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これまで「うつ病シリーズ」として記事にしてきた内容は、初回うつ病エピソード についてです。
うつ病は、気分(感情)障害のヒトツですが、このカテゴリーに含まれるものには、
F30 躁病エピソード・・・躁病のこと
F31 双極性感情障害[躁うつ病]
F32 うつ病エピソード・・・(初回)うつ病のこと
F33 反復性うつ病性障害・・・再発1回以上のうつ病のこと
F34 持続性気分(感情)障害
F38 他の気分(感情)障害
F39 特定不能の気分(感情)障害
中分類でみても、これだけあります。
(F○○というのは、WHOが臨床記述と診断のためのガイドラインとして用意したICD-10の分類番号です。)
(ICD-10の日本語訳も出版されています。)
近年、啓発が進みましたので、双極性障害 ってのは、うつ病の極と躁病の極と、極が2つあって
両者を反復するのが本質的な病態である。
というのは、読者のみなさんももうご存知のことと思います。
精神科の治療は、薬物療法、精神療法、生活療法あるいはリハビリテーションを、多角的・重層的に
組み合わせながら進めるのが常識になっています。
躁うつ病、うつ病、反復性うつ病 は、どれも気分感情の障害が中心的な病態と考えられている
気分(感情)障害ですが、薬物、精神、生活療法の内容と組み立てが大きく違ってきます。
躁うつ病は、おいおい別シリーズとしてご紹介していくつもりですので...(^o^)。
今日は、初回うつ病と反復性うつ病の違いについて、ご紹介しようと思います。
うつ病が初回だろうが、2回目だろうが、×回目だろうが、うつ病と診断する際には、
可能ならMINIといった構造化面接で診断します。
つまり、1回1回のうつ病の診断基準は、同じ、ということです。
初回うつ病の場合については、今回シリーズ化してご紹介してきました。
では、反復性うつ病の場合は、今回のうつ病以外に、過去にうつ病と診断できる経験がある、
ということで診断します(うつ病の2回目以降、すべて反復性うつ病 ってことです)。
反復性うつ病の場合でも、全体の経過は、ほぼ同じ、です。
うつ病の場合、良くなったり悪くなったりしながらだんだん悪くなっていく、病初期の前に、
生活上の出来事(ライフイベント)をたいてい経験されていることが多いのですが、
うつ病を繰り返すほど、このライフイベントの重要性が小さくなることが知られています。
つまり、だんだん些細な出来事で再発するようになり、場合によっては、
な~んにもキッカケらしいものが見当たらないのに再発するようになっていく、という現象が知られています。
この再発のしやすさを、再発準備性とでも呼んでおきます。
初回うつ病の場合、再発予防[維持]療法の期間は、専門家のコンセンサスが十分得られてないが、
最少6ヶ月間、と記事にしました。
反復性うつ病の場合、この再発予防[維持]療法の期間が、違い、ます。
これも、専門家によって十分にはコンセンサスが得られてないですが、
天ちゃんは、
・今回が初めての再発の場合・・・・3年間
・今回が2回以上目の再発の場合・・・・一生かも?
と、患者さんに説明しています。
抗うつ薬の服用を継続することで、明らかに再発率が低らせることが分かっています。
しかし、定期通院と服薬継続 と 再発リスク とを秤にかけながら、共に見出していくしかないですねぇ。
精神療法や生活療法の点でも、違ってきます。
医療資源の効率的な配分、という視点から、初回うつ病では認知行動療法を積極的にはお勧めしていません。
しかし、うつ病の2回目の場合、少し積極的に、3回目以降の場合、必須の治療として、
認知行動療法を提案しています。
抗うつ薬の服用継続も、再発準備性を減らしてくれますが、
将来的な減薬、天ちゃんのクリニックからの卒業
を視野に入れれば、再発準備性を減らす方法は、治療効果の5%程度に過ぎないとも言われますが、
認知行動療法をおいて今のところ他にエビデンスがありませんので...。
そして、この部分を、よき相棒の心理士さん、
デイケア・スタッフの作業療法士や精神保健福祉士さんたちが
担ってくれています。
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天ちゃんの最後の木曜日午後外来(再来)が終わりました。
来週から、親病院の若手医師-当クリニックにとっては非常勤医-が、診療します。
当クリニックは ちっさ~いので、2診体制にするのに躊躇したうえの決断です。
若手精神科医が、一人前の外来医に成長するまでのプロセスも、記事にできたらぁ なんて...
