この30年で随分方法論が変わりましたが、
最近、Breslow先生の言うように数学的手法の"危険性" を感じます。
また、さまざまな疫学用語の"誤解" があるということも。
ある映画の一科白を借りると…
"A public health education means you will learn to speak in a new language."
…なのだと思います。
若紫
2型糖尿病 - time to change our approach!
フロリダでもうすぐADA(アメリカ糖尿病学会)が始まります。
特に、"Lancet/ADA symposium"で発表される研究に注目しています。
2型糖尿病患者と心血管リスク
薬剤治療の新たな戦略
妊娠糖尿病
2型糖尿病の治療方法の比較
ACCORDの追加報告
・・・などが予定されているようです。

若紫
Medical writingに関しては、第二十五夜で「文」の書き方についてご紹介しましたが、
今回は「論文を書く」ことに対する取り組み方です。
こういった本や論文はたくさんあり、"コレがbest" というものはないように思います。
ですから、出版されると必ずcheck![]()
それぞれの"いいとこどり" するのが、若紫方式です![]()
若紫
lancetでmost readランキング
に入っていたmeta-analysisです。
ACCORDの結果がくつがえったのか!?・・・が一番興味あるところでした![]()
placebo対象のRCTでCV eventsをprimaryないしsecondary outcomesにしているもので、
結果、18試験、45058人。
MACE リスク差 10% (0-18), RR 0.88 (0.82-0.95)
coronary events リスク差 13%(7-19), RR 0.87 (0.81-0.93)
と、FibratesはMACEのリスクを減らす…という結果になりました。
二夜、meta-analysis が続いてしまいました。
funnel plotもJadad scoreも、反論などあるようですが、やはりよく使用されていますね★
validityなどなど、original articlesよりも読むのがハードです![]()
若紫
ARBとガンについては、CHARMから言われていましたが、
ついに、meta-analysisがでました。
扱っているのはRCTのみで、観察期間≧1年, n≧100としています。
全ARBを対象としていましたが、telmisartanが 全体の85.7%を占めていました(30014人)。
新規ガン発症はARB vs control 7.2 vs 6.0% (RR 1.08:1.01-1.15)
ガンをendpointとして設定していた試験に限ると RR 1.11:1.04-1.18。
telmisaltanに限るとborderline (p=0.05)。
これは、peer-review誌に報告されているもの+FDA websiteに載っている研究で、
ほとんどがcancerを主要エンドポイントにおいた研究ではありません。
VALUEが入ってなくてあれ…と思いましたが、ガンデータが報告されていなかったようです。
data collected のところやMethodsでいくつか???はありますが、
PRISMAを反映した論文構成になっていてました。
若紫
某教科書で、メタアナリシスは臨床医の研究にぴったり
ひとつひとつ論文を読んでいくことで、疫学への理解も深まって一石二鳥…といったような記述がありました。
驚きました。そんな簡単なものではありません。
基本的な疫学や臨床統計の基礎知識がある上に成り立つ研究です。
さまざまな不確実性に、世界の研究者が取り組んでいます。
また、臨床も片手間でできるものではありません。
どの臨床研究もひとりでできるものなんてないのです…。
若紫
13世紀のイタリアで数々の奇跡をおこした聖女サンタローザの死因は、
心室内血栓ではないかとLancetに報告され、BBCでも取り上げられました。
長らくサンタローザの死因は結核といわれていましたが、
同研究チームは1999年 Cantrell's syndrome の可能性を指摘。
Cantrell症候群は、臍上部腹壁正中欠損、胸骨下部欠損、横隔膜前方欠損、横隔膜部心膜欠損、心内奇形の5徴とする先天異常ですが、
心内奇形のうち心室瘤は頻度が多く、その部位での血栓→塞栓を合併しやすく、
今回の報告につながっています。
聖女サンタローザが亡くなったのは、1252年。
…700年のときを超えて彼女の死因が解明されようとしています。
若紫
Lancet に掲載された狭心症患者に対するアロプリノールの試験に注目です。
CAGで冠動脈病変が同定されており、運動負荷陽性の狭心症症状のある65人を、
アロプリノール600mg と placeboにランダムに割り付け、ダブルブラインドで3か月。
前後の運動負荷試験で、ST低下までの時間や胸痛発症までの時間をみています。
ASA, β, statin含めた標準治療は多くの患者で達成されていました。
ST低下までの時間は、
baseline 232 s (182–380)
alloprinol 298 s (211–408)
placebo 249 s (200–375; p=0·0002)
胸痛発症までの時間は、
baseline 234 s (189–382)
alloprinol 304 s (222–421)
placebo 272 s (200–380;p=0·001)
確かに…少人数の試験ながら、結果はインパクトがあります。
機序は何でしょうか??
↓ myocardial oxygen consumption?
↑ endothelial function?
著者らはアロプリにこだわって研究をしているグループのようですが、
長期間、大規模な今後のtrialsに期待です。
ただ、日本ではこのような患者さま、なかなかいらっしゃらないかもしれないですね…。
若紫
これまでたくさんの心血管リスクに関するバイオマーカーが報告されてきましたが、
2つのコホートを使ってバイオマーカーを検討した大きな研究が発表されました。
(→検討された30のバイオマーカーはこちら。)
エンドポイントを 初回MI(疑い含む), 冠疾患死, uAP, 冠血行再建, 虚血性脳卒中, 死亡) とやや広めにとってあり、残ったのは下記4つでした(FINRISK97 man コホートにて)。
このうち、NT-pro BNP, CRP, troponin Iでスコア化すると、よりリスク評価ができる…というものです。
この論文で、Dr.Kazは、選ばれたBiomarkerの意味するところとHR、及びその解釈について興味を持っていました。
私は、先日友人と話題になった欠損値の扱い、correlation matrixやスコアモデルについて気になり、本文よりサプリに見入ってしまいました。
同じ本を読んでも、同じ音楽を聴いても、触れるときによって感じ方が違うのはよく経験しますが、
論文もそうなのですね・・・。
みなさまはどうお感じになりましたか?
若紫
FDAより注目すべきアナウンスがありました。
2型糖尿病患者を対象とした2つの臨床試験(ROADMAPとORIENT)において、
placebo群と比較し、オルメサルタン群で心血管イベントが多かった
という結果を受け、現在調査を続けているというものです。
ROADMAPは、
腎症のない2型糖尿病患者4447人に対するオルメサルタン 40mgとplaceboのRCTで、微量アルブミン尿発症をアウトカムにおいた試験でした。
一方ORIENTは、
顕性腎症のある2型糖尿病患者566人に対するオルメサルタン 10-40mgとplaceboのRCTで、日本と香港を中心に行われました。
こちらは、腎症悪化と全死亡をみています。
ROADMAP オルメサルタン(2232) プラセボ(2215)
心血管死 15 3
全死亡 26 15
非致死性脳梗塞 14 8
非致死性MI 17 26
ORIENT オルメサルタン(282) プラセボ(284)
心血管死 10 3
全死亡 19 20
非致死性脳梗塞 8 11
非致死性MI 3 7
いずれもイベントは少ないのですが、上記のような結果になっています。
FDAでは、「オルメテックが心血管イベントを増加させると結論づけるものではない」としていますが、
今後の報告は非常に注目されます。
千夜千論も四十夜を迎えました。
「本blogのファンです
」とおっしゃってくださる方もいらして、
これからも頑張っていこうと思っております。
若紫
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