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字数の関係で、2回に分けて、英国サマリタン協会メディア・ガイドラインを掲載しています。

引用元は、Akita Journal of Public Healthhttp://www.med.akita-u.ac.jp/~pbeisei/pdf/Akita%20Journal%20of%20Public%20Health%202(special%20issue).pdf)からです(フリーでダウンロードできますし、著作権は主張していない(?)ようですが、ご使用になる際には最低限引用元を明記されるのが良いと思いますm(__)m)。


英国サマリタン協会のメディア・ガイドライン(前半) ↓ http://blog.m3.com/tenchanoffice/20080513/3

 

(後半)

5.メディアに何ができるか

正確な情報に立脚した慎重な報道は、センセーショナルな報道とは全く意を異にするものである。大切なのは、一般大衆に自殺に関する情報を提供し、自殺についての認識を高めてゆくことである。
その報道を読んだり聞いたり見たりしたときに偶然自殺の危機にあるかもしれない読者/視聴者がその報道にどう反応するかを考えてみることが重要である。この報道によってそういった人々が自殺をする可能性が高まってしまうだろうか。それとも、なんらかの助けを求めようとする可能性が高まるだろうか。

6.使用する用語についての推奨

次のような用語を使用すべきである
・自殺
・自殺による死亡
・自殺未遂
・自殺既遂
・自殺の危険性がある人物
・自殺防止支援
自殺が複雑な問題であるという一般認識を高める。たとえそれがどんなに苦痛を伴うものであったとしても、たった1つの事件がきっかけで自殺を決心する人はいない。また、社会状況のみを取り上げて自殺について語ることもできない。1人の人間が自殺を決心するに至るまでには様々な要因が関係している。そのため、「深刻な個人的問題が原因で自殺せざるを得なかった」といった趣旨の描写をするべきではない。
専門家の意見を請う。サマリタン協会報道局(The Samaritans Press Office)は、自殺に詳しい著名な専門家を紹介し、また過去の事例に基づいて自殺をどう描写すべきかについてのアドバイスを提供している。
自殺に関する根拠のない通念を払拭する。こういった通念の正当性に疑問を投じることも、自殺に関する一般認識を高めるためのひとつの機会として捉えられる。
自殺のリスク要因を積極的に呈示する。自殺に寄与する要因について、医療専門家による討議を奨励する。
報道のタイミングを検討する。同時期に複数の人々が自殺で死亡した、というニュースは話題性や報道価値が高くなる。しかし「そのわずか数日後に新たな自殺者が・・・」という趣旨の報道は、複数の自殺事件の関連性を示唆するものであることから、特に注意が必要である。実際、自殺は1日当たり17件の頻度で発生しており、そのほとんどが報道されていないのである。
追加的な情報源や相談窓口を具体的に呈示する。記事もしくは番組の最後で適切な相談窓口を紹介することにより、自殺願望を抱えているかもしれない人々に対し、手を差し伸べてくれる人々の存在、そしてプラスの選択をする余地があることを示す。
自殺に関する報道が、自殺未遂者や自殺者の遺族に及ぼすインパクトを考える。自殺未遂者に対するサポートとしてはサマリタン協会についての情報を、そして自殺者の遺族に対するサポートとしてはThe Compassionable FriendsもしくはCruseについての情報を提供すると良いだろう。
自分自身のケアも忘れないこと。自殺の報道は、報道する側にとっても非常に大きな精神的負担を伴うものである。経験を積んだニュースレポーターでも、取り扱った題材と自らの経験との間になんらかの接点が見出されてしまうような場合は特に注意が必要である。そんな場合は、同僚や友人や家族、もしくはサマリタン協会に自らの心境を打ち明けてみると良い。

