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臨界期の治療(4)

天ちゃん / 2007.05.31 23:55 / 推薦数 : 2

つい飛び飛びになってしまう(^^;、統合失調症臨界期における治療について、もう少し記事にします。

前回の記事:http://blog.m3.com/tenchanoffice/20070524/1

個室を使用していた男性患者Aさん
ナースコールが押されれば、看護師は訪室し、対応する。
また、ナースコールが押されれば、看護師は訪室し、対応する。
...これはどこでも(?)見られる光景です。

入院時点よりは、幻聴や妄想などの「陽性症状」は軽減しては来ているのに、治りが今ひとつ...?

看護師さん同席のもと、Aさんに口頭で主旨を説明し、ナースコールをオフにさせてもらい、
看護師が訪室する時間を固定させていただく。
個室の壁に、主旨と看護師の訪室時間を、ポスターにし掲示しました。

そうすることで、回復期前期に移行できたようです。

この例は、ナースコールでしたが、ご家族との電話が同じパターンになっていた例もあります。
患者さんからの電話にご家族が対応するのではなく、定時にご家族から患者さんに電話していただく。
それで、病状が回復したって経験もあります。


罪業妄想--自分はいけないことをしてしまったので罰せられねばならないという訂正不能な確信-
が強く激しかった患者さん。
病院の近くにある神社に、百日参り、していただくことを日課に。
そうしているうちに、回復期前期に移行できたと思われた患者さんもいます。
こういう割とシンプルな(?)日課を、仮の座標軸づくり、と師匠いわく。
仮の座標軸づくりとは...
急性期という安定状態(ホメオスターシス)からだいぶ良くなってきて、現実がうっすらと(?)
ほの見えてきた。
けれども、現実軸には、まだ戻る準備はできていない。
現実に戻りきる前の、当座の着地地点、とでもいった感じです。
仮の座標軸空間で時を過ごしながら、現実的な諸問題を、患者さんと共に処理することが、
一方で同時に必要です。

逆に...
ポ~ン! と外泊に出ていただくこともあります。
急性期状態と言う、ワケの分からない(?)世界から、一挙に正気づいていただく...
そんなイメージです(^^;。


自分のいない間に、自室に誰かが入ってきていたずらされている(被害妄想
としきりに訴える患者さんに、
<そりゃぁ大変だ、警察を呼ぼう!>
と、あるとき真顔で対応したら...
「...天ちゃん先生、それには及びません。放っておいてもだいじょうぶですから、やめてください」


「お腹の中に悪魔がいて悪さするんです、何とかしてください」(体感幻覚?)
<それは大変だ、悪魔退治の点滴をせねば。>
...ということで、抗精神病薬入りの点滴を連日すると同時に、下剤を処方しました。
便秘気味になって、お腹が張った体の感覚(体感)と、悪魔の悪さが関連していたようです。


後頭部の違和感(体感幻覚?)が苦痛なようで、クビをキコキコさせていた患者さん。
外科医の診察を仰ぎ...
<どうもクビが悪いようだから、2週間カラーネックをしなきゃいけないんだってぇ>
...ということで、看護師さんにカラーネックを作ってもらって、2週間安静を指示しました。
(対人刺激で病状が良くならないという読みで。)


ちょっと若気の至り(?)もあって、悪乗りし過ぎの感じもするような対応もあったでしょうか...(?(^^;)

最後の2つは、臨界期には身体症状が出やすいので、その身体症状に見合った「病気」になって
いただいて(?)...
その「病気」に準じた治療を実際に行う、よく使った方法です。
体って、大事だナァ~というか、人間の精神と肉体、心とカラダってよく出来てるナァ~
って自然の不思議を実感したものです。


なお、実際に身体疾患にかかりやすい時期でもあります。
たとえば、虫垂炎で手術したり、薬で散らしたり(ちょっと素人言葉すぎ?)して帰院後は...
回復期前期に移行していた患者さんも経験しました。

この臨界期ってのは、中井久夫先生が、提唱したのですが...
今日の記事をお読みいただけば、お気づきかと思いますけど(?)、診療ガイドライン化できるような
ものではなく、まだ臨床経験を重ねている段階ってところです。
それでも、最適刺激入力量探し、とか、周囲の不適切な対応を変える、とか、
仮の座標軸づくり、とか...治療技法の分類・類型化はある程度できています。
...逆に、精神科臨床医の腕の見せ所(!)、と言えると思います(^_^)v。

臨界期については、まだまだ触れたいことがありますが...今回の記事で一旦区切ります。
やや詳細に述べてきたのは、臨界期をどう扱えるかが、予後を決めるのではないか
という仮説を立てているからです。

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