ネタがまたヒトツ みつかりました(?)。
今日は、うつ病シリーズをお休みして...(^O^;
出版(?)直前の書籍をご紹介したいと思います。
タイトル:過労自殺の原因分析-精神科医南雲與志郎鑑定意見書集-
著者:南雲與志郎
発行者:過労死弁護団全国連絡会議
定価:2100円(本体2000円+税)
今日、過労死弁護団のオヤブン! から、天ちゃんのところに謹呈いただきました(^o^)。
そのオヤブン! から、広く、とりわけ精神科の先生に普及していただけたら ってメモがあったので、
この場は、あまりふさわしくないような気もしますが、こうして臨時で記事化しちゃいました(^O^;。
職域のメンタルヘルスをテーマにした記事をいくつかアップしてきましたが、
割合アクセス数が伸びたりするので、
この「天ちゃんの研究室」の読者の皆さんの中にも、ご興味をもっていただける方が、
きっといらっしゃると思いましたので...。
(事案のほとんどが、うつ病に罹患していたと推定されているので、うつ病シリーズに通じますし(^O^; )
序で、鑑定意見書作成のポイントが紹介されています。
あとは、この間、過労自殺裁判で原告側にたって南雲先生がお書きになって来られた、
8事案の意見書および私的鑑定意見書が、ソックリ掲載されています。
事案ごとに、南雲先生のワンポイント、担当弁護士さんの解説がつけられています。
以下、少し長いですが、「あとがき」から引用いたします。
「過労自殺についての本は数冊出版されているし、事例を扱った本もある。しかし、精神科医の医学的意見書をまとめて読む機会はなかった。医学的というといかめしいが、私の意見書は過労自殺の事例の詳細なドキュメンタリー、物語として一般の方にも読んでいただけると思うし、仕事の上で何故病気が起こり、自殺にまでいたったかの具体的な状況が少しでも判っていただければ幸いである。それは決して、弱者のみじめな悲惨な話ではない。亡くなれた方々はほとんど頑強であり、まじめで責任感が強く、優秀な企業戦士であった。人間的にも優しく、常識的な社会人である。生命を大切に思う家庭人でもある。それが、何故自殺にまで追い詰められていったのか、その疑問を解くのが私の仕事でもあった。」
8事案とも、マスコミでも裁判状況が取り上げられた事案です。
たとえば、ソース製造現場リーダー、自動車生産部門設計者といった事案の鑑定意見書を読むことができます。
ご注文、お問い合わせ
過労死弁護団全国連絡会議事務局http://www.karoshi.jp/まで。
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診療報酬マイナス改定の「症状」 の記事中に記載した、他院に転院されていた患者さんが、
また天ちゃんのクリニックに通院してくださることになりました(^o^)。
関連記事:
・06/05/26 診療報酬マイナス改定の「症状」http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060526/1
この患者さんの症状経過をお聞きしていて、うつ病の全体経過図について
補足が必要なことに気づきました。
ので、今日は、「自律神経嵐」 について記事にしま~す。
Krainesが図式化した図ということでしたね。
病相を①~⑥に区切って、各病相の症状にどんな特徴があるかを記述しています。
臨床医にとって(したがって患者さんやご家族にとっても)、大変役立つ 導きの糸 なんですが。
天ちゃんは、追加が必要と思っています。
それが、自律神経嵐の時期、です。
病気の最初期(①)、最終期(⑥)の時期に、さまざまな身体症状が出現することがままある。
という医学的事実、をKrainesの記述に加えるべきと思っています。
冒頭の患者さんについて言うと、
この9月に入ってから、持病の喘息発作が続き、内科医院に臨時受診を繰り返している。
とご報告いただきました。
患者さんによっては、内服薬の副作用が急に目立つような状態になったり、
円形脱毛症ができたり、風邪みたいな症状が出現したり、
足の付け根のリンパ腺がグリグリ腫れたのに原因不明だったり、果ては、虫垂炎(盲腸)に
なったりしたことまでありました。
(対症療法で、身体症状が改善した頃には、本格的にうつ病 か うつ病の寛解、です(^o^)。)
病初期の 波 は、気分、感情だけでなく、行動、思考力、食欲、睡眠...といった
各症状が、日によって、時間によって、それぞれバラバラに、
良くなったり悪くなったりする、という現象が見られます。
体温や脈拍数といった基本的な生理的指標すら変化します。
これは、自律神経系や免疫系も、病初期と回復期には、激しく変動するから、と考えられています。
(これらの変動が、ご本人には主観的に本当にキツイ、という状態を産み出しているワケです。)
だから、自律神経嵐、と呼びます。
改めて、精神疾患は全身病である、という感慨の湧く現象ですネ。
身体症状に見合った身体科精査による所見が無い場合、精神疾患を疑おう!
