2006.05.27 19:09 |  診療  |  枕流  | 推薦数 : 0

よく解らないメタボリックシンドローム

 最近、メタボリックシンドロームという言葉をよく耳にするようになった。これは、腹囲が大きいことに加え(要するに内臓型肥満)、高血圧、高脂血症(高TG、低HDL-C)、糖尿病(境界型を含む)の3つのうち2つ以上を有している場合にそう診断してよいことになったものだ。以前は、「死の四重奏」とか「シンドロームX」とか様々な呼称があり、その定義についても必ずしも一定していなかったので、今回それを明確に定義づけ、用語を統一した点は評価できる。

 

 しかし、今回、従来以上の「何か」がわかってそう名づけたのかというと、どうもそうではないような気がする。例えば、2型糖尿病なら、「インスリン抵抗性」を主体にして「インスリン分泌」の代償機構が破綻して起きる、と一応説明ができるし、それは膵β細胞の破壊を主体とする1型糖尿病とは異なるため、「1型」「2型」と呼称するようにしたことは、病態に基づく呼称の変更・統一である。だが、メタボリックシンドロームの場合、用語が統一されたことで、確かに患者さんに説明するには便利になったが、その病態はというと(少なくとも私にとっては)「?」である。

 

 内蔵型肥満の重要性については解るのだが、それと、既に確立した概念である「高血圧」「高脂血症」「糖尿病(耐糖能異常)」との関係が、いまひとつしっくり来ないのだ。特に、高脂血症のうち、高コレステロール血症が入っていないのは、少し妙な感じがする。少し前までは、「コレステロールは下げれば下げるほどよい」といった論調が主体だったのに、もう十分に浸透したからなのか、今度は中性脂肪(TG)とHDL-Cだけを診断基準に含めているのは、何やら姑息的な印象を受ける。

 

 いろいろなところで取り上げられているメタボリックシンドロームだが、少し言葉のみがもてはやされ、イメージが先行している感は否めない。世間の関心を引く効果はあったと思うが、この先、もう少し明確な病態が明らかになってこないと、今まで出てきた他の用語と同じ運命を辿るような気がしてならない。

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