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開業って・・・

masa / 2008.02.25 09:12 / 推薦数 : 6

 私の場合は、開業生活は、8年半余であった。もう、採算が合わなくなると思って、赤字になる前にやむなく閉院してしまった。
 入院設備19床を持って、小児救急中心の365日24時間拘束されての生活だったが、その前の病院生活が(お産が年に500件前後もあって)それ以上に過酷だったので、さほど苦にならなかったが、その8年半余、代診としての他の小児科医の援助を全く得られずに、どこにも行けない事への苛立ちは確かにあったと思う。
 又、経営の能力は、医療が出来るのと別にあるとも痛感した。
 現在、勤務医が激務な為に開業する傾向にある。それに反して病院が減少している。開業にしても、自分が開業した時と今とでは、かなり違ってきていると思う。
 まず、資金だが、開業する時に銀行から「いくらでも貸します」と言われた。金利は、普通の場合よりも医師の場合は少し優遇されていたが、それでもプレッシャーが掛かる。で、自分の貯めてきたお金を使い、それでも足りずに2.000万借りて、賃貸形式で開業できたが、毎月の払いが多くて、勤務医の時の方が手取りが多くなっていた。しかし、それでも、今考えると、やはり開業経験が出来て良かったと本心から思っている。(今では、銀行は、医者と言うだけでは、簡単にお金を貸してくれません!)
 
 今、再び勤務医をしているが、全く開業した経験がなくて勤務医をしているのと、過去に開業をした経験があって勤務医をしているのとでは、全く違うと思っている。
 いろんなことを学んだ。開業する時よりも、閉院する時の方が大変だった。これって、結婚の場合と少し似ているかなとも思っていた。離婚するエネルギーがあれば、結婚を維持できると言う人がいたが、いつでも閉院する覚悟でやっていれば、トントンでも医療も出来るだろうと思っていたが、違っていた。やってみないと学べない。特に、経営が傾きかけると自分のしている医療もおかしくなり(算術傾向になり)、又、人の管理も難しくなる。
 ある市では、大学の先生が50歳を過ぎて開業し、数年で亡くなられている。そんな例は昔もあったが、今の方が圧倒的に多い。巷の噂では、その多くが働き過ぎが原因とのこと。自分の様に、開業して閉院するパターンも前もあったが、今はちっとも珍しくない。
 億を越えて開業すると、閉院するのは大変だと思う。しかし、どんどん赤字が増えていけば、そうも言っておれなくなる。自分の場合は、幸いに医院が赤字倒産でも、借金がなかったのが幸いだった。又、職員もそれなりに就職先があって、助かった。
 借金を抱えてやむなく倒産したり、肝心の医者が病気で亡くなったりすると、残された家族は大変だ。多くの場合は、まだ、子どもさんが学校に行っている時だけに、尚更だ。
 それでも、今年の医学部の競争率、高いなあ。医者の裏の姿は、何故か、マスコミの前に出てこない。私の所に聞きにくれば、しっかりと教えてあげるのに。

 私の子ども達3人、医者になりたいとはっきり言ったこと、ない。私の生活を見ていて、医者になりたいと思う方がおかしい。子ども達が私を見る姿は、殆ど疲れて横になった所。

 電話は、(宿舎が病院のすぐ傍にあったので)家に帰ってもしばしばあり、当初は、深夜はもちろん、食事中でも入浴中でも、ひっきりなしに掛かっていた。

 初めは、病院からの電話は、家内が全て取っていた。私はきつくていつも家で横になっていたのである。深夜は、家内からいつも起こされていた。深夜電話があると、長女が起きて泣いていた。これでは家庭が崩壊すると思って、家を建て、起こされそうな時は、自分が病院に泊まることにした。

 新築の我が家と病院とは、自転車でゆっくり行っても、10分も掛からなかったが、我が家に泊まることが多くなると、幸いにも、病院からの電話も少なくなっていった。

 で、しばらくすると、家に掛かった電話を取るのは、自分だけとなっていて、家族に迷惑を掛けない様にと、コッソリと深夜に病院に自転車で行っていた。

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コメント

コメント一覧

先生のお話は心に染み入ります。借金して開業してしまうと引くに引けません。開業医は頑張ってもマスコミからは悪者にされるしあまり得な家業ではないですね。
written by lighe / 2008.02.25 10:00
自分の周りに、自殺したドクターが多いです。それも、とても繁盛している感じの開業医が多いです。借金が気になったり、周りに競争相手が多くなったり、売り上げが下がって行くと、やはり焦るのでしょうか。開業するか、閉院にして又勤務医に戻るのか、銀行から借金をどれだけするのか、詰まる所、それを決めるのは医師自身です。周りのせいにしても始まりませんから。今からの医師には、逞しい鈍感さが必要かも知れません。それがないと、もっともっと医師の自殺者が増えると思います(医師の場合、今でも普通の集団の3倍も自殺していますので)。刑事事件になって難儀している医師を見ると、(とても正直に生きている感じの人が多いだけに)ホントに気の毒に思います。時間外の小さなトラブル何て、今は、日常茶飯事って感じですが。仕事は仕事と割り切って、その中で楽しいことを見出したり、全く次元の違う世界(趣味など)で楽しいことを見出すことが必要だと自分なりに結論付けています。
written by masa / 2008.02.25 10:42

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