけてくる人もいたという。

全国の警察本部は1990年から110番とは別の
電話番号「#9110」で「不急の相談はこちらへ」
と呼びかけているが、#9110も業務と関係ない
個人的な要求や苦情は想定していない。

ある警察の広報担当者は
「緊急性がなくても警察が役立てる内容であれば
相談に乗りたいが、個人的な要求も増えており、
対応に苦慮することも多い」
とため息をついている。


「2008年5月6日:読売新聞)


はっきり言って、「善意」でも、ゴキブリを駆除するとか。
電話で恋愛の相談にのる、とか。
そういう事をするから、図に乗るやつがいるんですよ。

せいぜい、有料のゴキブリ駆除業者を紹介するとか、
占い師か恋愛相談サービスか。
よくわかんないけど、そいういう所を紹介する。
ってとこまでにするべきだと思いますよ。
正直。

本当は、そこまでしてあげる義理もないと思うけど。

警察は、警察の仕事に専念できる状況を作る。
でも、今の現状では、それは難しい。
っていうなら、そういう法律を作るなり、
規則なり規約を作る、って事にしないと。

結局は、損をするのは
本当に警察が必要な人
になるんですよ。


同じ様な事が、救急車や病院でも言えると思います。

救急車も、基本的には有料化
もちろん、必要のない人のところには
行かなくても良いって事にする。
そして、重症の患者だけ免除する

医者の場合も、応召義務があるからって。
患者という名の、ただクレームをつけるだけの人が、
病院に来ても、医師は診察しなければなりませんから。

そういうのは、診なくても良い。
という事にすべきだと思います。


残念ですけれど。
もう、「性善説」を基にしていちゃ
駄目な時代なんですよ。

悲しい事ですけどね。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

胎盤早期剥離で母子死亡

Dr. I / 2008.05.04 14:54 / 推薦数 : 9

静岡の病院で、胎盤早期剥離で母子ともに死亡した。
という事で、新聞にも載りましたが。
これも、かなりの医師ブログで取り上げられているようですね。
ちょっと、出遅れてしまいました。

産科領域の話なので、これに関しては、
僻地の産科医先生
「産科医療のこれから」
が一番詳しいようですかね、今のところ。
どんどん新しい情報もあがってきているようなので。
チェックしてみてね!

産科の専門的な話は、産科の先生のブログにお任せして。
私の方は、専門的な話以外の問題点について。
ちょっと書いてきますかね。

まずは、読売新聞の記事から。

その前に、応援もよろしくね!

→ 人気ブログランキング



病院 「急変予測できず」
妊婦・胎児死亡 遺族は提訴検討

静岡厚生病院(静岡市葵区北番町、265床)は2日、
病院で4月27日に手術を受けた
静岡市駿河区の妊婦(24)と10か月の胎児が
死亡する医療事故があったと発表した。

玉内登志雄院長は
「典型症状ではなく、急激な悪化を予測できなかった」
と述べ、想定外の事態だったことを強調したが、
遺族は病院の対応に不信感を募らせている。

病院によると、妊婦は初めての妊娠で、
昨年9月から同病院に通院。
妊婦は、死亡する約14時間前の27日未明、
陣痛が出たため同病院に電話したが、
応対した看護師や助産師が「痛みは強くない」と判断、
いったん自宅待機となった。

同日早朝、再び陣痛が強くなり入院。
胎児の心音が確認できず、呼び出された産婦人科医が、
分娩前に胎盤が子宮内ではがれる
胎盤早期剥離(はくり)」と診断、帝王切開したが、
胎児は死亡していた。
手術後、妊婦も血圧が急激に低下し、
大量出血を起こして死亡した。

胎盤早期剥離妊婦の1%程度にみられ、
胎児に酸素が供給されないため、
胎児死亡率は30~50%と極めて高い。

妊婦も出血を起こすことが多いが、
死亡率は一般に10%未満で、
妊婦、胎児とも死亡するのは
「妊娠5000~1万例中に1例」
(玉内院長)とまれだという。

玉内院長は「胎盤早期剥離は予防できず、
早期発見するしかない」と言うが、
死亡2日前の診察では異常は見られなかった」
ともしている。

妊婦の父親(55)は読売新聞の取材に、
「事故当日、病院
『出血はさほどなく、(死亡の)理由はわからない』
と言っていたのに。
今の時代に、母子ともに死亡するなんて信じられない。
提訴も検討したい」と話した。