というモットーの根拠のヒトツでもあります。
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yoccyanさん、うつ病は「脳という内臓の病気だ」は、天ちゃんも説明でときどき使っています。
日本の精神科の医師が、あちこちでいろんな工夫を凝らしているんですねぇ。
「うつ病シリーズ」(?)もだいぶ回を重ねてまいりました。
今日は、休職からの「職場復帰」について、患者さんに説明している内容をご紹介しま~す。
原則原職復帰ですが、職場要因が主な原因で、休職に至った場合、復職時に
その職場要因が改善していなければ、再発は必至! ですね。
ですから、その場合は、事業所側に職場要因の改善も求めてみるのですが...
それでも無理な場合に限って、ご本人の意向をお聞きいただきながら、
配置転換、ってことになることも時にあります。
以上の例外があることを知っていただいた上で、天ちゃんのオリジナルな図(!)で説明しましょう。
うつ病が回復した時点で、
<病前の気力、体力を10割として、このところの暮らしぶりから何割回復でしょうか?>
とお聞きして、「社会的役割遂行能力」が、在宅リハビリ開始時にどの程度か評価します。
体力の上に気力が、気力の上に知力が、知力の上に、家事・育児・職務といった専門能力が乗る。
ということで...
そこから、まず日課に体力づくりのメニューを入れていただきます。
たいていが、自宅周辺の5分散歩、です。
後は図に示したように、2週間ごとに日課や週間スケジュールを共に見直していきます。
2週間ごとが無難と思うのは、1週目のプログラムで過ごして、疲労の持ち越しやうつ状態のぶりかえし
がないことを確認した上で、2週目に、3週目移行のプログラム・メニューを計画できるからで~す。
以上の繰り返しの結果、主観的に最低でも病前8割以上、理想を言えば10割に達したところで、
いよいよリハビリ勤務の実施です。
(傷病手当給付金を受給しながら職場に出ることを、リハビリ勤務、と呼んでいます。
休職中ですから、通勤途上などで災害に見舞われても、通勤災害として労災補償されない点など注意が必要です。)
前記したように、こういったプログラムをプランするときに、復帰後の職務内容=ゴールが、
明確なほど、より現実的なメニューを工夫しやすいです。
この時点から、復職支援プランの一環として、具体的な復職までの
詳細なプランを持参してくださる事業所が増えてきました(^0^)。
この場合も、上記したように、2週ごとに、まずは仕事の量(時間)的アップ、
次いで質的アップを少しずつ、波に注意しながら、進めていただくようにしています。
このペースに会わせて、職場上司の方も、初日、3日目、1週間前後、以後1~2週間前後間隔で、
ご本人に声かけくださって、プランの遂行状況と微調整をしてくださるところが増えてきました(^0^)。
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正確なタイトルは覚えてないですが...
昨日、「驚異の脳内物質 ここまで分かった」みたいな特番が放送されていました。
レポーターのお一人が竹下景子さんでしたが...相変わらずお美しく...。
天ちゃんが、駆け出しの精神科医の頃、ある臨床論文を纏め上げ、ご校閲をお師匠にお願いしたところ、
新宿某所の飲み屋に来い! ということで、出かけたところ...
