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平成18年7月16日広島市にて日本警察医会・学術講演会があった。最後にシンポジウムとして「医師法第21条をどう考えるか?」を法医学の立場、病理解剖の立場、臨床の立場、法曹の立場のシンポジストにより報告があった。
立場が違うと見方もこんなに違うのかと感じたので報告します。
1、法医学の立場
岡山大学大学院法医生命倫理学助教授 宮石 智先生
医師法第21条について、私の考えが標準的かどうかはもちろん分らない。例えば、法律を、システムを変えたらという発想はもちろん重要なことだと思うが、現行法が悪いかというと、私は必ずしもそうではないという考えを持っている。
先般の県立大野病院の事件は、医師法第21条問題のきっかけとはなっているが、この事件が医師法第21条問題を考える上で適切な例かというと、私はそうとは言えない気がする。そう考えさせられるのは、以下の2点である。
第一は逮捕・拘留された点で、不幸にも患者がなくなってから、かなり時間が経ってからの出来事なので、これは手続き上は通常逮捕しかない。通常逮捕は裁判所から逮捕状がでているから、なぜ逮捕が必要かという理由について、裁判官も認める相当の理由があったと考えないといけない。また、一旦決定された保釈について、結果的には通らなかったとはいえ、敢えて決定取り消しの準抗告までしているのは、捜査側として拘留が必要と考える相当の理由があったからだと私は思っている。つまりこの事件にはかなり重大な問題が含まれていると思われる。
この事件の罪状としては、業務上過失致死と医師法第21条違反になっている。しかし、医師法第21条違反が、逮捕・拘留しないといけない理由になるとは、ちょっと、ぴんと来ない。確かに、罰則規定もあるが、私の感覚からすると、医師法第21条違反自体は微罪ではないかと思う。今年5月千葉であった判例で、事件としては民事事件あるが、判決は要は殺人事件と言っているに近いものである。この事件では、発生の2年後に証拠の差し押さえをしている。初めから殺人被疑事件として立ち上がっていれば、差し押さえに2年もかかるのはちょっと考えられない話しであるから、私は県警が認知するまでに2年が経っていたと思う。それで、なぜ差し押さえる血液や臓器があったかというと、医師が何か変だと思い保存していたという話しである。これは、つまりその医師が2年前に異状死体の届出をしていなかったということだが、この医師が21条違反に問われているかというと、そういう話はどこにもでて来ないし、それを敢えて問いただしているという様子は報道からは全く感じられない。
そうしてみると、県立大野病院の事件は、やはり医師法第21条そのものの問題ではないのではないか、もしそうだとしたら余程の理由があることになろう。この事件の本質は、医師法第21条違反の適用の問題というよりも、業務上過失致死があるのかないのか、という問題にあるのだと思う。つまり、2年も経って敢えて逮捕したことにはそれ相応の理由があって、それは業務上過失致死かどうかを問題にしているのであって、医師法第21条はこの事件の本質ではないと私は思っている。
よって今日のシンポジウムでは、21条問題をより一般的に考えた方がいいのではないかと思う。もはや国語の問題みたいであるが、どういう場合に届出義務を規定しているかを考えると、「過誤の疑いがある場合に届け出なさい」とは書いていない。どう書いてあるかと言えば、文字どおり「死体に異状がある場合」に届け出るように書いてある。では、死体の異状とは何か、これまでの法解釈をいろいろ見ると、法医学的な異状となっているから、明白なる病死とは言えない場合を指している。
まだ続くのですが、明日にします。今日はいろいろトラブッて疲れました。警察関係2件、保険会社1件、トラブル患者数名でギブアップです。では明日。
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