糖尿病の新診断基準、7月1日~です![]()
なんと11年ぶりの改訂。
注目は、「HbA1c ≧6.5%」(JDS 6.1%)が追加されることです。
従来の診断基準
① 空腹時血糖値≧126mg/dL
② 75gOGTT 2時間値≧200mg/dL
③ 随時血糖値≧200mg/d
で、A1cはあくまで補助的な項目だったのです。
新診断基準
①~③のうちいずれかとHbA1cの両方を評価
つまり、もちろんA1cだけではダメです。
ちなみにHbA1c、日本で測定されているのはJDS値。欧米諸国はNGSP値です。
HbA1c(NGSP値)=HbA1c(JDS)+0.4
私は行けませんでしたが、岡山で開催された糖尿病学会、興味深いセッションがたくさんあったようですね。
若紫
1948年10月30日、107人の結核患者に対し、ストレプトマイシンと安静治療のみを比較したRCTが、BMJに発表されました。
世界で最初のRCTです。
半年後の死亡率はストレプトマイシン 4人(7%) vs control 14人(27%)でした。
この研究を成功に導き、それをきちんと報告した統計学者Austin Bradford Hill の功績ははかりしれません。
(そう、疫学を学んだ人なら想起するでしょうあの"Hill's criteria" のHillです。)
62年前の論文は、structureもphraseもだいぶ違います。
でも、今の論文よりもずっと著者の"想い"が伝わってくる気がいたします。
みなさま、どうぞよい週末を♪
若紫
最近、冠動脈CT(CTCA)を持参される紹介患者さまが増えました。
CTCAの急速な普及を感じます。
大学病院に紹介になった517人の胸痛患者さまに対し、負荷検査(exercise ECG or SPECT)とCTCAを行い、その有用性をみた観察研究がAnnals of Internal Medicineに発表されていました。
負荷 :感度78%, 特異度77%
CTCA :感度99%, 特異度89%
Duke clinical scoreによる検査前確率が低く、負荷検査にて陰性であれば、心カテの必要はありません。
CTCAが威力を発揮するのは、検査前確率が中等度の場合と著者らは強調します。
CTCA(+)であれば、心カテへ (検査後確率93%)
CTCA(-)であれば、心カテ不要 (検査後確率1%)
また、検査前確率が高ければ、直接心カテを行えばよい(検査後確率91%)…とのことでした。
日常臨床では検査前確率が「中等度」の症例が問題となることも多く、その際のCTCAの有用性ということについては納得できそうです。
しかし、運動負荷検査やSPECTの要・不要について、結論を急いではいけません。
SPECTには、CTCAでは分からない虚血の評価、また運動負荷検査ではその後の治療に大変重要な情報(虚血の重症度、治療効果判定、心リハの運動処方や生活指導の指標、不整脈の評価など)が含まれているのです。
また、CTCAが検査前確率中等度患者においてfirst-lineの検査となるには、cost-effectivenessについての検討も必要でしょう…。
若紫
1961年、フラミンガムから高血圧が冠動脈危険因子であると発表されて以来、「血圧」はずっと注目されてきました。
血圧に関する論文は数えきれないくらいありますが、実際の「血圧値」は昔と比べてどうなっているのでしょうか。
今週のJAMAに掲載された研究は、1988年から2008年までの血圧について報告しています。
高血圧患者の平均血圧はSBP 143→135.2mmHg, DBP 80.4→74.1mmHgまで下がっています。
興味深いのは、BMIは逆に増えているのです。
"DASH食"とはかけ離れた食生活、肥満の増加…それにも関らず、血圧コントロールはよくなっているのです。
内服薬については調べられていないのがとても残念ですが、おそらく多剤内服患者が多いのでしょう。
危惧されるのは、今後の経過です。
肥満が増え続ける限り、血圧のコントロールはいつか限界を迎えるでしょう。
なぜならば、肥満者は治療抵抗性高血圧が多いからです。
若紫
「このブログ、循環器ばっかりだね」…となりに座るDr. Kazに、ぼそっと言われてしまいました。
というわけで、今日はまったく違う話題→ワクチン![]()
WHOは、1997年からすべての国に対し新生児予防接種プログラムにHBワクチンを加えることを推奨していますが、先進国で定期接種を行っていない日本…![]()
「母子感染対策きちんとやってますから」っていうことで流されていたこの話題ですが
、いまやgenotype Aによる急性肝炎や父子感染の増加など、今までと違う状況になっています。
ワクチンの効果・安全性、エスケープ変異はないこと等はすでにたくさん報告があり、残るはやはり「費用対効果」。
ハイリスク地域の費用対効果はすでに報告されていますが、アイルランドからも報告がでました。
学会のワークショップでは、日本でも同様の研究を行うべきだと総括されています。
若紫
読まなきゃ…と思っていた論文でした。
DES留置後、12 ヵ月以上主要な有害事象がなかった患者 2,701 人を、クロピドとアスピリンを併用群とアスピリン単独群に無作為に割り付け。
