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< RE:marimomoさんへ(子供のうつ... | メイン | 精神科医の読み解く教基法(4) >
前回の記事(http://blog.m3.com/tenchanoffice/20061110/2)では、新旧の前文を対比し、
教育の位置づけ、目的が根本的に異なっていると読めることに触れました。
ソモソモ論として...法律は主に国民が守るもの
憲法は主に国が守る(国に守らせる)ものである、と言われます。
これが、西欧で発達した「近代憲法」の原則だそうです。
では、「教育の憲法」とされる、この教基法は?
天ちゃんが思うに...前回の記事に記載したように、
①現憲法の制定と施行の狭間で、現教基法が制定されたこと、
②現行法はたった11条しかなく、教育の大方針だけを定めたものらしいこと、
③戦前伝統や愛国心を強調しすぎた結果戦争に突入した経緯があったため、
戦前の教育体制の反省の上に立ち「愛国心」「伝統」が一切書かれていないこと、
などより、
やはり、教基法は主に国が守るもの=教育に国家権力の介入が可能な限り入り込まないようにと、
制定されたものなのだろうと思います。
新旧対照表(文科省のリンク:http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/06042712/005.pdf)
を大づかみすると、
改正案第1条で(教育の目的)、第2条で(教育の目標)を規定し、目標を達成するために、
第17条で(教育振興基本計画)を「政府が定め」、「国会に報告するとともに、公表しなければなならない」
こととされています。
政府(国)と教育との関係も、改正案で、根本的に変わってしまうことが分かります。
現行法
第1条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第2条(教育の方針) 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
改正案
(教育の目的)
第1条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標)
第2条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するように行われるものとする。
1 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと
<新設>
(教育振興基本計画)
第17条 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び構ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
現行法第1条の「真理と正義を...充ちた」と、第2条の内容を整理「拡充」し、
改正案第2条にさまざまな目標を掲げ、そういう教育を「振興」するために、
基本計画を「政府」が定めて国会に報告・公表する...
という構成になっています。
これはまさに、その実態は目標管理制度である日本型「成果主義」とまったく同じ構造をしています。
目標管理制度は、トップ経営者の経営方針をブレイク・ダウンして、以下に組織上最下部の
一人ひとりの社員に、経営方針を落とし込む経営手法です。
つまり、改正案は、その第2条に種々掲げられた目標を達成するために「政府」が考えた方針を
生徒・学生一人ひとりにブレイク・ダウンして落とし込むことを唄っているわけで、
これまでの国(政府)と教育とのあり方を、根本的に覆そうというもの、と読めます。
さらに悪いことに! 目標管理制度が失敗に終わる一番の原因である、
経営者や上司を(逆)評価する手段を社員が持ち合わせていない構造と、
改正案は、これまた全く同一です。
日本型「成果主義」が、職域をより競争的にし、殺伐とした組織文化をともすると
産み出してしまったのとまったく同じ現象が、学校で産まれるでしょう。
現在起きている、教職員のメンタルヘルスの厳しい悪化、学生・生徒のうつ病やいじめや暴力の増加、
といった状況を決して改善しえない、
いえ! 却って悪化させてしまうことが必死の、構造になっているとしか読めません。
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『若者はなぜ3年で辞めるか』(でしたっけ?読んだのですがうろ覚えタイトル)にもありましたし、労働経済学をやっているものには周知の事実、賃金カットのための方便=成果主義。
教育基本法の改悪・・・だれが得をするのでしょう?
愚息は中2です。
学校の社会教育では職業観の教育で(!)①公務員②サラリーマンとずーっとさがって農業・漁業・・・。
公務員とサラリーマンがなりたくないもの、といってくれており、親はほっとしています。
この上は、いっそ留学して留学先で仕事を見つけてもらうかな。できれば技能職で。
だって、改正案の導く「未来」を予測してみれば...。
今後、記事にしようと思いますが、現行法を守り発展させた第3の教基法(?)があり得ると思うのです。
このまま最終的に成立するのかは全く予断を許しませんが、「出直し改正」か、現行法の趣旨を活かした「教育の再生」プランの策定か、と天ちゃんは思います。
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