フト気づいたら、お師匠のテーブルに竹下さんがいらっしゃって...
あの頃と変わらない美貌を保つには、それなりの努力をされているんでしょうねぇ...きっと。
のっけから、脱線しちゃいましたネ(^O^; 。
さて、うつ病は心の病! とかいうキャッチ・コピーが出回った弊害のヒトツに、
心の病なんだから、心にクスリ(という物質)が効くはずがない! という誤解が時にみられます。
昨日のテレビなんかを観ていると、心もさまざまな物質の諸活動の総体である、と天ちゃんには思えてきます。
(と言っても、予定があったので、TVの方は、ほんの一部しか観てないですが...(^O^; )
薬物療法はうつ病治療の重要な柱である、ことは言うまでもありません。
うつ病の標準的な治療では、薬物療法の流れ図 ができています。
たとえば、以下のような感じです。
これは、天ちゃんのオリジナルな図ではありませ~ん。
『気分障害の薬物治療アルゴリズム』(じほう、2003)に掲載されていた図から作成しています。
うつ病の診断基準症状をいくつ経験なさっているか、その症状の数の多寡で、軽症~中等症~重症
という3段階に、うつ病の重症度を評価します。
この図は、軽症と中等症のうつ病の場合には、こんな風にクスリを選択しながら治療を進めましょう。
というもので、アルゴリズム と呼んでいます。
SSRIとは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬 のことで、商品名パキシルとデプロメールがあります。
最近、ジェイゾロフトというSSRIも認可、発売されました。
SNRIとは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 のことで、商品名トレドミンがあります。
BZDとは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬のことで、SSRIやSNRIを初め、
抗うつ薬は効果が現れるまでに1~2週間かかることが多いので、うつ病の急性症状を緩和すべく
効果の現れるまでの時間の長いBZDを併用することもあります。
僕は去年SSRI・SNRIがダメで四環系でようやく寛解・回復となりました。
先日、いっちゃん さんから、いただいたコメントです。
流れ図の右下の方に、「他の抗うつ薬へ変更」ってあって、
TCA(三環系抗うつ薬)、非TCA とありますね。
いっちゃんさんが書いてらっしゃる 四環系 が、非TCAの例です。
副作用の程度と頻度が、従来薬よりすぐれ、忍容性が高いので、再発予防療法や維持療法として
長期連用が必要になることが多いことから、SSRIやSNRIといった新規抗うつ薬が第一選択とされています。
では、パキシルとデプロとトレドのどれをどう使うの? って思いませんか?
現在のところ、明確な指針はまだないと思います。
天ちゃんは、うつ病の諸症状の中でも、
不安が強くて困っている場合、パキシル
こだわりが強くて困っている場合、デプロ
意欲低下が強くて困っている場合、トレド
を最初に服用していただくようにしています。
これは、パキシルはパニック障害に適応、デプロが強迫性障害に適応 ということ。
ノルアドレナリンは、意欲と関連性が高いとされていること、から天ちゃんが考え出した工夫です。
製薬会社のプロパーさんに確認してみたら、「それでいいんじゃないでしょうか...」ってことでした。
(臨床試験では、3剤とも、うつ病に対する有効性は同等なんですが...)
今日の記事の主旨は、
1.うつ病には、物質であるクスリ=抗うつ薬が効果的である
2.抗うつ薬の処方には、流れ図(アルゴリズム)ができているが、患者さんごとに
合うクスリを一緒に探して行くスタンスが大事である
(新規抗うつ薬で今二くらいだったのに、従来の三環系が実に効果的であるってことはときどきあります。)
以上の2点が伝わればなぁ~と思って記事を書きました。
なお、こういう流れ図も、基礎に比較臨床試験という、科学的エビデンスがあってのことなんですが...