参照:『2008.5.3:読売新聞』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080502-00000023-yom-soci


常位胎盤早期剥離」って。
私も医学部の学生時代は聞いたことあるけど。
詳しい内容は、医者でも産科の先生以外は知らないから。
おおざっぱにまとめると。


1.通常出産後に剥がれる胎盤
 妊娠継続中に剥がれてしまう病気
2.胎盤が剥がれたところに胎盤後血腫が形成されDICを起す
3.胎盤が剥がれると胎児への酸素の供給が断たれ死亡する
4.時期はいつでも起こりえる
5.発生時期の予測は不可能
6.発生頻度は全妊娠の0.44~1.33%
7.母体死亡率は4~10%、児死亡率は30~50%


参照:『常位胎盤早期剥離について』
ある産婦人科医のひとりごと」より

こういう病気です。

症状の進行は比較的ユックリ進むものから
急激に進行するものまで様々である、ともされています。
静岡新聞の経過で、死亡2日前には
異常なかったなんて事、はごく普通の事です。
常位胎盤早期剥離は、予測不能で、突然起こり、
母子ともに死亡率が高い病気なんですよ。


参照:『常位胎盤早期剥離』
新小児科医のつぶやき



今回の件について、もっと詳しく書いてある新聞が、
静岡新聞なんですけど。
僻地の産科医先生がまとめてくれた経過によると。

静岡新聞の記事での事実経過は、

・4月25日(40w1d)の診察では母児ともに異常なし
・4月27日(40w3d)午前0時ごろ、
 陣痛開始と同病院に電話連絡
・対応した看護師、助産師は問題がないと判断し、
 自宅待機を伝え
妊婦は約6時間後に再度電話、来院
・同日午前8時すぎに医師が診察したところ、
 既に胎児心拍(-)
胎盤早期剥離が確認された(おそらくエコーにて)
・緊急帝王切開
・子宮内から死亡した胎児を娩出
・母体は3リットルを超える大量の出血
・輸血を含む5リットル以上の輸液で対処
・けいれんや意識レベルの低下
妊婦は同日午後1時40分ごろ死亡
  

参照:『 早剥での母児死亡 刑事介入!!』

という事だそうです。


医療関係者からは、これは「胎盤早期剥離」という
死亡率も高い病気で亡くなったのだから。
医療事故ではない。
ましてや、医療ミスなんかではない

という事で、ほぼ全員が一致した意見なのですが。

遺族が納得していなくって、提訴を考えている、
っていうのには、いくつか問題
あるからだと思います。


問題点1

緊急帝王切開の前に、「胎盤早期剥離」というのは、
死亡率も非常に高い、という事の説明が
十分ではなかったかもしれない。



上にも書いたけど。
常位胎盤早期剥離」っていうのは

>母体死亡率は4~10%、児死亡率は30~50%

ですから。
ものすごい死亡率が高いんですよ。

子供に関しては
死亡率は30~50%ですから。
半分から1/3は亡くなるって事です。

母体死亡率が4~10%っていうのは、
良くても25人に1人。
重症の場合は10人に1人は死ぬって事ですからね。
お母さんの方も、10人~25人に1人は死んでしまう
大変な病気なんですよ。
常位胎盤早期剥離」ってのは。

だから、「常位胎盤早期剥離」になってしまったら、
残念ながら、母子共に亡くなるって事も、
十分あり得る
、という事なんです。

胎盤早期剥離が確認された(おそらくエコーにて)
・緊急帝王切開


新聞記事の経過からはこう書いてあって。
家族にどういう説明がいったのかは、
私にはわかりませんけど。

胎盤早期剥離」という診断がついたら、
母親や子供が亡くなる可能性がある
というか、その可能性が結構高い
という事を、帝王切開する前に、
もっと十分に家族に説明しても良かったのかなー、
とは思います。

ただ、緊急に手術が必要なわけですから。
長い時間をかけて説明すれば、それだけ命が
危険にさらされるわけですよ。
手術するのは早ければ早い方が、命が助かる
可能性も高いのですから。

