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< STOP!(10) 些細なできることから... | メイン | 湖の杭(くい) >

報道の影響力...(@_@;)

天ちゃん / 2008.05.20 21:21 / 推薦数 : 3

STOP!シリーズ(?)から、ちょっとそれまして...(^^;

マスメディア、ってつながりで思うこと、を今日は記事にします。 

マスコミ、と言っても今日取り上げようと思ったのは、新聞、ですけど...。

昨日のこのブログ記事に、ハンナ先生、ちこ さんからいただいた(m(__)m)コメント()にも通じる内容です。
http://blog.m3.com/tenchanoffice/20080519/2#comments

 

> より良い記事にするための書き換え、同感です
> とくに「依存症」の部分
> 治療中の患者さんやご家族に余計な不安を与えてしまいます
> 限られた診察時間をまた同じ薬の不安への説明に取られてしまい、
> 他の症状の聞き取りを十分できなかったりします。
> 記事を書く方ももう少し配慮してくれたら嬉しいですね

本当にその通り! と同感します。 

ハンナ先生は「同業者」とのことで、同業者からのコメントは久しぶりなので、本当に嬉しいで~す!(^^)!。

そして以下(↓)が、ちこ さんのコメント。

> ハンナさんと同様、お薬の「依存症」を心配される患者さんは多いです。
> 診察室で先生に訊けなくて、会計の時にこちらに質問されることもあります。
> いろんな向精神薬をしっかり勉強して、また、その方にとっての服薬の意味を先生と共有して、不安を取り除き、きちんと服薬していただけるようサポートしています。
> こういう、不確かな記事(表現)によって、「薬は飲みたくない」とおっしゃる方が出てくるのは困ったことです
> 新聞社に抗議したいくらいです

ちこ さんのコメントにも痛く同感してしまいます(^^;。

なお...「不確かな記事(表現)」というのは、モチロン、昨日の記事中でコピペさせていただいたウェブ上の記事の(表現の一部の)ことです。

 

さて、前置きが長くなりましたが...(^^;

昨日、今日と、相次いでうつ病の薬物療法についての、ご本人の治療とは直接関係のない()相談(?)対応に迫られました(>_<)。

ウェブ上で配信されていないようですので、記事を手入力して(T_T)ご紹介します()。


患者多すぎ「薬偏重」に

うつ病治療のいま(下)

 多くの患者に対応しようとすると、精神科クリニックは、どうしても薬に頼りがちだ。

 仙台市の女性(33)は2年半前、うつ病治療のために訪れた市内のクリニックで、初診なのに5種類の薬を処方された。抗うつ薬のほか、抗不安薬や睡眠薬があった。薬の説明はなく、問診は5分程度。家族歴についても聞かれず、父親を自殺で失ったことも話せなかった。女性は「うつの根本的な原因を話していかないと、本当の治療はできないと思う」と話した。

 薬物偏重への批判は強い。働く人のうつ病治療経験が豊富な島悟・神田東クリニック院長も「薬物治療だけでなく、うつの原因が分からないと再発の可能性が高い」と話す。島院長は、職場の産業医と連携し、業務を軽減するなどしてもらう。しかし、こうした連携ができるクリニックは少ない。患者を診るだけで精いっぱいで、職場と連携する時間や、それに関する報酬をもらうことは少ないからだ。

 「抗うつ薬のリスクへの認識が足りない医師もいる」と指摘するのは、田島治・杏林大保健学部教授(精神保健学)だ。「今、世界で最も多く使用されているSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、飲み始め時にイライラ・衝動が強くなったり、やめる時に離脱症状が出たりすることがある」

           安易な処方・・・原因解明、後手に

 英国のうつ病治療指針には「軽症患者にはすぐに抗うつ薬を使わず、2週間は経過を見る」とある。だが、田島教授が05年に、約200の精神科クリニックに、「初診のうち何%に抗うつ薬を処方するか」聞いたところ、「100%」が48%もあった。

 精神科医の片田珠美・神戸親和女子大教授は「うつ病治療は、精神療法を通じ、親との葛藤など、自分の負の部分と向き合うことも大切だ。ただ、数多く診察しないと経営が成り立たず、どうやって時間がかかる精神療法を行っていくかは難しい問題だ」と話す。こうした現状を改善するため、一定以上のスタッフをそろえた病院や診療所には報酬を加算する仕組みを導入すべき、という意見もある。

必要量満たさず効果ない場合も

 薬物偏重が言われる一方で、その抗うつ薬すら適切に使われていない、という指摘もある。

 富士電機システムズ(東京都日野市)産業医の堀川直人さんは、うつ病の社員が、本来の必要量に達していない、少量の抗うつ薬を2種類以上処方され、治療効果の上がらないケースをよく経験するという。

