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小児科医 中原利郎先生の自殺をめぐる裁判の続きを書きます。
「事例検討会」では、行政裁判と民事裁判の判決文の骨子が紹介されました。
(http://blog.m3.com/tenchanoffice/20070611/1)
配布された資料から、天ちゃんの責任で抜粋要約しながら、以下にご紹介しま~す。
<行政裁判判決>
①うつ病発症前に、2名の小児科医が退職を表明し、日宿直当番の調整の責務と
補充医師確保の責務とが発生した。
これらは早期の解決が必要だったが相当に解決が困難な課題であった。
「ノルマが達成できなかった」「同僚ないし部下とのトラブルがあった」に相当し、
心理的負荷強度はⅡ。
②月8回の当直による睡眠不足と休みの取れないスケジュールは、労働者の疲労回復に
もっとも根本的な方策である睡眠を奪う危険性を有していた。
「勤務・拘束時間が長時間化した」に比すべきストレス要因で強度はⅡ。
なお、当直中の診療内容を詳細に検討した場合、宿直勤務において実際に診療した患者数は
必ずしも多いとは言えないが、実際に6時間程度の睡眠を取り得る程度の仮眠可能時間がある日は、
3月の宿日直でも3日ほどしかなく、診療の多くは睡眠が深くなる深夜時間帯におけるもので、
十分な睡眠を確保できるものではなく、多数回にわたる宿直当番は睡眠が奪われる危険性が
高まると言えるとした。
さらに、宿直明けに必ず休日が保証されていたわけでなく、3月から4月にかけて、
宿直明け連続勤務は3日あり、1ヶ月間の時間外労働時間も83時間超で、全く勤務から
開放されていた日も2日だけだった。
3月の勤務スケジュールを前提として、以上のような宿直勤務月8回の業務性質を見れば、
社会通念に照らして、心身に対する負荷となる危険性を有する業務であった。
③2名の医師の退職後の勤務状況は、「部下が減った」及び「部下とのトラブルがあった」のレベルⅡ。
④もう1人の小児科医が退職を仄めかしたことに伴う医師の確保作業はⅡ。
⑤業務外の出来事や要因としては、本件全証拠に照らして、子どもの受験に伴うものの他にない。
⑤個体側要因として、生活習慣病に罹患した者がうつ病を発症しやすいとの関係を基礎付ける
知見が形成されたとは認めるに足りない。
(心理的負荷強度がⅡって?:http://www.jil.go.jp/kisya/kijun/990915_01_k/990915_01_k_hyou1.html)
(以上の判決文要旨:http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/070317hanketsu.htm)
では、民事訴訟判決の骨子はどうだったでしょうか?
以下、青字にした部分は、天ちゃんが「えっホント?」って率直に疑問を感じた点です。
<民事訴訟判決>
①労働時間は、時間外総実労働時間および空き時間に横になれたことを考えると、
「著しい」身体的、心理的負荷を与える程度の長時間労働であるとは評価できない。
②当直回数は多いが3月「だけ」である。4週間で見ると、ずっと以前から5~7回当直していた。
当直回数で見れば、産婦人科の方が多かった。小児科のアンケートでも、月6~8回の施設が
13%存在するから「突出して多いとまでは言えない」。
当直中は、深夜帯に、6時間以上のまとまった空き時間のあることが多かった(1月から8月で
70%、2月から4月では85%)。(なお、天ちゃんがご質問したところ、この70%、85%と
当直時間を「間引いた」根拠は、裁判の全証拠・全経過を通じて、それを
立証・裏付ける証拠や情報はなかったとのこと(@_@;)
つまり裁判官の独自判断ってことらしいです。)
振り替え休日が存在した。
③全国平均に照らして入院患者受け持ち数は少なめだった。
④外来患者数は、全国平均より多い月もあるが、平均で1外来当たり2名程度多い「だけ」だった。
午後は予約外来で調整が可能だった。よって、外来患者数の推移をことさらには重視できない。
⑤退職した医師1名は、2月は嘱託医で残っていたし、休職中の1名が復帰したので、
負担は前月より軽減された「はず」である。
最も医師の少なくなった4月の労働時間がピークなわけでないので、常勤医師の退職と
時間外労働時間の増減が必ずしも連動していない。嘱託医やアルバイター医師、当番なしとする
などによって緩和された面があるし、人員の増減による一時的な変化とも言い得る。
3月には、アルバイター医師などへの依頼を増やすことが「不可能とまでは認めがたい」。
依頼が制限されていたという明文もなく、当直の割り当ては本人が行っていたし、4月から
増やしたから、依頼が不可能だったために常勤医の負担が増えたとは認められない。(だから?)
⑥部長代行就任は当初やる気に満ちていた。長年働いていた職場で経験年数もそれなりにあった。
前部長が診療に来ていて相談相手がいた。医師確保のために奔走していた事実は「認めがたい」。
同僚医師の退職騒ぎも「一時的なもの」だった。会議の負担も月1回1時間程度で、「代理も可能
だったから」過大な負担でない。カンファは「病院から開催を指示されたものでもなく」、進行役が
部長代行だったとしても、過大な負担とは言えない。個別に科に対して責任を追及するような
やりとりはなかった(この根拠は病院側の陳述書)。
⑦小児科の業務は一般的に負担は軽くないが、そのことのみから過重とは言えない。
⑧業務外の要因としては、生活習慣病罹患が心理的負荷になり健康面の不安があった。
金銭問題が一定の強い心理的負荷になっていた。
民事訴訟の判決文を読んでいると...結論先にありき!?
...と天ちゃんには思えてくるのですが...(^^;。
「支援する会」では、小児科医の調査協力者を求めています。⇒http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/chiyousahuyou.html
(つづく)
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