だから、緊急の手術をする前に、
家族への説明が十分ではなかったかもしれない。
っていう事を、私には責める事はできません


私は循環器内科医ですから。
お産とか帝王切開の手術は、もちろんしないんですけど。

心筋梗塞で、緊急の血管内手術(カテーテル治療)
をする、っていう事はあります。

心筋梗塞っていうのは、心臓の表面の血管(冠動脈)
が詰まって、心臓の筋肉が死んでしまう病気なのですが。
血管が詰まってすぐであれば、心臓の筋肉(心筋)
が完全には死なないので、すぐに血管の詰まりを解消する。
要は、血管を広げる治療(心臓カテーテル治療)をすれば、
少しでも、死んでしまう心筋を助けてあげられるので。

一刻も早く、それこそ一分でも一秒でも早く、
検査、治療をしたいんですよ


待機的な心臓カテーテル検査、手術の説明なら、
20分、30分かけてする説明でも。
緊急の場合は、5分くらいでおおざっぱに行って、
少しでも早く血管内手術(心臓カテーテル治療)をする。
っていう事を、いつも行っていますから。

緊急帝王切開前の家族への説明が十分ではなかった、
としてもやむを得ない面はあると思います。



問題点2

死亡する約14時間前に、一回病院に電話したが、
看護師や助産師の判断で、自宅待機となった事。


新聞記事によると

妊婦は、死亡する約14時間前の27日未明、
陣痛が出たため同病院に電話したが、
応対した看護師や助産師が「痛みは強くない」と判断、
いったん自宅待機となった。


という事ですから。
半日前からお腹が痛かったから病院に電話したのに。
その時は「なんともない」って言っていたのに。
なんでこうなったんだ。

って、納得いかないのじゃないかな、って思います。

でも、これは残念ですけど。
やむを得ない事かな、って思います。

妊婦さんが、出産前に陣痛が出てお腹が痛くなるのは、
当たり前の事
なんですよ。

一時、「たらい回し」って言葉が、
新聞記事をにぎわしましたよね。
最近はまともな新聞は、この言葉を使わなくなったけど。
たらい回し」、「受け入れ拒否」っていうのは、
本当は「受け入れ不能」、「受け入れ不可能」
って事なんだけど。
これで一番問題になったのは、「妊婦」です。

どこの病院も、妊婦を受け入れる能力が少ないんですよ
だから、妊婦でお腹が痛い、というだけで、
全員を入院させるわけにはいかないのですよ。

今回の場合も、14時間前の段階では、
看護師や助産師が、正常の範囲だろう。
という事で、いったん自宅での待機をお願いしたけど。

やっぱり、次の日の朝、すごく痛みが強くなったから
入院という事になったんですけど。

常位胎盤早期剥離」っていうのは、

>時期はいつでも起こりえる
 発生時期の予測は不可能
 発生頻度は全妊娠の0.44~1.33%

っていう事ですし。

正常の妊娠、お産でもお腹は痛くなるものですから。
その前の段階で、診断する事は無理だと思います。


ただ、電話で聞いた時は「大丈夫」って言ったのに、
なんでこんな結果になったんだ。
って思う、遺族の気持ちもわかります。



問題点3

死因、出血量、輸血に関して、
病院側の説明と、主治医の説明が違う。



私の知り合いの、ある医師のブログに、
関係者からのコメントが載って。
それは、10分くらいでブログ主が削除したんですが。
関係者がオープンなところに書いたということで、
そのコメントのコピーが「産科医療のこれから」の
『静岡「早剥」事件 関係者さまのコメントを検証!』
に載っていました。

私は「大淀病院」関係で、「遺族の情報がネット上に流出」。
って事で、読○新聞とか、某スポーツ新聞に、
名指しで叩かれて。
m3.comから、直接職場に電話がかかってきて
えらい迷惑だった。
っていう、痛い思いをしていますので。
参照:『医師の秘密漏示』
『大淀病院事件、ネットで詳細に2』