 2年前、「近くのクリニックで治療中だが、症状が良くならない」という社員が訪れた。初診から間もないのに、「SSRI」2種類と「三環系」1種類の抗うつ薬が処方されていた。うつ病治療は、単剤を徐々に増やし、効果がなければ別の薬に変えるのが標準的だ。堀川さんは別のクリニックを紹介。SSRI1種類に絞り増量すると、2ヶ月で回復、職場復帰した。

 レセプトを点検する「社会保険診療報酬支払基金」の審査委員を務める精神科医(53)は「抗うつ薬を5~6種類処方するケースが、1割程度はある」と打ち明ける。日本うつ病学会理事長の野村総一郎・防衛医大教授は「日本では、少量の薬をたくさん足して投与する傾向があった。重症のうつだと、多剤併用が必要な場合もあるが、軽症・中等症なら、まず単剤を試すべきだ」と話した。

[引用記事:朝日新聞08/05/17朝刊29面生活欄より]


さて、以上の記事(↑)をお読みになって、読者のみなさんはどのようなメッセージを受け止めたでしょうか?

それぞれの立場や知識・経験によって...精神科医であるか、患者であるか、患者家族であるか、精神科スタッフであるか、うつ病の患者さんのいるご家族であるか、高齢者であるか、20代の若者であるか、うつ病って何?っていうくらい触れたことがない読者であるか...(キリがないのでこのくらいで(^^;)

そういう、それぞれの立場や知識・経験によって、つまり(?)、それぞれの認知態勢によって、メッセージの”読み”が違ってくるのだろうと思います。

天ちゃんはと言えば(^^;...部分、部分を抜き出せば、妥当な記載やコメントもある、とは思いますが...全体のコンテクスト(文脈)と、記事の与える効果(結果)には疑問を呈さざるを得ません、といったところでしょうか...(?)

ジグソーパズルの一つ一つのピースには問題ないけれど、それらのピース全体は組み合わせ作品を完成仕切れない...(?)とでもいったカンジ(?)

それと、健康情報コミュニケーション、といった視点から、マスコミと医師との付き合い方、マスコミへの情報発信の仕方といった点で、重々慎重じゃないといけないナァ...と改めて実感もしました。

コメントされている精神科医のうち、お二人を直接存じ上げているものですから...余計です(^^;。

天ちゃんの担当しているある患者さんの例。

「知人なんですけどぉ、いろいろ相談されちゃって...」

<...?>

「わたしは、1種類の抗うつ薬だけでここまで良くなっているからいいんですけどぉ...その方も”うつ病”らしいんですが、何種類もオクスリがたくさん出されていて、しかも 『よくならない』 って言うんです...」

<...はぁ...(?_?)>

「その方はこの病院(親病院)にかかってるんですネ、医師によって治療方針に違いがあるのでしょうか? だとしたら、不審感を感じても不思議じゃぁないと思いますぅ...(>_<)。」

...といった主旨のやりとりがありました(T_T)。

天ちゃんが週に1回、外来診療に行っている親病院の、別の精神科医師が担当している患者さん=この患者さんの知人、っていう文脈です...

この患者さんの知人の、別の医師の担当している患者さんは、上記の記事()を読んだらしい、です(>_<)。

(もちろん、天ちゃんの、この患者さんも...)

この例から察するに-この例だけから、ですが-読者に「不審感」や「不信感」を産み出しかねない記事内容、って言えるでしょうか(?)。

コメントされている女性精神科医師は...患者さん情報によると、多分、某公共放送で、依存性薬物としてSSRIを上げておられた方(?)らいしいです(違っていたらゴメンなさいm(__)m)。

(当該の番組放映後、3~4人の患者さんから、ご質問を受け、やはりいくばくかの-正直に書けば、結構-診療時間を使って対応を迫られました(>_<)。)

ご著書もあり、恐らく、この方のご著書をお読みになった、患者さんのご家族と大激論(?)したって記事は、過去にご紹介しました()。

疾患モデル~うつ病に引き寄せて http://blog.m3.com/tenchanoffice/20080117/1#comments
薬は対症療法か!? http://blog.m3.com/tenchanoffice/20080118/2
その続き http://blog.m3.com/tenchanoffice/20080121/2


なお...コメントされている女性精神科医は、ラカン派の精神分析家、らしいです。

上記記事()中、「時間のかかる精神療法」とは、深読みすれば...(ラカン派の)精神分析療法を意味しているのかも知れませんネ...

