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今日の午前中は、外来でした。
うつ病エピソードの方が多く、長い、躁うつ病を抱えたSE(システム・エンジニア)さん。
天ちゃんの外来を慕って(?)移ってきてくださった方なんですが...
3月以来、中等症~軽症のうつ病の状態から、一向に改善の兆しが見えません(>_<)。
ちなみに、うつ病の重症度は、うつ病の診断基準症状の数の多さと障害の程度で判断します。
(うつ病の診断基準症状:http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060912/1)
軽症~うつ病を診断するのに必要な症状の項目数(=5)以上で余分がほとんどない。職業的機能、日常の社会的活動、人間関係面の障害はわずか。
重症~診断に必要な症状の項目数より数個の余分があり、かつ、職業的機能、日常の社会的活動、人間関係面の障害が著しい。
中等症~軽症と重症の間(^^;
薬物療法は、もう十二分に提供しており...正直、限界、です。
<薬物療法は、正直、限界...。>
<うつ状態を持続させているもの、改善のネックになっているものに、思い当たるものは
ありませんか?>
...ということで、詳しくお聞きしてみてビックリしました。
現在配属中の職場(X社とします)の「上司」からは...残業200時間は当たり前!
それで倒れたりすることはない。
...と常日頃言われているとのこと。
(ちなみに、X社は、読者のみなさん全員がよくご承知の某有名企業です。)
そればかりか...安全配慮義務がどこにあるのだろう? ってことでお聞きしてみると...。
このSEさんは、仮にA社と呼びますが、そのA社の正社員、です。
ご本人も、「うまく説明できませんが...(^^;」、A社とX社の間に、2つくらい(?(^^;)の会社
が間に入った業務契約(?)委託(?)関係になっているらしく...
かつ、
「労働協約」めいたものは、「見たことがない」んだそうです(@_@;)。
ですから、上記「上司」はあくまで「上司」であって、上司でない。
SEさんに対して、業務上の指示を出すのは、X社の1つ手前(?)の会社の「上司」なんだそうです。
たぶん、法的には、安全配慮義務は、直接正社員契約しているA社と、
業務上の指示出し/指示受け関係になっている、X社の1つ手前の会社に、あるのでしょう(??)。
今月に入って、ことのほか業務が忙しくなっているとのことで...
「このペースなら、時間外労働時間は月間200時間を超えるでしょう。」
...とのことでした(>_<)。

天ちゃんは、おもむろに、この図(↑)を、SEさんにお見せしました。
この経営側の研究所の調査結果から...
月間残業時間80時間は、60時間以下に比べて、自殺リスクを少なくとも約2倍に高める
ことが明らかに示されている、ってことです。
X社の「上司」の認識は、明らかに誤り!で、
長時間、過重労働は、メンタル不全の発生リスクを有意に高めることは、医学研究ですでに明らか!
...ってことです。
...けれども、これだけ明らかな医学研究結果があるにも関わらず、
狭義の、精神科「医療」では、このSEさんをこれ以上、良くしてあげることは、
率直に言って、不可能です、精神科「医療」の限界を認めざるを得ません。
過去10年、狭義の精神科「医療」の限界、を日々感じるチャンスが増えています。
★過重労働対策NAVI★
知り合いの弁護士さん(!)から、過重労働とメンタル不全に関する医学研究の到達が知れる、良いサイトをご紹介いただきました。
EBMに沿った、有用性の高い情報を提供していると判断しました。
さっそく、リンク先に、貼っておきました。
読者のみなさんも、ご活用くださいマセ~♪
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コメント
コメント一覧
基本的にこのような異常な労務実態が発生するのは、エンドユーザのわがままと、業界構造が原因と言えます。たまに不幸なプロジェクトに当たったんですね、とおっしゃる他社の SE さんもいらっしゃいますが、きっとそういう SE さんは、元請けで下請に丸投げしていて、プロジェクト管理もまともにしていない方なんでしょうね。
「うつ状態を持続させているもの、改善のネックになっているものに、思い当たるものは
ありませんか?」と私が聞かれたら箇条書きで答えることができますよ。
・エンドユーザが無理な納期を強制する。
・エンドユーザが納期を前倒しするように強制する。
・エンドユーザがプロジェクトがもう走り始めているのに平気で仕様変更を強制し、納期の変更は許さない。
・エンドユーザがプロジェクトを管理しない。当然他の下請企業との連携がうまく行かないので、プロジェクトは遅々として進まない。
・「昔のエンジニアはどうこう」という説教でプレッシャーを与えられ、異常な残業・徹夜・泊まり込みを強制される。
・納期厳守を強制されているため、異常な残業・徹夜・泊まり込みを強制される。
・もともとシステムは完全でなければ動かないので、否でも「すべき思考」「完全主義」に犯され、鬱を発症しやすくなる。
・挙げれば切りがないので、後は etc.
ちなみに天ちゃん先生もすでにデータは手にいれてらっしゃると思いますが、情報処理業界では鬱病の罹患率、自死率が非常に高いです。しかも借りに鬱病になったりしたらポイッと会社から捨てられる、そんな職業でもあります。経営者やお役所は鬱になろうが、自死しようが本人の「脆弱性」ということでハイ終わり、ですから。
結論からいいますと、その患者さん、SE をやめないと直りません。私も SE をやめて、認知行動療法を始めて、やっと鬱症状がほぼ消失しましたし。
60時間以下と80時間以上を比べた場合、およそ2倍のオッズ比、というのが正確なので、修正しましたm(__)m。
無明さんが箇条書きにされた諸点は、どれもこれもSEさん達からお聞きしたことがあるものです。
医者(医学者)である天ちゃんたちにできることは、できるだけ正確な医学情報・健康情報を提供することに尽きるのでしょう。
けれども「広義」の精神科医療という視点から、あるいは社会リハビリテーションという視点から、労働法制等を文字通り改善するよう要求していくことも医者(医学者)としての責務ではないか? と考えるようになってきています。
沖縄の海先生はいかがおかんがえでしょうか?
(コメント修正させていただきました(^_^)v。)
労働安全衛生法の第66条の8(面接指導等)には「事業者は、その労働時間の状況その他事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定めるところ(面接指導の対象となる労働者の要件として、1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることを定める)により医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう)を行わなければならない。
第66条の8、その2、労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業所に提出したときは、この限りではない。
第66条の8、その3、その4、その5、と続きます。
これを読む限りにおいては、かなりのところまで踏み込んでいると思いますが、いかんせん長時間労働させられている労働者本人が医師面接指導を受けたいと申し出る場合だけ義務化されており、それ以外の場合は努力義務となっているようです。先生の「労働法制等を改善するよう要求していくことも医者としての責務ではないか」という意見に賛同しますね。
その職場の産業医と精神科医との連携も大切ですし、産業医も「メンタルヘルス」が不得意ならもっと積極的に精神科医を活用されればいいと思っております。
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