次のような用語の使用は控えるべきである
・自殺の成功
・自殺の失敗
・自殺の罪を犯す("commit suicide")(自殺は1961年に犯罪の枠から外されたため、commit(罪を犯す)という用語の使用は控えるべきであり、自らの命を絶つ(take one's life)もしくは自殺による死亡(die by suicide)という表現を用いるとよい)
・自殺犠牲者
・狂言自殺
・自殺に走りやすい人
・自殺の流行を阻止
自殺を簡単な説明で片付けてはならない。自殺に至った経緯は一見明白かもしれないが、たったひとつの要因や事件が原因で自殺という結果が引き起こされることは絶対にない。一時の情動やひとつの劇的な事件を根拠に自殺を語ろうとする報道には問題がある。ニュース特集などを通じ、自殺が起こった背景事由の詳細なる分析を提供すると良い。
自殺の現実を軽んじてはならない。自殺未遂者が即座に健康を回復したような印象を与える報道やパラエタモールの過剰摂取は「肝機能が徐々に失われて死に至る
というかなりの苦痛が伴う自殺手法であるという現実を曖昧にしたうやむやにした報道は危険である。
報道においては、自殺の具体的手法を明示することは控えること。ある人物が一酸化炭素中毒で死亡したという報道そのもにには危険性がなくても、自殺の実行手順や仕組みに関する詳細な報道は、自殺の危険性を持つ人々による後追い行為を誘発しかねない。過剰摂取のために用いられた錠剤の種類と数を明記する際は特に注意が必要である。
自殺を美化したり空想的に描写したりしない。コミュニティー全体が悲しみに暮れる様子に焦点を当てたような報道は、そのコミュニティーが死者の死を悼むというよりは、自殺行為に敬意を表しているような印象を与えかねない。
自殺によってもたらされるプラスの効果を必要以上に強調しない。自殺によって人々に後悔の念を呼び起こさせることができる、あるいは自殺することによって褒めてもらえる、といったような、自殺がなんらかの成果をもたらすような印象を与える報道は危険である。たとえば、子どもの自殺や自殺未遂が結果として別居夫婦の和解につながった、あるいは学校のいじめっ子が公然と非難される結果となった、という主旨のソープオペラや新聞記事は、似たような状況の子どもたちに対し、自殺がひとつの魅力的な選択肢であるという印象を与えかねない。

7.事実の報告に関する指針

上述の一般ガイドラインに加え、自殺の事実を報道するジャーナリストが検討すべき特別な事項がいくつかある。

ニュース報道
自殺の報道や特集には、慎重且つ細心の注意が必要である。報道においては自殺の具体的手法(服用された錠剤の数等)に言及することは控えるべきであり、自殺と関連性のある劇的な写真や映像の使用は可能な限り回避すべである。自殺の経緯を確認もしくは再現する場合は、実際に自殺に用いられた手法の具体的描写は回避し、ロングショットや画面の転換などといった手法を使用するのが望ましい。
相談窓口を通じたサポート
ある特定の番組や記事が視聴者や読者に多大な影響を及ぼすことは少なくない。そのため、相談窓口あるいはその他の形式のサポート提供が望まれる。(サマリタン協会の連絡先は***(略)******)
プラスの効果
自殺や自殺に関わる問題を強調する上でプラスに働いた番組や記事が存在することを忘れてはならない。

8.自殺についての劇的描写

登場人物
自殺行為に影響を及ぼす重要な要因のひとつとして挙げられるのが、登場人物の選び方である。その登場人物に視聴者が自らを重ねてしまったような場合、後追い行為が誘発sれる可能性が高まる。その登場人物が若くて思いやりのある人物であった場合は特にこの傾向が強くなる。自殺のリスクは若年層ほど高く、メディアの影響力も若年層において最も強いと考えられている。
死ぬ方法
服毒や飛び降り自殺などのような単純な自殺方法は、模倣も容易である。介入が困難な自殺手法やその具体的手順(排気管にホースを挿入する など)についての描写は回避すべきである。自殺手段についての具体的説明は内容の如何を問わず危険である。
フォローアップ
登場人物の自殺もしくは自殺未遂の後、本人及び周囲の人々にどういった変化が起こるだろう。自殺を図った登場人物が美化されるような内容、あるいは自殺/自殺未遂によって困難な状況が解決方向に向かうことを示唆するような内容は特に危険である(「こんなことになってしまい、みんなが後悔している」など)。自殺を取り巻く様々な感情がくまなく取り上げられ、その他の登場人物の声に耳が傾けられているだろうか。
放送時間
放送時間や放送日を考える必要がある。クリスマスやバレンタインデーは、自殺の話題に特に敏感になりがちである。また、放送時間に相談窓口やサポートが提供されているかどうかも検討する必要がある。自殺リスクを抱える人にとって、祭日や週末や深夜は相談相手のいない時間帯である可能性が高い。
相談窓口を通じたサポート
相談窓口についての情報を提供する告示の掲載を検討する。サマリタン協会は24時間相談を受け付けている:***(略)***