ただし、現時点では、過去記事の「その続き」中に記載した、認知行動療法(ないし、認知療法)と対人関係療法の有効性についてだけは、エビデンスがあります。

一方、(ラカン派の)精神分析治療のエビデンスは...天ちゃんの勉強不足で知らないだけかも知れませんが...です(^^;。

...とまぁ、いろいろと触れたいことはあるのですが...(^^;

ちょっと、天ちゃんなりに、校正(?)してみましょう(^^;。


精神科医師数に比して患者多すぎ

うつ病治療のいま(下)

 1人の精神科医が多くの患者に対応しようとすると、精神科治療において大事な薬物療法以外の治療が、どうしても提供されにくくなる。

 仙台市の女性(33)は2年半前、うつ病治療のために訪れた市内のクリニックで、初診なのに問診は5分程度。家族歴についても聞かれず、父親を自殺で失ったことも話せなかった。初診時に処方された薬は5種類で、中等症以上のうつ病治療に必須な抗うつ薬、うつ病の急性期に併用されることのある抗不安薬や睡眠薬などだった。ただし、処方意図についての十分な説明はなく、クリニックは患者さんで溢れていた。女性は「うつを良くし再発を減らすには、薬物療法だけと言えるような治療では不十分だと思う」と話した。(:人の発言を勝手に編集してスイマセンm(__)m。)

 薬物療法以外の治療が不十分であることへの批判は強い。働く人のうつ病治療経験が豊富な島悟・神田東クリニック院長も「薬物治療だけでなく、うつ病発症の原因となった他の要因に対する治療も併用しないとならない。再発予防を視野に入れた治療が必要である。」と話す。・・・(同上)・・・・

 「残念ながら、抗うつ薬のリスクへの認識と患者さんへの十分な説明が足りない医師もいるだろう」と指摘するのは、田島治・・・教授・・・だ。「今、世界で最も多く使用されているSSRI(・・・)は、飲み始め時にイライラ・衝動が強くなったり、急に減薬・中止すると離脱症状を経験してしまうこともあり、十分な説明と注意の喚起が大事だ」(:人の発言を勝手に編集してスイマセンm(__)m。)

                  うつ病治療も多角的・重層的に

 ・・・とある。だが、3年前に田島教授が調査した結果によると、約200の・・・「100%」が48%で、この英国のうつ病治療指針に照らすなら、それに沿わない抗うつ薬の使用が、この3年前当時の時点で行われていた可能性が示唆されている。

 精神科医の・・・「うつ病治療では、薬物療法だけでなく、精神療法や環境調整を適宜組み合わせることが大事である。」「通常の外来精神療法だけでなく、認知行動療法や対人関係療法といった専門治療を受けることも役に立つ」「ただ、現在の診療報酬制度では、通常の外来治療ではこれらの実施は経営的に成り立たず、どうやって時間を必要とする精神療法を行っていくかは解決しなければならない重要な課題だ」と話す。・・・(略)・・・

抗うつ薬は単剤を十分量まで

 薬物療法については、違った問題点も見られることを指摘する声もある。

 富士電機・・・治療効果の上がらないケースを経験することがあるという。

 ・・・うつ病の薬物治療は、単剤(一種類)を症状の改善度に応じて徐々に増やし、効果が十分に得られなければ別の薬に変えることが推奨されるようになった。堀川さんは別のクリニックを紹介。その患者さんの場合は、SSRI1種類に絞り増量したことと通常の外来の精神療法によって、2ヶ月で回復、その後、堀川さんも加わって職場環境調整をはかり、職場復帰した。

 一方、レセプトを点検する・・・1割程度みられる」という。日本うつ病学会理事長・・・は「重症のうつ病の場合多剤併用が必要な場合があるが、軽症・中等症なら、まず単剤による治療を試みることが推奨されるようになってきている」と話した。     [記事:天ちゃん(^^;]


いかがでしょう... 不信や不審は軽減できたでしょうか...?

