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2006.10.12 20:24 |  仕事 / 職場  |  車 / バイク/ 船  |  その他(医療関連)  |  沖縄の海  | 推薦数 : 0

患者の武勇伝

 長年診療していると、いろんな患者さんに出くわす。

 今までで、私の診療暦の中で北朝鮮の核実験なみの超ど級の患者さんのことを書いてみる。

 その患者さん、自己破滅型で超わがまま、無頼派も。短歌を作りよく「待合に貼っててくれ」と言って持ってきていた。「貼ってもいいよ」というと自分で勝手に何枚も貼っていた。できは玉石混合でしたね。けっこうな知識人でもあった。「先生、太宰はいかん。読者を不幸にする。自分も太宰にはまって失敗した」とよく言っていた。

 友人・知人をすぐに作り、そこに居候する。我が家のように振舞いだす。ある時、友人宅で寝タバコをし、布団がじわじわ燃え出し服に燃え移ってるところで、友人が気付き119番し消防車がきて、消火しボヤ騒ぎで終わった。と思ったら、ここからが大変だった。火傷を負っていて救急車で病院に搬送された。搬送先病院の皮膚科から電話が掛かってきた。「00さんの治療に当たっていますが、3度の熱傷を左上肢と胸部に受けており、当科では対処不能です。受け入れ先を探して00大学病院皮膚科が受け入れてくれたので、そちらに行って貰います」ということでホッした。

 ところが、又その病院から電話が掛かってきて「00さんが、火傷は自分で治すと言って、制止を振り切っておられなくなりました」と聞いて仰天した。思わず「あのバカやろうが」と声に出た。心配で診療どころではない。どうしようかと考え、いつも00さんの尻拭いをして回っている姉に連絡をとって事情を話し、こちらに来てもらった。姉に「かなりひどい火傷で集中治療しないと死んでしまう。それなのに自分で治すと言って、トンズラしたんです」と話していたら、当の本人が当院に現れた。本人に「治療せんと死ぬぞ。わがままもホドホドにせー」と一括したが「自宅で自分で治す。家に帰る」と意って聞く耳をもたない。

 説得は無理と考え、00大学精神科に電話し、事情を話し皮膚科と連携して精神症状の管理・治療をお願いし、強引に救急車に乗せ、私と本人の姉も同乗して00大学付属病院に高速道路を飛ばして向かった。さすがに救急車は早い。けっこうな距離だったが、すぐに着いた。

 皮膚科と精神科の両方のスタッフにお出迎えされ、皮膚科病棟に入院した。皮膚科と精神科の先生に現在までの経過と今後の治療をお願いして、救急車で当院まで引き返した。

 その日は、それで一日が終わってしまった。

 その00さんは大学病院でも有名人になってしまった。入院したその日にカバンに隠し持ってたタバコを、こともあろうに皮膚科の病室内で吸ったのです。看護師さんに発見され「病室には酸素の配管もしてあるんです。爆発したらどうするんですか」と激怒され、精神科の先生が呼び出されたようです。「重症病室内でタバコを吸った00さん」ということになったようです。その他入院中無断離院2回。1度は病衣のまま大学病院前バス停でうろついていて発見された。皮膚移植が何回かに分けて行われ、退院してきました。

 最初の一言が「大学病院は退屈じゃった」と言ったのには、もう言い返す言葉がありませんでした。

 そんな00さんも、もう亡くなりました。影響力バツグンの人でしたので、亡くなった時も、今でもたくさんの友人・知人に惜しまれています。

 後にも先にも00サンのような患者さんには出会わないでしょう。今となっては「武勇伝」になっております。

 

 

 

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