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脳出血で倒れた、寝たきり状態で言葉もうまくしゃべれないまま退院する。ところが帰った自宅で妻にも息子にも世話をしてもらえなくなり、長い間ほったらかしにされて亡くなったという悲惨な事件が広島市で起きた。
動けない夫に食事も与えないなど放置して死亡させたとして妻と、同居の長男、二男が逮捕された。保護者遺棄致死ではなく、未必の故意による殺人容疑だからショッキングだ。
自宅には車イス用のスロープが設けられ、介護ベッドも置いてあった。退院後は週3回、デイサービスに通っていたという。最初から放っておこうと思ったのではあるまい。なぜこんなことになったのか。
夫の収入が途絶えて経済的に追い詰められ、心の歯止めを失ったのか。家族間の心理的な葛藤があったのか。それ以上に、こうなるまでになぜ家族の誰もがSOSをだせなかったのか。丁寧に「なぜ」を解きほぐしてほしい。そこから事件の再発を防ぐヒントを探らねばならない。
事件のあった家では、デイサービスをやめた時点で「外の目」が入らなくなった。しかしデイサービスをやめて、ほかの施設にもいっていないと把握できていれば、外からのウォッチングを地区民生委員などに頼めたかもしれない。そして「どん詰まり」になる前に家族が相談できるシステム作りも大切だろう。
独居よりは同居老人の方が幸せなはず、という思い込みが社会にある。「むしろ逆」な場合も数多いと実感している。家族がいると周囲は安心し遠慮する。中で虐待があってもなかなか分らない。
国の医療制度改悪(療養病床38万床の60%削減など)が進めば、自宅で寝たきり状態の人を介護する家族はますます増えていくだろう。どうすれば「同居の不幸」を繰り返さず済むかが問われる。
介護保険は今回の改正で「基本は家族介護、介護保険はお手伝いするだけ」という傾向を強めている。
国民が現在切実に求めているのは「憲法改正」だろうか。もっと身近な差し迫った問題と思うが。
引用:中国新聞1月31日号
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