ゴールデンウィーク2日目、近くの国営公園に行く。ここはとにかくだだっ広い。たまたま無料開園日でもあり、ものすごい人出だ。それでも十分ゆったりできる花と緑の公園、雲一つない青空と初夏を思わせる陽気。こんなにゆったりと過ごせるゴールデンウィークは社会人になってから初めてだ。
 
 手術後約5ヶ月、仕事復帰してほぼ3ヶ月…、暗黙の了解のように入院患者さんの主治医と緊急呼び出し(夜間・休日のオンコール)は免除してもらって過ごさせてもらっている。突然呼び出されることがまず無いという状況は何とラクチンなのかと思う。
 この状況で思うには、やはり医者という仕事は命を削る職業である。患者さんの人生の大事な局面に立ち会う、短期間で回復する患者さんもいるが、長く患う患者さんもいる、時には死亡宣告をせねばならない…。多少慣れることはあっても、常にストレスを抱えつつ、患者さんを支え、ひいては社会を支えている職業だと思う。
 しかし医者も生身の人間、不死身でもなく完璧でもなく、無尽蔵に湧いて出てくるものでもない。一方、最近の世の中、医療を見る目がとても厳しい。厚労省やマスメディアからは、まるで全国どこの医療機関も万全で最先端であって当然のようなプレッシャーを掛けられているように感じる。医師不足が深刻になってもなお医療サービスは通常通り供給できて当然、病院はコンビニのように便利で清潔で当たり前と思われているかのように感じてしまう(被害妄想?)。現実とのギャップは大きく、日々のストレスで医者は疲弊し、患者さんとの関係もギスギスしがち…。理想はもちろん必要、しかし現実の中で最善を尽くしても評価も感謝もされないとすれば、医者の誇りも意欲も枯れてしまわないかと心配になる。
 医者や看護師は、個人の力だけでその資格を得たのではない。その育成のため少なからず国から大学等に税金が投入されているはず。その意味では医師・看護師を含む医療システムは社会の共有財産だと思う。普段何気なく使っている水道の水にも限りがあり、森の管理、ダムの管理、節水等が必要なように、医療システムにも現時点での限界はある。改善すべきところももちろんあるが、あれも出来るだろう、こんな事もできないのかと搾られる一方では干上がってしまいそうだ。医療システムという共有財産を維持し改善していくために、場当たり的ではなく、官民もっと知恵を出し合うことはできないものかと思う。
 仕事では楽をさせてもらっている身でありながら、弱音とも甘えとも取られかねない思いかもしれないが、傍目に見ても病院という職場が以前よりもツライ、キツい(肉体的にも精神的にも)所になっているように思う。いつか状況は良くなるのだろうか…。

 雲一つない青空のもと、今までになくのんびりしながらも、ふと現場で奮闘している同僚のことを思い出し、なんとかならんかなと思うのでした。
凧揚げ鯉のぼり

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このブログを書き始めて、いろいろ考えているうちに、何か行政の方に自分の考えを届けられないかと思い始めました。 安倍政権になって、教育基本法の改正なんかのことも気になったので、首相官邸のホームページにアクセスしてみると、”ご意見募集”のページを見つけました。
最初は、”教育の見直しは大事だが、価値観や道徳観を押し流してしまうほどのコマーシャルやメディアからの情報の氾濫に対処する知恵を教えないと、単に道徳教育を徹底するだけではだめではないか”と言う風なことを送信してみました。
次にブログ(”がんとの共存”考)にも書きましたが、長期療養を要するがん患者に対する経済的支援はぜひ必要と考えましたので、次のような意見を送信してみました。
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テーマ    :がん医療について
本文: 医師をしておりますが、昨今がんの患者さんが急増している印象があります。進行癌、再発癌の治療は費用もかかり長期に及ぶことが多く、難治性の慢性疾患ととらえる必要があると考えます。「治す」ための施策も重要ですが、病気を抱えたままでも安心して療養ができる施策も是非必要です。例えば3ヶ月以上に及ぶがんの療養に対して公的補助が受けられるような施策があれば、患者さん・ご家族の救いになると思います。
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そうしたところ、昨日、厚生労働省健康局総務課がん対策推進室より、現在、がん対策の推進に関する意見募集をしているので、改めて1200字程度に意見をまとめて送ってくださいというメールが届きました。実際、厚労省のホームページ上でも意見募集のページを見つけました。
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/index.html
誰でも応募できるようです(11/30まで受付)。
どこまで取り上げてくれるか分かりませんが、意見をもう少し練って送ってみようと思います。この際、政府のがん対策に意見、要望がある方もどんどん意見を送ってみませんか?
蛇足かも知れませんが、先日、「がん患者学Ⅱ」(柳原和子著、中公文庫)という本に収録されている、著者と石川寛俊氏(多くの医療過誤、薬害訴訟に取り組む弁護士)との対談の中に石川氏のこんな発言を見つけました。「…医療とは長年の人類の知恵の結集であり、社会遺産、文化遺産と考えるべきではないでしょうか。…(中略)…批判は簡単です。いくらでも悪いことがあるだろう。しかし、批判は育てるために行わなければ意味が無いのです。…」渦巻く医療批判もあり、官僚批判もある。しかし医療も官僚も社会には必要です。この国に生きる市民として建設的な意見や批判を発信することも考えねば、と思っていたところに今回の厚労省からのメールが来たので、勇んでブログを書いてしまいました。

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