2008.08.21 20:29 |  医療事故  |  その他(医療関連)  |  枕流  | 推薦数 : 1

大野病院事件

20日に判決が出た大野病院事件。医師限定の掲示板はもちろんのこと、各種マスコミでも話題になった。判決は無罪。医療関係者の端くれである私からすれば妥当な判決であり、安堵した次第だが、マスコミの論調や遺族の声には少し疑問が残る。
マスコミは妥当な判決と一面では報じているところが多いものの、社説はというと「医療界への警鐘」だとか、「そもそも医療不信が強いから裁判に至った」という論調が目につく。しかし、「遺族が本当に望んでいるのは真相究明」と書いておきながら、本当に遺族が直接言っているのかどうかはわからないが、今回の判決を残念に思っているとの談話のようだ。すこし矛盾しやしないか?裁判で真相究明ができたのなら、被告の医師が有罪だろうが無罪だろうが、そんなことはどちらでもよいはず。ここに、この裁判の矛盾があるような気がする。つまり、裁判の目的が「真相究明」だと表向きにはいっておきながら、結局のところ本音は「被告の医師を有罪にする」こと自体が本当の目的だった、ということではないだろうか?
この事件は立件直後から大きな問題になり、医療崩壊を加速させたといわれた。裁判は世論に大きく左右される、といわれる。マスコミが騒いでくれたおかげ(?)で、この裁判で無罪判決が出る可能性はかなり高かったといえる。今回の裁判で、反省すべきなのは医療界なのか?私が思うに、今回最も反省すべきなのは警察と法曹界ではないかと思う。
医療に関しては自分たちが「素人」であることも忘れ、無理な捜査・無理な立件が招いた結果ではないのか?被告にされた医師は勿論、遺族もいやがらせなどでかなり傷ついたと聞く。真相究明が目的なら、刑事事件として立件する必要などなかったとも言えるわけで、自分たちのお粗末な思い込みのせいで、どれだけの人間に迷惑がかかったか?このことを「事件」にした警察や法曹界の人間こそ、猛省が求められているのではないだろうか?
亡くなられた方や遺族には、確かに残念といえば残念なのかもしれない。やり場のない怒りが、いつしか医師に向いてしまったのだろう。しかし、それは間違っている。医師とて神様ではない。あなた方と同じ人間なのだ。悪意がなく、医師としての職務を全うした結果が受け入れ難いものだったからと言って、その医師を有罪にするために裁判にを起こす、という行為が、今回の判決で歯止めがかかることを期待したい。「医療に対する不信」というが、今や医療者は「患者に対する不信」を抱かざるをえなくなってしまっているのだから・・・。

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