あえて、遺族のコメントのコピーはここには載せません。

これによると、遺族の話では、
「主治医からの説明では、大量の出血、輸血はなかった」
と言われているようですね。

新聞記事にも書いてある通り。

>母体は3リットルを超える大量の出血
 輸血を含む5リットル以上の輸液で対処


という事ですから。
お母さんの方は、3リットル出血したようですが。
妊婦さんですからね。
この3リットルというのは、羊水込みです。


『早剥での母児死亡 刑事介入!!』
のコメント欄で、産婦人科医の「子持ちししゃも」先生
コメントしていますから。
これを見て下さい。


妊婦さんは出血に強く、分娩後や帝王切開後の
出血3000ml(羊水込み)による重度の貧血だけでは
死亡にいたりません。

正常の女性のヘモグロビン濃度12g/dlの
半分の5-6g/dl程度まで重症の貧血も珍しくなく
死亡しない例もたくさん経験しています。

私自身もつい最近帝王切開後ヘモグロビン4.3g/dl
の方を経験しましたが、輸血が届くまで
冷や冷やしましたが救命できました。

この状態(ヘモグロビンが正常の1/2)の解剖所見では、
当然重症の貧血という診断となるでしょう。
組織内の血液成分の量が少ないのは
間違いないですから。

さらに、救命のために輸液という水分もたくさん
投与されていますからさらに薄まっているでしょう。

しかしそれだからといって死因が出血多量とは
ならないと思いますし、現役の産婦人科医師としても
この経過で出血多量のための死亡
と説明されても納得がいきません。
(5/2の病院の記者会見の方が、
不誠実であったと思います。
ご不快に感じられたのは当然でしょう。)

>なぜまだ病気の可能性が否定されていないのに
 病院側が出血多量死と発表したのでしょうか

私もこの時点での病院の発表は軽率だと感じました。
(まだ死因が判明していない時点であるため)
産婦人科医としては、この出血量のみで
死亡の原因といわれても納得いきません。

投稿: 子持ちししゃも | 2008年5月 4日 (日) 02:08



妊婦さんが、3リットルの出血だけで、
出血多量で亡くなる、という事は考えられないんですよ。
きちんと輸液、輸血もしていますし。
これは、産科の先生だけでなくって、
私のような内科医でもわかる、基本的な医学知識です。


それなのに、病院側の説明では、死因が今の所
わかってもいないし、産科の先生から考えたら
ありえないような、「死因は出血多量
という説明をした。

主治医の先生は、妊婦にとって3リットルの出血
というだけでは、致死的にはならないから。
出血量としては少なくはないけど、
死因としては考えられない

という事で、そういう説明をしたのだと思います。

しかし、病院側は、死因がはっきりしてもいないのに、
死因は出血多量だった
、と言っている。

そこで、話が食い違って、
遺族の不信感が生じているのだと思います。


輸血したかどうかっていうのも。
急変した後、循環器内科医の先生とかも来ていますから。

もしかしたら、循環器の先生が、先頭になって、
どんどん輸血とか輸液をして、主治医の産科医の先生が、
輸血について把握していなかっただけ
かもしれないし。

言葉の問題とかもあるかな。

輸血」っていっても、いろいろあるんですよ。

一般的に輸血っていったら「濃厚赤血球」という、
いわゆる「赤血球」の製剤の事を言います。
我々、医師や医療関係者は、輸血といえば、
濃厚赤血球」の事だと思います。

ただ、厳密に言えば、肝炎問題で話題になった、
血液製剤」というのも、血液から造られるものですから。
これを入れたら、「輸血」という言葉を使っても、
間違いではないかな、と思います。


血圧が下がったら、血圧を上げるために
アルブミン」っていう製剤を使いますからね、普通。
もしかしたら、こういう「血液製剤を使った」、
っていうのを「輸血」と表現しているのかもしれませんし。

そこらへんは、何とも言えません。

主治医の産科の先生は、わざと輸血に関しては隠した
って事ではないような気がします。
そんな事しても、なんにも意味ないですからね。



まとめると。
問題になっているのは、

問題点1
緊急帝王切開の前に、「胎盤早期剥離」というのは、
死亡率も非常に高い、という事の説明が
十分ではなかったかもしれない。


問題点2
死亡する約14時間前に、一回病院に電話したが、
看護師や助産師の判断で、自宅待機となった事。


問題点3
死因、出血量、輸血に関して。
病院側の説明と、主治医の説明が違う。



問題点1に関しては、「緊急の帝王切開」ですから。
一刻を争う手術ですから。
その前に、説明が十分ではなかったとしても、
やむを得ない面はあると思います。

問題点2に関しても、妊婦でお腹が痛い、
っていう人を、全員入院させることは不可能なので。
その段階での電話対応自体には、
問題はなかったんじゃないかなー、って思います。