新薬は薬価が高いことなど、またグローバルに見た場合の問題などは、
過去の記事をご参照ください。
http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060607/1
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yoccyan さん、久しぶりのコメントありがとうございました。
極期からなんとか脱出した、回復期に入った人のほうが自殺率も高くなるので、
この時期を、日中会社(4時間程度とか)で朝・夕・夜はケアのための入院などの方法が
一般化するといいなと思います。自宅がいい人は、かならずカウンセリングとか・・・・。
一番は「社会の認知が進むこと」と「効率第一主義やグローバル経済なんたらを隠れ蓑にした
人間無視をやめさせること」だと思います。
日中は会社、夜は病院(入院) という形態を、ナイトホスピタルっていいます。
天ちゃんのクリニックの親病院では、こういう入院形態を実践しています。
ただ、地理的な問題がありますもんねぇ...。
精神科病院は、たいてい、街中にありませんから、望む人のほとんどにとって実現性が乏しい。
それが、今のこの国の精神科医療ってところでしょうか?
社会の認知が進むこと、人間無視をやめさせること--その通りと天ちゃんも思います。
このyoccyanさんの視点は、コミュニティー・モデルですねぇ。
今日は、もうヒトツの視点、メディカル・モデルの点から、うつ病後の復職に当たっての
ポイントのヒトツについて記事にしたいと思います。
この図は、おなじみ(?)の、うつ病の全体経過図で~す。
http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060919/1
図に記載したコメントだけ変えてあります。
過去、記事にしたような 回復 状態にまで改善すると、回復期の波は消えます。
ある意味...当たり前のことですが、休職して療養されている患者さんの場合、
あくまで、在宅生活レベルで 回復 に至ったに過ぎません。
図の左側の⑤と⑥の間の矢印の延長線上にあるってイメージです。
ですので、復職を果たすということは...、
本来就業されていた水準=図中「気分の正常水準」=心身の本来の水準、にまで
心身を戻していくこと、ですよね。
この際に、在宅生活レベルでは消失していた 波 が、たいてい復活し、本来の水準に戻るまで
再び 波 が出現することが多いです。
yoccyanさんご指摘のとおり、「早すぎた復職」が、今産業精神保健の現場では、
問題になることが多いですが、それだけでなく、「適切な」復職の場合であっても、
「回復期の波」 が再現されることが多い、医学的事実を知識として、本人はもとより周囲も
ぜひ、押さえておいてください。
この点を理解できていれば、
ご本人も、復職当初から起死回生とばかりに飛ばさないでしょうし、
周囲も、本人がやる気を見せたからといって新規課題を喜んで与える前に、
今は一見調子が良さそうだけど、波の出る時期だから無理させないようにしよう。
と言ったスタンスで臨めるんじゃないかと思います。
こういう知識が普及すれば、心の健康問題で休業した労働者の復職の成功率は高くなると思います。
今のところ、まだ十分こういった知識を、患者さんの職場が持ちえてなさそうだなぁ~
と評価できたときには、こちらから患者さんを通じて、ご本人をもちろん含み職場の窓口の方と
3者面談して、よく情報を共有する努力を続けています。
また、過去の記事では、初発のうつ病の場合、回復後6~9ヶ月間、再発予防療法を実施する。
と記載しましたが...
お仕事を持ってらっしゃる患者さんの場合、障害のファクターも考慮に入れ、
うつ病をわずらう以前のパフォーマンスと同程度の仕事量をこなしてもOKな状態になった時点を
「回復」ととらえ、その時点から維持療法の期間をカウントし始める、という慎重な方針を採っていま~す。
今日の記事は、このブログのネーミングにふさわしい(?)
天ちゃんの臨床上の工夫について読者のみなさんに情報提供いたしました。
同業者の先生方からのコメントもお待ちしていま~す(^o^)。
関連記事:
06/06/28記事 職場復帰支援(1)http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060628/2
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Jさん コメントありがとうございました。
ホント! お一人でよくそこまで(ここまで)ガンバリ通してこられましたねぇ~!
それが、率直な感想です。
今後の人生は、ずっと ずぅ~っと ペースダウンして暮らされるのが一番でしょうか?
