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上方落語界に桂子雀という落語家がいた。米朝一門の次期リーダー格であった。三枝、文珍の少し上の世代になると思う。桂三羽烏と言われ芸と人気を競っていた時期もあった。
「しばらく表舞台に現れないなー」と思っていたら、早朝のテレビニュースで「桂子雀死亡。死因はうつ病による自殺」と放送された。もうかれこれ10年以上経ってしまった。
桂子雀は子供の頃よりお笑いが好きで、弟と漫才コンビを組んで素人コンテストに出て賞を総なめして「コンテスト荒し」と呼ばれていた。その後桂一門に弟子入りしたが、青年期の修行時代、うつ病になった。自己の芸風の確立を急ぎ又完璧さを求めすぎたためであろうと推測する。あの独特の軟体動物のようなユニークな動作や早口のしゃべり、ツルピカの頭は子雀が七転八倒の末、作り上げたもので、決して天然ではない。それからの子雀は飛ぶ鳥を落とす勢いで上方落語界の人気者となった。師匠となり弟子にも恵まれて外側からは順風満帆としか見えなかった。
その子雀が自殺したと知って愕然としたのを憶えている。「何でや」と思った。うつ病の再発と言ってしまえばそれまでだが、そんなことでは自分を納得させることはできなかった。子雀は青年期にアイデンティティの拡散した精神病一歩手前まで行って一度地獄をみた男である。それを克服した。中年の危機でアイデンティティの再確立ができないはずはなかっただろうにと思った。
闘病生活中に一瞬、魔が入り込んだのだろう。そうとしか考えようがない。米朝師匠も老いた。子雀が生きていればとつくづく思う。
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まさに その通りです。何でと今でも思います。
面白い真面目な人”もっとも好みの人物でした。オシイですね
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