一番問題になるのは、問題点3でしょうかね。

これって、「福島大野病院」とか、「大淀病院」とか。
医療訴訟では結構問題になる事も多いんですけど。
院長、病院側の対応」です。

静岡厚生病院玉内登志雄院長っていうのは。
これを見ると、外科医のようですね。
→ 『第2回日本乳癌学会中部地方会 一般演題』


主治医の産科医の先生が、現段階では、
死因はわからない。
出血量も、妊婦で3リットルだけでは、
出血多量で死ぬほどの出血ではない。
って判断しているにもかかわらず。

産科に関しては素人の外科医である院長が、
後日の発表では大量の出血により死亡
という事を言ったのが問題なんだと思います。


確かに地位とか、役職とか、そういう事に関しては、

院長 > ただの産科

という事なんですけどね。
こと、医学の専門分野の「産科」って事に関しては、

ただの産科医 >>>> 外科の院長

ですから。
産科の話でどっちが正しいか、って言ったら、
平の産科医の先生の話の方が正しい。
という事も、多いと思いますよ。


輸血に関しては、主治医の先生が知らなかったとか、
血液製剤は使ったけど、濃厚赤血球は使っていないとか。
そういう事だと思います。


新聞やブログに書いてある事からしかわかりませんけど。
私がわかる範囲では、この件に関しては、
医療ミスはなく、「常位胎盤早期剥離」という
重症の病気の為に母子が亡くなった。

という事だと思います。

ただ、産科の事をわかっていない外科の
院長(病院側)の説明と
主治医の産科医の先生の説明に食い違いがあった。

という事ですから。

主治医の産科医の先生に、もっと詳しく説明を聞く
できれば院長も一緒に入って貰って。

もしくは、この病院には主治医の先生以外にも
産科の先生はいるようですから。
主治医以外の産科医の先生に、
客観的にお話しをしてもらう

っていうのが良いんじゃないかなー、
って、個人的には思います。


遺族の方は、

>「今の時代に、母子ともに死亡するなんて
 信じられない。
 提訴も検討したい」


と、言っておられますけど。
常位胎盤早期剥離」というのは、今の時代でも、
子供は2~3人に1人は亡くなる。
母親の方も、10~25人に1人は亡くなる、
重症の病気ですから。
医療ミスがなくても、亡くなる場合もある。

っていう事を理解してもらいたいです。

あくまで病院側、院長の主張というのは、
マスコミと言うフィルターを通して見ているので。
本当にそう言ったのか確かではないので、
厳密にはなんとも言えませんがね。
院長、病院側の対応に問題があったという事なら、
不信感を持つ事自体は仕方がないかもしれません。


ちょっと話は変わるけど。

この院長のせいなのか。
読売新聞の記者のせいなのかわかんないけど。
この記事の書き方は、ちょっとおかしいですよね。

胎盤早期剥離妊婦の1%程度にみられ、
胎児に酸素が供給されないため、
胎児死亡率は30~50%と極めて高い。
妊婦も出血を起こすことが多いが、
死亡率は一般に10%未満で、
妊婦、胎児とも死亡するのは
「妊娠5000~1万例中に1例」



書いている事は間違ってはいないけど。
よーく見てみると。

胎盤早期剥離妊婦の1%程度
胎児死亡率は30~50%
妊婦死亡率は一般に10%未満


って、分母は全部「胎盤早期剥離」なのに、

妊婦、胎児とも死亡するのは
「妊娠5000~1万例中に1例」


っていきなり分母が「全妊婦」になっていますからね。
正常の妊婦さんを分母にしたら、
死亡率だって減るに決まってる
でしょ。


妊婦の死亡率は一般に10%未満
っていう事は、上にも書きましたけど。
10人ちょっといれば、1人は亡くなる。
って事ですから、すごく重症の病気
なんですよ。

でも、
妊婦、胎児とも死亡するのは
「妊娠5000~1万例中に1例」


って書き方になったら、ものすごーく珍しい
っていうようにしか見えないですからねー。

なんで、こういう書き方をするのか、
ちょっとわからないですわ。
せっかく良い記事も増えてきたのですけどね。
読売新聞。

やっぱ、医療情報部は、駄目かなー。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

固定リンク | コメント (2) | トラックバック (1)

医師会は厚労省に騙された!

