今日は、終戦記念日。
1983年8月11日に、インディラが亡くなった。戦後の日本人の落ち込んだ気持ちを察してか、インドのネール首相が、東京の上野動物園に象を贈ってくれた。その名前が、「インディラ」。多くの子どもが見学に来て、大人気。その飼育係が、落合正吾さん。どうしていいのか経験のない中で、彼は、一生懸命にインディラの面倒を見た。
落合さん、長いこと面倒をみていたのだが、残念なことに胃ガンを患い、飼育係をやむなく辞めてしまった。
その後しばらくして、ある時、インディラが他の象から虐められて、檻から逃げ出してしまった。この大きな象を元の場所に戻すのに、困ってしまった。大の大人30人ほどが綱で引っ張っても、しばらくすると、又、引き戻されてしまうのだ。にっちもさっちも行かない状態で、悪戦苦闘していたが、ある人が、「落合さんだ!」と叫んだ。何人もがそう言い出し、入院して点滴中で、立つこともやっとの落合さん(体重36Kgにもなっていた)が、寝間着姿のまま、その場に来てくれた。
「インディラ、戻れ!」と一言叫んだ。その瞬間、今までが嘘の様に、インディラは、おとなしく元の所に戻って行った。
それを見ていた周りの人は、その象と落合さんの強い絆に驚かされた。落合さんは、その1週間後に亡くなられた。
*出産は、ゾウにとって大変な行為である。哺乳動物の中で最も妊娠期間が長く、およそ22カ月である。メスは、普通2~4年ごとに子どもを1頭産む。子ゾウの誕生時の体重は約90キロで、身長は約90センチである。なお、メスのゾウはその子どもたちと一緒に家族の群れの中で暮らすが、オスは単独で行動する傾向がある。
*動物園の象が鎖につながれていて、おとなしくしている光景をよく見るが、象の力だと、その鎖を壊してはずそうと思えば簡単に出来る。それをしないのは、小さい時からつながれているので、はずせないと思い込んでいるから。アフリカでは、人間を除いて象が一番強いことは、多くの動物が認めているところ!
以下は、1949年9月1日に、「日本の子ども達へ贈る言葉」と題して、ネール首相から贈られた手紙の内容。
(日本の)皆さん
私は皆さんの御望に依つて、印度の象を一頭皆さんへ御贈りすることを、大変嬉しく思います。此象は見事な象で、大変に御行儀が良く、そして聞く所に依りますと、体に縁起の良いしるしをすっかり具えているとの事です。皆さん此の象は、私からのではなく、印度の子ども達から日本の子ども達への、贈物であると御承知下さい。
世界中の子ども達は、多くの点で似かよつています。ところが大人になると変わり出して、そして不幸な事には、時々喧嘩をしたりします。私達は此の様な大人達の喧嘩を止めさせなければなりません。そして私の願は印度の子ども達や日本の子ども達が成長した時には、夫々の自分達の立派な祖國の為ばかりにではなく、アジアと世界全体の平和と協力の為にも尽くして欲しいという事です。
ですから、このインディラという名を持つた象を、印度の子ども達からの愛情と好意の使者として考えて下さい。インディラは、東京でたった独りぽつちで、或いは少し淋しがって遊び友達を欲しがるかも知れません。若し皆さんの御望みならば、インディラがこれから自分の住家としてゆく新しい國で、幸福になる様に、御友達の象を一頭送る様にする事も出来ます。
象というものは立派な動物で、印度では大変に可愛がられ、而も印度の特に代表的なものです。象は賢くて辛棒強く、力が強く而も優しいものです。
私達も皆象の持つこれらの良い性質を、身につける様にしてゆきたいものです。
終わりに皆さんに私の愛情と好意とを送ります。
ジャワハルラル ネール
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