もう、ヒトの一生分のライフイベント=生活上の出来事をご経験なさったのだと思いますから。
昨日の 天ちゃんの仮説1.は、あくまで仮説ですし、Jさんの病状というか 背景について
詳細を存じ上げません。(ブログ上などで、お知らせいただくわけにもまいりますまい...。)
また、例外のないルールはない、ということで、やはり主治医にご相談いただくのが最善
と思います...。
ので、ご寛恕のほど、よろしくお願いいたしま~すm(_ _)m。
今日の記事は、Jさんにもお役に立つかも知れません...。
今日は、この間コメントいただいた方々(?)の暮らし方の参考に、きっとなると思います。
「うつ病の回復期(波のある時期)の過ごし方」 です。
これも 天ちゃんのオリジナルな図で~す!
患者さんの心理教育用の「教材」のヒトツです。
(昨日まで使用していたKrainesの経過グラフの回復期を拡大したもの という位置づけです。)
たぶん、うつ病の回復期には、「6割主義で暮らしてください」 とか、
「抑えて暮らしてください」 とか、日本中の精神科医がアドバイスしている...と思います(?)。
天ちゃんは、さらに一歩踏み込んで...
6割主義ってのは、今日10個やれると思うことがあっても、4個あえてやらない暮らし方です!
とご説明しています。
健康なときには、ど~ぞ、がんばってくださいマセ。
でも、病気の時には、健康なときと同じ過ごし方、価値観ではよくなりません。
うつ病を抱えているときは、<あえて4個やらないことが、患者さんの仕事>です。
ここは、ヒトツ、4個手を抜くように<がんばってください>とお話します。
それと...波 ですが...
うつ病の回復期の波は、残念ながら消せません。
でも、波の落差を少しでも小さくするようになら、できるはずです。
さて、読者のみなさん! どうしたら波を穏やかにできると思いますか?
ちょっと、考えてみてください...
ちょっともったいぶっちゃいましたが...(^^;
図にも描いてあるとおり、調子の悪いとき=谷のとき ガンバレ~って 酷ですよねぇ...?
そうです!
調子の良いとき=山のとき、いかにがんばらないか!
天ちゃんは...波に乗らない! 図に乗らない! と表現して戒めています。
そうなんです!
山のときの疲れが、谷として出る!
だから、調子が良いとき=山のとき に「結果的に」波に乗って暮らすと...
その結果、疲れがたまって、谷がやってくる。
というワケでぇ、いかに山のときに、抑えて暮らせるか、がカギになります。
以上のような、口頭指示で、生活をマネージしていただくようにしてもなお、山を抑えることができない場合、
気分感情安定薬、そしてこれがまた、抗うつ薬の増強療法に通じるのですが、
気分感情安定薬を追加投与することもあることを、予め お話する(心理教育する)ようにしています。
ちなみに、この山のときに抑える、暮らしのマネージの仕方は、うつ病回復後の軽躁状態や、
うつ病から躁うつ病に発展することを予防してくれるのではないか? と仮説を立てています。
天ちゃんのクリニックに あちらこちらの医療機関から転院されてきた患者さんのお話を聞くにつけ
ここまで丁寧に(強迫的に?)うつ病の回復期の過ごし方を説明(伝授?)している
精神科医は少ないようで~す。
読者のみなさん、ど~ぞ、回復期をつつがなくお過ごしくださいませ。
(ただし、こういう指導=介入をした患者さんの方が、指導されなかった患者さんより、
回復期間が本当に早いのか? というエビデンスは今のところ無いと思いま~す。)
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昨日の記事(http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060919/1)の続きを書きます。
受診後から回復するまでに、6~7ヶ月を要する ということを書きました。
これは、早い人だと、1ヶ月くらいで 回復 状態にまで到達できる人もいるし...
一方 3年くらいたっても、回復 にまで至らない人も 数%いる...
そういう回復までの期間を並べていって、真ん中の数字が、6~7ヶ月 ってことです。
(多数のうつ病患者さんのデータから、「一般論」として述べることは、医者は得意です。
でも、目の前のお一人の患者さんについて、じゃぁ一体、回復までにどれくらい期間がかかるの?
と言う質問に医者は弱い(^O^;>
天ちゃんは、うつ病にかかられてしまう前に、<普段と比べてがんばりすぎたと思われる期間>
がどれくらいあったか、お聞きし、たとえばそれが「半年」なら、カケル2~3倍...この場合、1~1年半、回復するまでにかかっても不思議でない、
と予測を立て、患者さんと共有するようにしています。天ちゃんの仮説1、とでも読んどきましょうか?