(このテーマ...続く、かも?(^^;)

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PS:参照先としてこのブログ等のURLとかを併載してくださっていれば、なお良いかも...??(^^;

追記:このブログの第一記事にすでに今日の記事に関連したテーマを述べていました。@08/05/21 http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060428/1

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天ちゃん先生、この記事を新聞で読み、複雑な思いでいたところです。例えば、「薬物療法だけでは治らない」と断定している点など、誤解を与えかねませんよね。しかし、鬱の病勢が強い時期の積極的精神療法は決してプラスにはなりません(支持的精神療法がとられますよね)。むしろしっかり服薬して、休養をとり、エネルギーが溜まってきたところで、環境調整を含む心理教育(?)を始めるのが筋道でしょう。いきなり精神療法を始める精神科医などいませんよね。また、初診時に簡単な家族歴くらいは訊くかもしれませんが、信頼関係を結ぶ前(診療契約を結びつつある時期)には深く掘り下げることはしない方が患者にとって負担が少ないと聞きます。
「鬱になった原因を掘り下げなくては治らない」ではなく、「治ればあれほど苦痛だった原因も何ともなくなってた」ということが実際には多いのではないでしょうか。そうでなくちゃ、せっかく(?)鬱というつらい体験をした意味がないじゃないですか。鬱をくぐり抜けて、少し違った自分になる・・・それが理想の治り方と私は思います。そうなるまでには精神療法も必要でしょうが、精神的な不調=精神療法が当然、薬物療法が先行するのは単なる薬漬け・・・という考え方が全国紙で披瀝されるのは全くもって憤慨です。
最近憤慨ばかりしていて、恐縮です(汗)
written by ちこ / 2008.05.21 21:20
話はそれますが・・・躁鬱病の躁状態と鬱状態の混合状態(?)ってよくあるんでしょうか?具体的には、ちょっと人格を疑うような誇大発言が頻繁で(元の人柄をよく知ってないと、「オレ様」タイプかと思われそう)、声は大きく怒りっぽく、不機嫌。エネルギーは少なく、退行的で自閉的、投げやりで悲観的。鬱の易怒性だろうか、焦燥だろうかとも思うけれど、やっぱり普段の人柄からしてかなりはみ出している感じです。躁鬱混合状態と見るのが妥当かと思いますが、本人は躁であることは頑として認めません。
今日は職場で不安障害の青年と雑談が出来ました。彼は最初は決して視線を合わせず、言葉も出ず、礼儀正しく硬かったのですが、少しずつ馴染んできたのか、最近笑顔が見られるようになり、今日は会計が終わっても帰りがたい雰囲気だったので、話しかけると・・・とっても饒舌にいろんな話をしてくれました。彼にとっては凄い一歩だと、先生も喜んでいました。
written by ちこ / 2008.05.21 22:09
私もその記事読みました
似たような意見はよくあります
「薬は悪、時間をかけて話を聞くことが善」
日々、精神科診療に身を投じていると
そういう記事が大々的に出ると、はぁ~またか・・・とためいきが出ます
私は不器用で、全く名も知られていない医者ですが・・・
でも患者さんには一生懸命向き合っているつもりです
患者さんとのやりとりの中で治療の方向性が決まります
なかなか治らない時期が長く長く続くこともあります
でも、辛抱強くついてきてくれる患者さんもいます
情報はひとつの情報として、あとはいかにそれぞれの患者ー治療者間に信頼を築けるか・・・でしょう
そう信じて、力を尽くすしかありません

ちこさんのうつの治療への考え方、まさに正しいと思います
そのとおり、今、何かにこだわりすぎているのは、うつのせいなのです。回復すれば楽になるのです。こだわったことがうつの原因ではなく、うつになったからこだわりが強くなっていることがほとんどです。
だから、まずは基本的な治療法(休養と服薬)を信じてほしい
回復してきて、社会復帰を前にして、そのときに残る不安には一緒に向き合いますよ

そんな治療過程が私の理想です

でも、ここでお話を聞けて
少し元気が出ますね
明日も頑張るか~(^^)
written by ハンナ / 2008.05.21 23:41
ちこ さん、ハンナ 先生、コメントありがとうございました<m(__)m>。
お昼時間に時間を取れましたので、コメントに刺激を受けて、記事をアップしました。
written by 天ちゃん / 2008.05.22 13:16
> 躁鬱病の躁状態と鬱状態の混合状態(?)ってよくあるんでしょうか?

うつ病の診断基準を満たすようなうつ状態と、軽躁病の診断基準を満たすような...文字通りの(?)躁うつ混合状態を経験されている患者さんも時に、主治医として経験します。
でも、余り多くはありません。

そうではない、うつ病の診断基準症状を2~3個とか、同時に軽躁病診断基準症状の2~3個とか、これらを同時に満たしているような状態にある患者さんは、結構よく主治医として経験します。
ご本人自身が、ちょっとキツクテこの状態を続けられないナァ~とおっしゃることも多く、気分感情安定(調整)薬を追加で処方することもあります。
なお、上記(↑)典型的な(?)躁うつ混合状態の際に使用される薬は、バルプロ酸ナトリウム、と通常されています。
ご参考にされてください。
written by 天ちゃん / 2008.05.22 13:22

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