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森の中で木を倒そうと一生懸命ノコギリを挽く木こりに出会った。
私 「何をしているんですか」
木こり「見れば分かるだろう、木を切り倒そうとしているんだ」
私 「すごく疲れているようですね、いつからやっているのですか?」
木こり「かれこれもう5時間だ。くたくたさ。大変な作業だよ」
私 「それじゃあ少し休んで、その間にノコギリの刃を研いではどうですか?そうすれば仕事はもっと早く片づくと思いますが?」
木こり「刃を研いでいる暇なんてないさ。切るだけで精一杯だ」
◇ 自分を鍛錬することの意味私たちの多くはこの木こりを笑えない。ノコギリではなく、あなた自身という最も大切な資源を維持するためには4つの側面について刃を研いでいく必要がある。4つの側面とは肉体的側面、精神的側面、知的側面、社会・情緒的側面である。これらを定期的にバランス良く磨き上げていくには主体性を発揮しなければならない。刃を研ぐことは以前に述べた第2領域の活動であり自らが率先して行わない限りは実行できない領域である。
肉体的側面で刃を研ぐとは、自分の体を大切にすることである。バランスのとれた栄養のある食事をとっているだろうか。十分な休養と定期的な運動を行っているだろうか。医師なのにタバコを吸ったりしてはいないだろうか。患者には十分な休養や運動を進めている医師は多くとも、自分自身で実行している医師は少ない。あろうことか喫煙する医師まで存在する。運動には緊急性がないために実行できない人が多い。運動をしなければいずれは体を疎かにした結果として、健康問題や病気に直面し第1領域に入り込むことになる。多くの人が「運動する時間がない」、と考えがちだがずいぶん歪んだパラダイムである。私たちは「運動しなくていいほどの暇はない」と考えるべきである。
精神的側面で刃を研ぐとは自分を鼓舞し高める源を再発見することである。自分の決意や価値観を思い出すことである。方法は様々である。名作と言われる古典文学や素晴らしい音楽、絵画、映画によっても精神面が磨かれる。自然の中に入ることも有用である。研修時代に無駄なテレビ番組で時間を費やすのか、それとも精神的側面を磨くことに時間を費やすのかであなたの人生の結果は自ずと変わってくる。知的能力の開発は医師にとって重要である。現代は4年も経つと学んだことの半分が役立たなくなる。ちょうど川の上流に向かってカヌーを漕いでいるようなものである。漕ぎ続けなければ立ち止まることもできない。1日1時間、読書に時間を費やすことであなたの知識はふくらみ始める。ある領域について60冊も本を読めば、その領域については教授と対話することも可能である。知的水準を引き上げることで判断基準を高めることができる。判断基準があがればより良い結果をもたらすことにつながる。
肉体的、精神的、知的側面が個人的なスキルと関わっているのに対して社会・情緒的側面は他者とのコミュニケーション、協力の原則に関わってくる。社会的側面と情緒的側面は互いに結びついている。なぜなら、私たちの情緒的な側面は基本的に他の人との関係によって育成され、表現されるものだからである。他の3つの側面を磨くのに時間を投資する必要があるのに比べ、この側面に関してはとりたてて時間を割く必要はない。それは毎日の生活そのものが他者との関わりであり、そこで実践していくべきものだからである。他者とのコミュニケーションを成功させるのは知力ではなく、情緒的側面であり、自分自身の内的安定性と自尊心である。この内的安定性はどこからくるのだろうか。他人が自分のことをどう思うかとか、人から与えられた脚本からではない。ましてや自分の所属する大学や医局、地位からくるものではない.それは自分の中からしか生まれないのである。自分の価値観に対して忠実に生きることこそ、自尊心を呼び起こす源である。医師は素晴らしい職業である。他人に貢献し奉仕することを学びそして実践できる。その価値を高めるかどうかはあなたの決意にかかっている。何かをはじめるのに遅すぎるということはない。あなたと共に歩んで行ければ私の幸いである。
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コメント
コメント一覧
循環器内科医のDr. Iと申します。
訪問ありがとうございました。
スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」の研修医版ですね。
非常にうまくアレンジされていて、わかりやすいと思いましたので、推薦しておきました。
今後ともよろしくお願い致します。
うっかり、書きそびれてしまいました.
このコンテンツは旧http://www.teachinghospital.net/(現アステラス.net)に掲載されていたものです.
参考:「7つの習慣」とつけていたのを忘れておりました.
また、フランクリンコヴィー・ジャパンの了解も得ております.
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