これは、天ちゃんの臨床経験から導き出したもので、科学的根拠は今のところありません。
-時間が許せば、まとめてみたいと思っているテーマで~す。)
昨日の 経過図の中に、「自殺の危険」と書いてあります。
うつ病の 病初期 と 回復期 は、昨日書きましたように、波があります。
良くなったり悪くなったりしながら全体として悪くなる=病初期
良くなったり悪くなったりしながら全体として良くなる=回復期
でした。
この波のある時期は、患者さんにとって、主観的に大変きついようです。
良くなったり、の良くなったときには 希望があるのですが...
悪くなったり、の悪くなったときに、絶望してしまうことが多いです。
良くなったのにまた悪化した とか、もう良くならないに違いないとか、考えてしまう...
そんなワケで、病初期と回復期には、自殺のリスクが高いことが昔から指摘されてきました。
なお、防衛医大の高橋祥友教授によれば、これも、あまりにモットー化し過ぎると、
「じゃぁ、病気の極期=一番重いとき、は危険がないんだぁ」と思われて、
周りのサポートが薄くなり、結局、自殺既遂に結果してしまうリスクを上げる可能性がある。
と言うことで、うつ病を抱えている方は、いつでも自殺の危険がある! という方を、
頭に入れておいていただくほうが、より望ましいと思います。
(うつ病の患者さんの自殺率は15~30%とされていたと思います。)
昨日の図に、初診後から
「だいぶ良くなった」 と感じられるようになるまでの期間の目安として
2~3ヶ月(図中平均2.5ヶ月)と入れておきました。
うつ病の治療は、回復まで到達することは、当たり前!
必ず良くなる病気ですが、再発しやすい病気である。
その再発のしやすさをどうやって防ぐか、が現時点では、うつ病治療のホットな課題です。
欧米のデータですが、うつ病に一度かかった方は、10年間で、実に2人に1人が再発する、とされています。
「再発予防療法」 または 「維持療法」 を、専門家によって、半年から9ヶ月確保する、
ということで、この期間についてはコンセンサスがまだ十分とれていないですが、
最低6ヶ月間! 回復するまでに飲み続けてきた抗うつ薬を、漫然とぬかりなく 服薬し続ける。
(と言うことは、回復までに、睡眠薬や抗不安薬が副次的に処方されていた場合、
可能ならそれらの減薬を試み始めることになります。)
かつ、外来受診し、どうやって再発を防ぐか主治医と対策を練っておく。
こうすることで(こうするだけで)、再発率を半分=4人に1人まで低減できることが知られています。
(なお、再発は、初発のときと、似た状況で起きやすいので、似た状況が今後起き得るのか?
起き得るなら、避けられるのか?
避けようが無いなら、どう対処するか?
必要なら、行動計画を立てたり、ロールプレイを通じて練習する...
といったことを、天ちゃんは検討し実施しています。)
とは言え...
日本人の場合、16人に1人が、一生のうちで最低1回うつ病にかかること(現東大教授の川上憲人先生らの研究)
が知られていますので、「再発予防療法」を経てもなお、うつ病に一度もかかったことの無い
地域住民に比べて、まだ4倍うつ病を再発させやすい。
ぬかりは禁物と言えます。
次回は、この間、コメントやご質問の多かった、
回復期の過ごし方のポイント、として日ごろ天ちゃんが、患者の皆さんに、初診時に
説明=心理教育 している内容を記事にしたいと思います。
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国をあげて? も、自殺予防対策、そのための うつ病対策が始まっているほどですので、
この 「うつ病」シリーズ は、みなさんのご関心が高いようですネ。
この連休中、娘を連れて、某有名女子高の学園祭に 遊びに行ってきました。
天ちゃんが通っていた高校のすぐそばにあって、真面目でしたから?
