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常連?の患者さんに80代後半のおばあちゃんがいる。矍鑠(かくしゃく)としていて、歩くのも話すのもしっかりしている。
但しやはりこの年齢になると話は自分の若い頃、子供の頃の思い出等。どうしても繰り返し聞かされることになる。生まれ育った街は台東区の隅田川の西側、白髭橋のたもと、橋場・石浜あたりだったとのこと。
そのおばあちゃんのお話のひとつ。台東区立石浜小学校の小学生の頃、授業を抜け出して、「勝太郎と市丸が隅田公園に来たので見に行った」由。
調べたら、この時代は芸者歌手全盛期とのことで、おそらく小唄勝太郎や市丸はラジオで曲をヒットさせたのだろう。でもこのおばあちゃんの一番好きだった芸者歌手は九州出身の赤坂小梅。市丸は愛嬌がなくてキライ、だそうな。ちなみに盆踊りでおなじみの東京音頭(の元歌)を最初に歌ったのが、小唄勝太郎らしい。
隅田公園で特に木戸銭を取った訳でもなく、どういうイベントだったのかよくわからない。おばあちゃんは学校を抜け出して後で発覚して叱られたが、なぜか教室の外でバケツを持って立たされるペナルティは食わなかったとのこと。
私自身は台東区立石浜図書館に行ったことがあったり、また山谷の城北福祉センターの診療所で何回か外来をやったこともあった。同センターは日雇いの健康保険証を持たない人たち‥多くはホームレス‥を対象に、都が無料で診療を行う診療所である。何となくこの地区と無縁でもなかったので、興味が湧いた。
おばあちゃんに、最近の橋場・石浜地区を見に行ってみたら、と勧めても、行きたくないと仰る。本人の代わりに?6月頃に私が見に行った。写真の隅田公園をおばあちゃんに見せたら、ずいぶんきれいになっちゃったねえとのことだった。白髭橋も昔は木製の橋だったそうで、震災だか空襲だかで落ち、その後今の鉄橋にかけかえられたようである。
ちなみに現在のこの地区の住居表示は全て橋場1,2丁目となり、石浜の名前は小学校、公園、図書館等に残るのみである。
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