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< ミクシィのビジネスモデル危機 | メイン | 医師法第21条法曹の立場続き >

 「 医師法第21条をどう考えるか?」と題して2日連続して書いた。今回は法曹の立場からの意見を紹介する。

 前川法律事務所:広島県医師会顧問弁護士 前川 秀雄先生

 私は医療側の立場で医療過誤訴訟を専門にやっている。今日は、日常的に医療に関係している一法律家の立場でこの問題を少し検討したい。

 まず、今回問題となっている医師法第21条という条文であるが、これはつい最近まであまり注目されていなかった。ここ近年、急激に注目される条文となっている。

 医師法第21条は、医師が死体を検案して、異状があるとみとめたときには、24時間以内に所轄の警察署に届けなければならないという規定になっている。この条文の解釈を巡って争いが起きている。これについては、刑事罰が当然科されており、医師法第33条の2で、違反した者は50万円以下の罰金に処するとなっている。

 刑事訴訟法には、第199条で逮捕状による逮捕という規定がある。逮捕されることは、警察や検察庁が、独自の判断で勝手にできるものではなく、特に通常逮捕の場合には逮捕状が裁判所において発行されることになる。その逮捕状による逮捕の規定の中に、「逮捕状により逮捕することができる、ただし30万円以下の罰金、拘留、科料に当たる罪については、被疑者が定まった住所を有しない場合、または正当な理由がなく、出頭の求めに応じない場合に限る」という規定がある。

 30万円以下だった場合に逮捕状を出せるのは、住所不定だとか、出頭に応じないといった場合に逮捕状が出せる。そうでなければ逮捕状が出せないことになっているが、50万円はこれからすると、逮捕状が出せることになる。

 医師法という法律は、昭和23年に制定されているが、歴史もあるので、医師としての業務の中に応召義務、証明文書の交付義務、無診察治療等の禁止、異状死体等の届出義務、処方箋の交付義務、診療録の記載及び保存義務がそれぞれある。これらについて、罰則はどうなっているかというと、罰則規則では、このうちの無診察治療の禁止、異状死体等の届出義務、処方箋の交付義務、診療録の記載、保存義務に違反した場合、いずれも50万円以下の罰金にしょすることになっている。異状死体の届出義務違反だけではなく、他の義務違反もその気になれば刑事罰が科せられる規定になっていることを理解しておかなければいけない。

 医師法第21条、届出義務であるが、どういう立法趣旨で作られた条文なのかということを、法律的に考えておく必要がある。この条文は、やはり捜査の端緒ということが、もともとの出発点だったと思う。医師は、日常的に職業として死体に接する機会が多く、その死体の中から殺人、死体損壊という犯罪が見えてくる。その事件解決の糸口になるということで、医師に法的な義務を科したと思う。もともとは、医療過誤の捜査の端緒をつかむとか、あるいは死因の解明を目的として、この義務を科したとは、思えない。ただ、現実には、この条文が非常に大きな意味を持ってきている。私は、いくつかの医療過誤事案が取り上げられ、社会的な医療に対する批判が強まってきている中で起きているのではないかと思う。

 この医師法第21条問題が裁判所で全面的に取り上げられたのが、都立広尾病院の事件と思う。これは平成11年ぐらいの事案であるが、関節リュウマチの治療で都立広尾病院に入院されて、入院3日後に手術は成功、経過もよかったが、手術の翌日に、看護師が生理食塩水と消毒液を間違えて点滴に入れてしまったということで、この患者が「胸が苦しい、息苦しい、両手がしびれる」と訴えて、その後亡くなられた。亡くなられたのが2月11日の午前10時44分、2月11日は祝日ということであったが、亡くなられて、どうするかということになり、病院では翌日に対策会議が開かれた。一応会議で、どうも薬を間違えたのではないかということがあり、警察に届け出ることになったが、東京都の病院事業部と相談したところ、届出を待つようにという指示があり、待つことに、また家族の了解を得て病理解剖をすることになった。亡くなられた次の日に、早速病理解剖ということで、ただ遺体の右腕の静脈に沿った色素沈着が見られ、これはどうもおかしいということから、病理学の大学助教授に来てもらい、病理学の大学助教授は、この死体を見て、すぐにこれは警察に連絡した方がいいということを提案したが、病院長は都の方針に従って、このまま病理解剖を進めてくれと、最終的に死因が何かといろいろ調べ、ヒビクルという消毒液の検出がでるかどうかという作業を待っていて時間がかかってしまった。2月11日に亡くなられて、2月22日に渋谷警察署に届け出た。その後、家族から死亡診断書を作成してほしいと、これは保険会社に提出するということだったので、判決を見る限りは、家族の方も病死、自然死にしたのだと、病名欄は急性肺欠損症ということにした。このことが後に問題になり、刑事事件に発展していくことになった。もちろん薬を間違えた看護師は、刑事責任を問われたが、それ以外にこの問題を速やかに警察に届けなかった病院長と主治医、病院事業局の事務方も今の医師法第21条違反で起訴されたという経過となった。一審、二審、最高裁までこの事案は上がり、最終的に有罪となった。

 後半は明日書きます。

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