級友に誘われても 行かなかった学祭なので、男子高校生の頃の置き忘れた何かを
取り戻せたような気がして帰ってきましたぁ。
ここで、ホント! 女子高校生って 眩しいですねぇ...と記載すると、完全にオジサン!?(^^;
ドイツのKrainesっていう精神病理学者が、その昔! 記述したものを、浜松医大で、
長らく教授をされてらっしゃった、大原健志郎先生が、もう30年! 以上前に、
その論文で(確か、「うつ病と自殺」ってタイトルだったと思いますが)紹介したもの。
(図のタイトル下に 「うつ病の自殺」って、ちゃんと書いてありました(^^;)
それに天ちゃんが、書き加えて作成したオリジナル(?)な経過図で~す。
図の左側から、グラフを見てください。
誰にだって、通常(範囲)の喜怒哀楽の感情の波はあります。
たいてい、きっかけ(ライフイベント=生活上の出来事)があることが多いですが...
だんだん、良くなったり悪くなったりしながら、全体として悪くなって行って...
「谷」にまで、気分感情が悪化します。
うつ状態の程度の強いときには、ほとんど波は見られないくらい、具合が悪くなります。
過去にご説明したとおり、最低でも2週間ほとんど毎日のように、うつ状態になります。
うつ病の診断基準を満たすほどのうつ状態になっても、4人に1人しか、精神科含む医療機関
を受診していません!(わが国のデータ)
精神科に来てくださる方は、したがって、もっと少なくなります(8人に1人とも10人に1人とも)。
さて、めだたく(?)精神科を受診いただき、治療が始まっても、当初は、あまりはかばかしく
改善しないかも知れません...
でも、十分量の抗うつ薬を飲んでいただき、効果が出てくると
(患者さんによって違いますが、薬効評価は最低4週間経過後に行う旨、初診時にご説明します。)
良くなったり、悪くなったりしながら、全体として良くなっていきます。
(どなたかから、回復期って波があるのかしら? ってコメントいただきました。
波が出てきたってことが、回復期に入ったサインと考えているくらいなんですヨォ(^0^))
そして、病前の気分感情状態のレベルにまで、回復するまでに、欧米のデータですと半年!
日本のデータ(名市大の古川先生らのコホート研究)ですと 、
回復までに7ヶ月! を要します。
(原著論文では、中央値が7ヶ月! だったと思います。)
午後の外来の時間になりますので、今日はこの変で~。
明日以降、続きを書きま~す(^^;。
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「うつ病シリーズ」のナンバリングを思いつきでして来たので、ごちゃごちゃに...(^O^;
今回 とりあえず その5 としました。
うつ病の 寛解(カンカイ)と回復 について、記事にします。
以下の図は、『精神科診断診察学』(http://www.amazon.co.jp/gp/product/426011882X/sr=8-1/qid=1158299937/ref=sr_1_1/249-3278284-9316317?ie=UTF8&s=gateway)で、
名市大の古川壽亮先生が引用されていたものを、天ちゃんが改変したものです。
(今、手元に本書がなく、原典を確認できないこと、ご容赦ください。)
図の下の表に 寛解 と 回復 の定義が示されています。
表の2行目の HAM-Dというのは、うつ病の重症度を評価できる、半構造化面接による尺度、です。
天ちゃんのクリニックでは、06/09/12の記事で紹介した、MINIのうつ病の診断基準症状について
面接を繰り返し(1~2分で済みます)、症状の経過をモニターするようにしています。
面接して、「はい」が2つ以下になった時点で...
<寛解にまで到達しましたねぇ...(^o^)>
と患者さんと共有するようにしています。
この状態を、6週間続けられれば、いよいよ「回復」で~す!
天ちゃんのクリニックでは、うつ病と確定診断できたら、
患者さん(およびそのご家族)に、以上のようなことを予め説明(=心理教育)するようにしています。
(なお、HAM-Dの代わり-には実はならないですが-うつ状態を評価する心理テストも
症状モニターのツールとして、天ちゃんのクリニックでは使用していま~す。)
関連記事:
06/05/28 心理教育に触れた記事http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060528/1
06/09/08 うつ病~心の不調~に早めに気づくために(1)http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060908/1
06/09/12 うつ病~心の不調に早く気づくために(2)http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060912/1
06/09/14 以上の記事への補足記事http://blog.m3.com/tenchanoffice/20060914/_O_