2006.10.07 18:27 |  診療  |  開業 / 病院経営  |  仕事 / 職場  |  枕流  | 推薦数 : 3

医療はサービス業か?

患者の権利意識の高まり、医療そのものに対する風当たりが増す中、「患者様」と言う呼称は最早一般的となり、「医療はサービス業だ」と言って憚らない病院経営者も多い。しかし、私はこうした風潮には疑問を感じている。恐らく、医師(特に勤務医)の中には、同じ考えをお持ちの方も多いのではないかと思う。

 

こうした考え方は、接客業を生業とするホテル業からヒントを得たものではないかと思われる。確かに、昔のように患者を怒鳴りつけたりするのは論外だが、だからと言って「病院がホテルのようになる」ことが、医療の質を上げることに繋がるのだろうか?

 

昔は、病院食は冷えていて当たり前、配膳時間も職員の帰宅時間に合わせるため夕食などは16:30頃、病室も大人数で薄暗く換気も悪い・・・、と劣悪な環境だった。今はそれでは病院そのものが立ち行かない時代で、そういう点では昔に戻るべきではないと思う。アメニティと言う部分では、病院をホテルに近づけるのは悪いことではないし、治療成績の向上にも繋がる部分が大いにあると思う。

 

しかし、問題はやはり接遇面だろう。最近ははっきり言って横柄な態度を取る患者が多い。自分勝手で権利ばかり主張、約束は守らない、気に入らないことがあると匿名で投書したり、代議士や病院の上層部に圧力をかけさせる・・・。こういう人は、確かに以前からいたが、明らかに少数派で、病院側もそれとわかって対応していた。しかし、今は、病院のほうがすっかり弱腰になってしまい、こうした声に無原則に妥協することが良いことだと勘違いしているように思えてならない。時々、患者向けにアンケートを実施している病院があるが、はっきり言って愚の骨頂だと思う。患者側は匿名で、医療従事者への攻撃を推奨しているようなものではないだろうか。

 

実際、接遇面でホテルを真似ていた航空業界も、安全な運行に支障をきたしかねない乗客に対しては、断固たる姿勢で臨むようになってきた。しかも、国際的には、墜落しても補償には上限が設けられているし、事故原因の究明のために乗務員が免責されることもある。それに比べると、やはり今の日本の医療は明らかに異常な状態といわざるを得ないのではないか?

 

特に日本人には、「サービスを受ける側」は「サービスを提供する側」に対してなら何をしても良い、と考えている節があるような気がしてならない。医療も、広い意味では「サービス」だが、ホテルのようなサービスではなく、むしろ、たける先生(今回トラバさせて頂きました:http://blog.m3.com/Dr_Takeru/)が言われるような「行政サービス」に近いのではないかと思う。米国では、消防士は尊敬の対象らしいが、日本ではそこまでではないだろう。何でも米国式にするのがトレンドだが、形式だけ真似ても意味はないと思う。そこに「尊敬」や「感謝」の念がない限り、どんな制度を作ったり真似たりしても、殺伐とした世界が広がるだけではないだろうか。

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