Dr. I / 2008.04.29 00:36 / 推薦数 : 12

どうやら、日本医師会厚労省に騙されたようですかねー。

Yosyan先生の「新小児科医のつぶやき」の
『「合意」と「覚え書」続報 』

僻地の産科医先生の「産科医療のこれから
『日医は厚労省にだまされている! 
覚書は存在しない ―第三次試案をめぐって―』

『医療事故安全調査委員会』

なんかでも話題になっていますが。
医療事故安全調査委員会(医療事故調の、
第三次試案に関してです。

本文の前に、応援もよろしくね!

→ 人気ブログランキング



『医療事故調、第二次試案について』の記事で、
私がブログに書いた事なのですがね。

医療というのは、病人とかけが人が対象ですし。
治療っていうのは、薬を使ったり、手術をしたりする事ですから。
医療というのは、不確実なものなんですよ。
100%って事はあり得ないんですよ、残念ながら。

で、不幸にも残念な結果が起こったときに。
どうしてそういう事が起こったのか、客観的に判断してくれる、
第三者機関
があれば、遺族も納得できるし。
医療の側も、医療に関しては素人の裁判官とか、
警察、検事なんかよりは、専門家に判断して貰った方が、
安心して医療ができるから。

医療者側でもなく、患者側でもない、第三者機関が、
医療事故が起こった場合は判断するようなシステム。
というものがあったほうが、患者側にとっても、
医療者側にとっても都合が良いのではないか。
と、個人的には思います。

そういうのがあった方が、患者さんも、
安心して医療が受けられるし。
医師医療者)も安心して医療を行えますから。


方向としては、患者の為にも医師医療者)の為にも
安心して医療ができる為に、ってことで作られたものが。
何故か、厚労省権限を大きくしようとか、
厚労省天下り先を作ろうとか。
そういう別の思惑が入って、
全く別の物になろうとしていました。

それが、医療事故調の第二次試案でした。

医療事故調の第二次試案」を詳細に分析した、
主に医師医療従事者)達から、問題点の指摘を受けて。
ちょっとはましになったのが、
医療事故調第三次試案」です。

これに関しても、やっぱり問題はあるんですが。
非常にわかりやすく問題点を解説した記事があったので、
ここで引用させてもらいますね。


『ロハスメディカルブログ』を書いている、
川口恭さんのメルマガ、「MRIC」からっす。



Medical Research Information Center (MRIC)
メルマガ 臨時 vol 53

■□ 刑事捜査抑制の保障無し
―法務省・警察庁は文書を明確に否定 □■

国立病院機構名古屋医療センター 
産婦人科 野村麻実

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●バックナンバーはこちら==>> http://mric.tanaka.md
●MRICの配信をご希望される方は touroku@mricj.com へ!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


医療安全調査委員会の第三次試案を、
医師の皆さんは調査委員会の結論が出るまでは
警察の捜査がストップされると、
期待してはおられないでしょうか。

そうお考えになるのも当然だと思います。
第三次試案を読めば、そのように受け取れる記述があり、
また日本医師会もそのような説明を
会員にしているからです。

ところが、そのような期待は医師側の勝手な
解釈であることが、先日の国会質疑で明らかになりました。

警察はたとえ調査機関の通知がなくても捜査することを、
刑事局長が明言したのです。
この答弁で、第三次試案には警察の捜査を
ストップさせるような法的根拠がまったくない事実を、
私たちは突き付けられました。


国会質疑の模様をご紹介しながら、今浮かび上がっている
問題点を述べてみたいと思います。

4月22日、決算行政監視委員会第四分科会において、
衆議院議員で「医療現場の危機打開と
再建をめざす国会議員連盟」に参加している
橋本岳議員が、第三次試案について
国会質疑を行いました。

その内容はインターネット上の録画で
見ることができます。

→ 『国会中継、橋本岳議員の質問』


質疑の相手は、法務省・警察庁の局長であり、
主な論点は、厚労省と警察庁あるいは法務省の間で
交わされた「文書」の有無です。

なぜ文書の有無が論点になったか。
それは、第三次試案の記載だけでは、
医師が法的に守られるのかどうかが分かりにくく、
調査委員会の結論が出る