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思えば私の家庭や親族は、世間とかけ離れていたように思う。数十年前から現在では当たり前の希薄な親族関係であった。
父の母親のことについては、法事などで親族が集まっても一切話題に出なかった。写真は原爆で全て焼けたので父方の祖母の写真は見たこともなかった。
私が父に「何故か自分でも解らないのだが、人間関係にのめり込むことがどうしてもできない。人を愛するということが自分には本当にはできてないと思う。愛するとかいう感覚が頭で理解できても自分にはできないんだ」と打ち明けたことがある。
父は寡黙なひとであった。私の疑問に答えることは死ぬまでなかった。
父に「自分は祖母について全く教えてもらってないが、どういう人だったのか」とひつこく食い下がったことがある。
父に「祖母は原爆症で亡くなったことになっているが、もっと詳しく教えてくれ」と迫った。
父は重い口を開き「母は自分の10歳違いの弟を産んだ後から、家事などができなくなってきた。それが基で弟は親戚に養子としてもらわれた時期があった。家の事はそれ以後、父親と姉がほとんどやるようになった。なんで母親がそうなったのか解らない。」と語った。
私はその時、やっと自分の他人に対する自閉性がふっと腑に落ちた。これは理屈ではない。
祖母の病気は推測できる。その遺伝子を継いでいる自分がわかった事で、自分の対人関係について納得がいった。重荷を背負ったというより、重荷から開放された気分になった。精神障害者に対して自分は同情も差別も抱かなくなった。同じ人間なんです。妻は「あんたは変わっている」と言われるが、変人が好きなのも妻の良いところですね。
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