主要エンドポイントは、心筋梗塞または心臓死。
2 年後の累積リスクは、併用群で 1.8%,アスピリン単独群で 1.2%(HR 1.65,95%CI 0.80~3.36,P=0.17)。
MI、脳卒中、ステント血栓症、血行再建術再施行、重大な出血、全死因死亡の各リスクには両群間で有意差なし。
でも併用群では、MI・脳卒中・全死亡はHR 1.73,95% CI 0.99~3.00,P=0.051、心筋梗塞・脳卒中・心臓死はHR 1.84,95% CI 0.99~3.45,P=0.06と、有意ではないものの上昇傾向あり。
6か月で+クロピドを辞めるのはよくない、でも12か月以上でもあまりメリットなさそう…というところで始まったこの試験。
ブラインドでない、volume少ない、…などの問題はありますが、12か月以上併用する+αの効果は期待できなさそうでしょうか。
本質とは離れますが、心血管イベントをアウトカムにおく試験で最近よくみかけるphraseは、
「the rate of the primary end point was lower than expected」
ですね。
循環器領域における、Lifestyle modification, ACEI, statin の影響の大きさを感じます。
若紫
いつみても感銘を受ける論文です。
「航海から帰ってくる軍艦でなぜ脚気が多いのか?」というclinical questionをもとに、脚気の頻度や分布を調べる事により、原因が食事ではないかとの仮説を立てます。
これは記述疫学です。
彼はつぎに、その因果関係を調べ(後ろ向きコホート研究)、
そして、洋食にすることで脚気が予防できるということを検証するために、介入試験を行うのです。
彼が行ったHistorical controlled study には、仮説を証明するための問題点がないわけではありません。
実に森鴎外はその点を指摘していますが、しかし彼には実証がありませんでした。
高木兼顕の行った研究は、当時実現可能であった、かつ急務とされる状況の中での最高の仕事であったのではないかと思うのです。
若紫
待ってました、EVARの結果![]()
Φ5.5cm以上の腹部大動脈瘤を有する患者 1,252 例を、血管内治療群と開腹手術群にランダムに割り付け。
1999~2004 年にイギリスで行われ、2009年末まで追跡。
30 日手術死亡率は、血管内治療群 1.8%<開腹手術群 4.3%(OR 0.39,95%CI 0.18~0.87,P=0.02)。
全死亡は有意差なし(HR 1.03,95% CI 0.86~1.23,P=0.72)
でも、血管内治療群ではグラフト関連合併症発生率と再介入率が高く、合併症も 8 年後まで発生しているという…
そして、NEJMのすごいところ
J.L. De Bruinらの長期結果も同時に掲載しているんです![]()
こちらはΦ 5 cm 以上の 351 例
無作為化後 6 年で累積生存率は有意差なし(開腹手術群 69.9%,血管内治療群 68.9%)。
二次介入を行っていない患者の累積比率は,開腹手術群 81.9%>血管内治療群 70.4%(P=0.03)
みなさま、どうですか。
当然なのかもしれませんが、合併症や血管の状態、施設…色々なこと考えて治療法決めなきゃいけなそうです。
若紫
Good Medical Writing
我が家は本だらけで、Medical Writingに関する本もたくさんありますが、実はしばらく、ぐっとくる教授法がなかったんです。
お勧めの教材をご紹介します。
論文を書く前1日だけ、時間を作ってください。
「文章をまとめて短くする」「流行りの表現」…そんなことではない、自分の考えを正確に伝えるためのコンセプトが理解できます。
著者はこう言います。
文とは、"A sentence expresses one single, whole, complete thought."
http://www.dmed.co.jp/files/dmc_essentials.pdf
若紫
「血をさらさらにする薬がほしいんです」
先日、外来を訪れた初診の患者さまが診察室に入るや否や言いました。
その患者さまは近医で境界型糖尿病と言われ食事・運動療法を始めたところで、その待合室で他の患者さんと話していたところ「血をさらさらにする薬」を勧められたというのです。
主治医にそのことを言うと、「処方できない」と言われ、当院に来たということでした![]()
なるほど…と思いながら、去年から今年にかけて出ていたアスピリンの一次予防に関するメタアナリシスを思い出していました。
現段階で自信を持ってアスピリンを処方できるのは、心血管イベント既往の方だけです。
血圧が高くても、耐糖能異常があっても、一次予防に関しては決着がついていないのです…![]()
再度そのことについてお話したところ、主治医の先生に同じことを言われたと、納得してお帰りになりました。
この論文は短いですが、最近のメタアナリシスも含めてサマリーされています。
若紫
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