9.何をすべきか、そしてサポートの存在

自殺の危険を抱えていても、感じ方や反応の仕方は人それぞれである。そのため、ある人物が落ち込んでいるかどうか、あるいは自殺を考えているかどうかを判断するのは非常に難しい。しかし、前述の通り、自殺の危険性を示唆する要因がいくつか存在することも確かである。自殺の心配がある人がいる場合は、専門家や知人に相談するよう本人を説得し、あるいは友人、隣人、家族、教師、一般医、医師、サマリタン協会など、話を聞いてくれそうな信頼の置ける人物に自分の気持ちを打ち明けてみるよう説得してみるとよい。力になれる人が存在するはずである。

サマリタン協会
サマリタン協会は年中無休・24時間体制で自殺の危険を抱える人々に対し、秘密厳守で精神的サポートを提供している。訓練されたボランティアが、批判や説教を交えることなく相談者の話に耳を固めうけるというシステムである。2000年、サマリタン協会は480万件の相談を受けており、これは毎秒7件の相談があったことを意味する。サマリタン協会(***(略)***)へはイギリス国内どこからでも市内通話の料金でコンタクトできる。アイルランド共和国での番号は***(略)***である。サマリタン協会の支部を直接訪問することも可能である(サマリタン協会の支部の住所と電話番号は地方の電話帳に掲載されている。)。Eメールでの相談は***@***で、書面での相談はサマリタン協会, PO Box90 90, Stirling, FK82SAで受け付けている。その他の相談窓口サマリタン協会General Office(******)は、その他の窓口相談についての情報も提供している。

自分自身のケア
自殺願望を持つ人にサポートを提供する人たちは、自分自身のケアも欠かしてはならない。

10.コメント

「ドラマなどでは、自殺の手法に必要以上に固執することは避けるべきである。また、自殺行為/行動を見世物にしたり美化したりするようなドラマや、自殺によってもたらされる正の効果を過剰に強調するようなドラマについては、編集にあたって細心の注意が必要である。ニュース報道において自殺は正当な題材であるとは言え、事実を詳細に報告することが自殺を助長する結果となる場合もある。自殺を美化したり、簡単な説明で片づけたり、遺族の悲しみを逆手に取ったりするような報道は控えるべきである。また特別な事情がない限りは、自殺手法の詳細な説明や図解による例示は回避すべきである。特殊な手法で自殺が図られている場合にはとりわけ注意が必要である。」
BBC Producer's guidline

「第4チャンネルにおける番組支援は、常にサマリタン協会との協力関係を重視してきた。自殺の危機にある視聴者らに最良のサポートを提供するという第4チャンネルの任務を全うすることができたのは、「ブルックサイド(Brookside)」や「特派(Dispatches)」などの多岐に渡る番組制作においてサマリタン協会の専門知識を得ることができた賜物である。」
Kate Norrish, Editor Programme Support, Channel 4

「これらは素晴らしいガイドラインである。メディアとしての責任が果たせているかどうかのチェック機能を果たしながらも、メディアの独創性を損なうことなく、また「視聴者の自分で考える力」を過小評価していない。」
John Yorke, Executive Producer, EastEnders

11.参考文献

(全部で12文献が掲載されている~略~)

:本ガイドラインの翻訳は中山がサマリタン協会より許諾を得て行った。原文はサマリタン協会(http://www.samaritans.org/)の以下ページより入手可能である。サマリタンは1日24時間を通じて、苦悩や絶望を感じている人、自殺をしそうな人への、感情的なサポートを提供するためのホットライン(電話相談)を行っており、公認慈善事業としてイギリスで登録されている。
本ガイドラインのアドレスhttp://www.samaritans.org/media_centre/media_guidelines.aspx

 

なお、上記URL()では、すでに(!)2005年、2006年版のガイドラインがPDFでアップされていました(さぁ~すがぁ~ですネ(^_^)v)。

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